2015-02-01から1ヶ月間の記事一覧

第882回 取り替えのきかない”いのち”

(撮影/有元伸也) 有元伸也さんが撮ったチベットの写真は、報道写真や観光写真のように、「チベット」の有様を客観的に情報伝達するものではありません。 彼は、チベットの人々とその環境の中に、取り替えのきかないものを感じとり、それを写真という媒介…

第881回 間(あはひ)の妙を伝える写真

(撮影 鬼海弘雄) これから出る風の旅人の最新号「いのちの文(あや)」の中で、鬼海弘雄さんの写真「東京模様」を紹介します。現在、鬼海さんのこのシリーズの写真集を制作中ですが、風の旅人の誌面ではその一部を見せます。 鬼海弘雄さんの写真を見ると、…

第880回 視る力と、視られる写真

(撮影・大石芳野) 写真家の大石芳野さんは、3.11の震災後、とくに福島の地を丁寧に取材し続けている。丁寧に、というのは、1人ひとりの心の内側を写真に焼き付けるために、1人ひとりとの距離の取り方が、とても丁寧なのだ。 大石さんは小柄で繊細そう…

神の子羊か、スケープゴートか。

太陽光発電を邪魔する雑草を取り除くために、ヤギが、現代社会で重んじられるようになってきているのは象徴的で面白い。 ヤギは、確かに食欲旺盛で、草を食べる時に根っこまで食べ尽してしまう。その為、植物が再生できず、荒れ地になってしまう。場所によっ…

いのちの文(あや) 環境と自分

18歳で故郷を離れてから30代が終わる頃まで故郷が大嫌いだった。父が明石から神戸に移っていることもあり、明石の地は、40歳になるまで一度も踏まなかった。 40代になってからは以前ほど嫌悪感はもたなくなっていたが、それでも年に一度くらい訪れて…

有機体は、それがそれ自身であるために全宇宙を必要とする。

まもなく、復刊第5号(4月1日発売)ができあがります。現在、お申し込みを受け付けております。→http://www.kazetabi. 復刊第4号は「死の力」でしたが、次号は、いのちの文(あや)です。 死あってこそ生ですが、その生は、何一つ単独で存在せず、何一つ…

新しい道徳教育への懸念

文部科学省が、小中学校の道徳に関する学習指導要領改定案を公表した。 道徳の問題は、いろいろ議論があるけれど、私が気になっているのは次の三つ。 一つは、新しく導入される評価制度のこと。 教師は、児童生徒の成長ぶりを評価しなければならないだけでな…

他者への寛容性の問題とか、簡単に答えの出ない問題。

先日、哲学者の鷲田清一さんのインタビューを行なった。4月1日に発行する風の旅人の制作の為だが、自由、他者との関係性、そして偶然性と必然性の三つを柱に話をうかがった。 その核にあるのが、「他者に対する寛容性」の問題だ。偶然性と必然性のことにつ…