2023-04-01から1ヶ月間の記事一覧

第1323回 写真をわかるとは?

写真表現に深く関わるところで仕事をしてきた一人として、写真について評論や解説をしている、とりあえずプロの写真家や言論関係の人の言葉で、「写真のこと、まったくわかっていない」と嘆きたくなる言葉がある。 それは、写真を語る時に、たとえばモノクロ…

第1322回  CHAT GPTの先の未来

CHAT GPTを子供に使わせるべきかどうか? とか、大学生が、これを使って論文を書くようになってしまうのではないか、とか、どうでもいいような議論がなされている。 仮に大学生が、CHAT GPTで論文を書いたとしても、問題になってくるのは、それを評価する側…

第1321回 試しながら修正をくわえて最適をめざすこと

スティーブ・ジョブスの日本文化への関心はよく知られており、彼は、来日のたびに、京都の苔寺(西芳寺)を訪れていた。 スティーブ・ジョブスは、次のように言っている。 「カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)をもとに、テクノロジーを構築していくこ…

第1320回 社会的な馴れ合いに埋没しない深瀬昌久の私写真

東京都写真美術館で深瀬昌久展が開かれている。 深瀬昌久という写真家は、世間ではあまり知られていないが、「写真」という表現行為と、「視ること」の関係を深く考えるうえで、欠かせない写真家だと思う。 人は、視るという行為について、とくに深く考えて…

第1319回 今年の土門拳賞と、写真表現の行く末について

昨日は、船尾修さんの土門拳賞の授賞式で、協賛企業や来賓の人のスピーチの後に、他の人があまり認識していない彼のこれまでの活動の軌跡についてスピーチをするのが私の役割だと船尾さんから言われていて、自分もそのつもりだった。 しかし、選考委員の大石…

第1318回 写真表現の行く末

朝早くから、船尾修さんの「満州国の近代建築遺産」と、新田樹さんの「Sakhalin」の写真集を見ていて、心洗われるような気持ちになった。 船尾さんは土門拳賞、新田さんは木村伊兵衛賞と、長い歴史のある写真界の賞を今年度受賞したわけだが、この二つの賞の…

第1317回 苦海と浄土がつながるコード

今年に入ってから、現代と古代のコスモロジーというワークショップセミナーを行っており、次の5回目を4月22日(土)と23日(日)で計画している。 https://www.kazetabi.jp/%E9%A2%A8%E5%A4%A9%E5%A1%BE-%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%…

第1316回 身体性が伴った写真について

前回、今年度の写真界において、新田樹さんが木村伊兵衛賞と林忠彦賞のダブル受賞をしたことを書いたが、土門拳賞は、船尾修さんが受賞した。 本人にも伝えたけれど、船尾さんの受賞は予想通りだった。そもそも私は、数年前の「フィリピン残留日本人」が土門…