2005-07-01から1ヶ月間の記事一覧

肯定の批評

今日の言論は、新聞であれ、週刊紙であれ、新書であれ、何でもありの状態になっている。そういう状況のなかで、どれか一つを取り上げて、評論家がその内容を否定することがあるが、否定すべきものが腐るほどある今日の状況のなかで、否定の言論はあまり意味…

ローヴの庭

六本木ヒルズの森アーツセンターギャラリーで開催されているフィリップスコレクション展を見る。「絵画の教科書」というキャッチフレーズのセンスが悪く、あまり期待していなかったのだけど、なかなかよかった。特に私はセザンヌの晩年の絵が好きなので、「…

風の旅人15号・16号

「風の旅人」15号(8月1日発売)の見本誌が届く。 テーマは、”人間の命”。巻頭の白川静先生の手書き文字はこれが最後になる。先生の顔写真も気迫十分だ。 今回の写真は、巻頭に二人のマグナム会員が並び競う。フランス人のジャン・ゴーミィと、中国人の…

永遠の現在

旅は人生に喩えられる。旅先で出会う風景は、二度と繰り返すことができない。後に同じ場所を訪れても、自分の心の状態や、そこに在る物や人物の様子や、光の加減や、においや音や、温度や、様々なものが織りなしたあの瞬間は、二度と戻ってくることはない。 …

未来から見る現在?

(前の続き・・) アメリカは、資本主義と民主主義が全世界に浸透することによって、テロが無くなると考えている(というのは表向きで、無くなる必要がないと実際には考えているかもしれない)。 個人の「好きだから。気持ちがいいから。」という感情を尊重…

未来から見る現在?

昨日、京都で行われた白川静先生の第24回「文字講話」に行く。今回が最終回。2時間半立ちっぱなしで講演した後、最後ということで、花束贈呈とか、聴衆代表の挨拶とか、セレモニーが続く。その間、周りの者が椅子を用意し、お座りになることを勧めるが、…

自分らしさ?

7月2日に、”自分らしさ”について私が書いたことについて、「風の旅人」の若い読者からメッセージをいただいた。 彼は、昨年一つの演劇台本を書いて上演した。彼の意見を要約すると、自分の書いたものについて、周りからいろいろ言われ、あっちへフラフラこ…

正しい答え?

たとえば私がブログで書いたことに対して、「それは違うと思います。おかしいです。偏見です。」と、返事をくれる人がいる。 私は、そういう批判は覚悟して、思うところを書いている。 違っていて何が悪いという気持ちもある。 今日の学校教育や、社会の言論…

マンネリズム

マンネリという言葉は、その言葉を投げつけられる側に問題がある場合もあれば、その逆の場合もあるように思う。 マンネリというのは、ようするに新鮮さを失うことなんだろうと思うが、見る側が、どこを見るかによっても感じ方が異なってくる。 たとえば自分…

映画のなかの人生

映画「いつか読書する日」(緒方明監督)を見る。 途中までは完璧な映画だった。美しい坂のある街、そこで生きる人々の息づかい、牛乳配達もスーパーのレジ打ちもとても神聖な仕事で、田中裕子の化粧気のない顔とか、ラフな服装で坂道や階段を駆け上がる姿が…

自分らしさ??

保坂和志さんが、WEB草思で、「途方に暮れて人生論」という連載をはじめている。 その第一回の文章を読んで連想したのだけれど、現在、非常に多いなあと思うのが、”自分らしく生きたい”、”自分らしく表現したい”などのセリフだ。 「風の旅人」に売り込み…