2012-05-01から1ヶ月間の記事一覧

これからの表現者?

昨日、写真家の森永純さんと会った。一昨年の夏、生死の境目を彷徨うような大病を患ったが、退院後はリハビリも順調で、まだ歩くのに少し不便そうだが、会うたびに少しずつ元気になっていくようで嬉しい。 森永純さんは、波の写真を30年以上に渡って撮り続…

私たちの人生の中の”夢の島”

1970年代の後半から東京湾の埋め立て地「夢の島」のゴミの集積地で、一人の写真家と一人の舞踏家が壮絶な祈りの行為を繰り返していた。誰かに見てもらうとか、どこかに発表するという意識を持たずに。 その写真家は、2006年3月、癌のために他界した…

?道具が作る人間意識や価値観〜21世紀編

先日のブログで、20世紀の人間社会を、ザ・コダックの発明とフォード式ベルトコンベアで巨視的に俯瞰したが、その論考の真偽を議論するだけなら、それはまさに20世紀的な、世界を分断し、分析する思考特性の癖だろう。ザ・コダックやベルトコンベアは一…

道具がつくり上げる人間の意識や価値観?。〜20世紀編

テクノロジーの進化が、人間のライフスタイルを変化させるだけでなく、その技術の用い方(道具)が、人間の意識や感性、思考特性に影響を与えることは今さら言うまでもない。 20世紀には、様々な技術が生まれた。人間世界に影響力の強かった技術はたくさん…

波のように考え続けること

”森羅万象は、内も外もない生命流のうねりであり、多種多様な波が絶え間なく揺らぎながら、無限に連続している。生命流のうねりのなかで、それぞれの波が複雑精妙に関係し合い、その時ならではの相が現れ、たちまち消えて、また現れる。この世で見られる一切…

男は辛いよ 蜂の世界(養蜂農家を訪ねる)

YouTube: 養蜂農家立川 YouTube: 蜂に刺された 立川 今日は、立川郊外の養蜂農家を訪ねました。生まれて初めての体験。ものすごい数のミツバチ。一つの巣で数万匹。その中に女王蜂は一匹だけ。働き蜂は、せっせと働いて、わずか35日で死んでしまう。女王蜂…

原発事故で被爆した小さな村を舞台にした美しい表現

本橋成一さんは、土門拳賞受賞の写真家であるとともに、国際的にも評価の高い映画監督だ。 本橋成一さんは、1986年に起こったチェルノブイリ原発の爆発事故で被災した小さな村を舞台にした、美しい映画と、美しい写真を残している。 映像の舞台になった…

原発に関する私の考え方3

原発問題は、賛否の立場に関係なく誰にとっても究極の試金石だとの受け止め方が必要であり実際にそうです。単なる生活のことにとどまらない、思考や心構えや生き方全てに関わる試金石。現在の教育現場にはできない哲学の鍛錬の機会。そうあって初めて、あの…

原発問題に関する私の考え方2

昨年の震災が起こった時、原発がなくなることは間違いないと思った。電力会社じたいが、もはや原発なんかやってられない、という気分になっているだろうと思った。だって、どんなに対策を練ったとしても一度でも事故があると会社が終わってしまうことを、マ…

原発問題に対する私の考え方1

原発全部止まったけれど電気は足りる、だから原発はいらない、という反原発は賛同できない。そもそもオイルショック等の中近東の不安定で、いつ石油の供給がストップするかわからないという危機意識が原発依存を促進させた。電気が足りるから原発はいらない…

生きていることじたいが奇跡と感じられる瞬間

齋藤亮一さんの写真は、生きている場所とか時代に関係ない、人間の普遍的な営みに焦点を当てたものになっている。 たとえば、セバスチャン・サルガドが撮った人間の写真は、善悪の狭間で喘ぎながら究極において”神の審判”に委ねるキリスト教世界の至高の表現…

人間の分別を超えた世界を開示する大いなる遊び。

今日から6月1日まで銀座で広川泰士さんの写真展が開かれる。 http://rcc.recruit.co.jp/co/exhibition/co_tim_201205/co_tim_201205.html「旅の途中〜」と題して、デビューの時から今日に至るまで様々な写真が展示される。私も、風の旅人の誌面で、広川さ…

能登という折り返しポイント

連休のはじめ、能登に行った。能登は、私が20歳の時に、大学を辞めて、海外放浪をしようと決心した場所。 そして、風の旅人の創刊の時、日本海から吹き寄せる強烈な風と雪のなか、上大沢の間垣の村を取材した。 私にとって能登は、最果てのイメージがある…

戦後日本にも、こういう世界が残されていた。

一昨日訪れた能登で漁師の逞しさに触れて思い出したのが、この小関与四郎さんの九十九里浜の写真。小関さん自身も豪快な人だが、彼は、30年以上にわたって九十九里だけを撮り続けている。この写真は、戦後のものであり、ほんの30年ほど遡ると、日本には…

戦後日本の象徴的な写真〜森永純のドブ川

風の旅人 第34号で紹介した森永純さんのドブ川の写真。1964年の東京オリンピックは、高度経済成長の中で、日本が先進国に肩を並べるまでに発展してきたことを象徴するできごとだった。同時に新幹線が開業。首都圏は建設ラッシュにわき、首都高が張り巡…

3.11直前の東京、時代と写真表現の重なり

昨年の3.11の大震災の前に「空即是色」というテーマで第43号の準備をしていた。その内容は、あの大震災を予言するかのように不吉な波や、沈鬱とした東京の街や、水辺で祈る様々な宗教の人々や、生と死が一体となったような自然の光景や、若くして未亡…