人生

第1129回 撮ることの秘儀  鬼海弘雄さんの写真について

鬼海弘雄さんの写真で素晴らしいものはたくさんある。 その中で、例えば、この一枚の写真には、鬼海さんの人柄や、哲学、そして写真の凄さ、写真表現だからこそ可能なことが、ぎゅっと詰まっている。 これは、鬼海さんが、トルコのアナトリア地方を旅してい…

第1128回 追悼 鬼海弘雄さん(2)

Impact hub Kyoto で行った鼎談「黙示の時代の表現〜見ることと、伝えること〜」(右から、鬼海弘雄さん、小栗康平さん、佐伯剛) 撮影:市川 信也さん 2018年11月11日。とっても楽しかった。この後、小栗さんと鬼海さんで、何日、我が家に泊まって…

第1127回 追悼 鬼海弘雄さん(1)

10月19日、鬼海弘雄さんが、2年あまりのリンパ腫との闘病の末、亡くなった。 春頃までは、電話がかかってくれば、次の本作りのことや、良くなったらあと一回、トルコに取材に行きたいなあとか、そういう前向きな話ばかりだった。きっと、自分を鼓舞して…

第1114回  美意識と人生の選択。

京都郊外、日本一の高さを誇る花脊の三本杉。現存する樹木としては国内最高となる62.3メートル(右端の杉)、残りの二本も、国内第2位と5位。 古樹と巨岩と水の流れ。悠久の時間を感じさせるものと、絶えず流転していくもの。古代から日本人の心に受け継が…

第1113回 自然と人間のあいだ

1日の降雨量が、1ヶ月の平均総雨量と等しいとか、その2倍、3倍であるという報道が増えた。 梅雨の7月は、例年でも降雨量が多いのに、以前なら1ヶ月かけて降り積もった雨量が、たった1日で降ってしまうという状況は、いったい何を物語っているのか。 …

第1111回 わかりやすい自分事と、わかりにくい他人事で切り分けるのではなく。

近年、テレビメディアやSNSの影響からなのか、人々は、わかるかわからないか、共感できるかできないか、という単純な線を引きたがる傾向が強い。 しかし、わかることや簡単に共感できることというのは、自分の経験の中で処理できることにすぎず、重要なこと…

第1110回 現代人にも受け継がれている縄文の世界観や生命観。

山添村 縄文時代早期の遺物が多く出土した大川遺跡の目の前の名張川。 最近、山の中に分け入って、激しく急流が流れるところを訪れることが多いのだが、そういう場所の近くに見晴らしの良い高台があり、そこに縄文人が住んでいたと知ると、縄文の人たちの世…

 第1109回 「命は何よりも大事」と言う時のいのちとは何か?

今回のコロナウイルス騒動で、強く感じた違和感。「命は何よりも大事」という時の”命”とは一体何を指しているのかということ。 生命尊重という言葉を使っていると、現代社会においては、まず誰からも非難されることはなく、腹の中で何を考えていようが、良心…

第1108回 未来の土壌となる記憶

東京が日本の中心になって、日本の歴史が見えにくくなってしまったことは間違いないだろう。 しかし、400年前まで東京は辺境の地だったわけで、時代環境が変われば、辺境だった地域が中心になる可能性もある。 その場合、インフラの変化は大きな意味を持…

第1094回 ウィルス禍のなか、健やかな未来のための総合的判断とは。

どれか一つの理由でと決めつけることはできないが、新型コロナウィルスの禍が広がり始めて4ヶ月近くなり、地域ごとの違いがはっきりとしてきた。 専門家の先生は、このウィルスは、人種や地域性などに関係なく全人類の普遍的な脅威であると言っておられたが…

第1090回 いのちが私たちの中にあるのではなく、私たちが、いのちの中にある。

今日はお天気がよくて、家の前の河川敷に、親子連れが、わりとたくさん来ていて、子供の頃によくやっていた川に向かった石投げや、虫取をしていて、いいなあと思って眺めていた。 忘れてならないことは、いのちが私たちの中にあるのではなく、私たちが、いの…

第1083回 もののあはれという、日本人の運命の受け止め方

コロナウィルスで、かつて経験したことのない重い空気が世界を覆っている。 私は、2015年10月に発行した風の旅人の第50号で、次号の告知として、「もののあはれ」を発表したものの、その底深いテーマの前に途方にくれ、そのままになってしまっていた。 日本…

第1081回 歴史的転換期の中のコロナウィルス騒動

現在起きているコロナウィルス騒動で、専門家が、もしアメリカで何も対策を講じなければ、死亡率が爆発し約1,000万人が死亡するとシミュレーションをしている。アメリカ人の約75%が感染し、4%が死亡した場合、それは1,000万人の死亡、つまり第二次世界大戦…

第1079回  無為自然

困難極まりない状況に直面している時、その困難に翻弄されないように、これは試練であり自分は天に試されているのだと、自分に言い聞かせる時がある。 そして、天に試されているならば、天に対する応えは、どういう答えが正解なのかと考える。 もちろん、何…

第1072回  風土と人間

大阪のphoto gallery Saiで、写真家の小池英文さんが、「瀬戸内家族」というテーマで撮り続けたきた写真の展覧会を行っています。 小池さんの写真は、風の旅人でも何度か紹介させていただきましたが、この写真展を機会に、私と、小池さんに、ギャラリーの主…

第1065回 日本の古層(13) 白川郷の伝統的家屋ー自然に対する敬虔さが反映された形

雨の白川郷へ。台風が近づいていたので観光客は少ないと思っていたけれど、予想に反して、観光バスが何台も乗り付け、外国人で溢れていた。しかし、ピンホールカメラで長時間露光すると、動いている人は写らないので、昔のような静けさが念写される。 白川郷…

第1063回 時間の流れ

http://www.bitters.co.jp/satantango/ タルベーラ監督の『サタンタンゴ』について、さらに重要なポイントについて、考えてみたい。 7時間を超えるこの映画を構成している僅か150カットの長回しのシーンの一つひとつ。5分を超える長回しの撮影のあいだ、…

第1060回 逆境と生命力

人の苦悩には二つのタイプがあって、一つは、自分次第というもの。そしてもう一つは、自分の意思や努力ではどうにもならないもの。自分自身の病は、とても辛いことだが、その辛さを、どう受け止めて耐えるかは自分次第。しかし、愛する者の病は、祈ることで…

第1041回 病老死を遠ざけたいという、現代の屈折した病

https://www.kobe-np.co.jp/news/sougou/201902/0012086861.shtml 2019年2月22日の神戸新聞の記事によると、望ましい最期の場所を余命の短い患者らに提供する施設「看取(みと)りの家」が神戸市須磨区で計画されていることに対し、近隣住民らが反対運動…

第1031回 人生の切り替えの時

10年以上、1000回以上書き続けてきたHatena Diaryのブログが、まもなく終了し、Hatena Blogという新方式になるという通達があった。そのため、こらまで書き続けてきたブログの文章を移行した。 Hatena Diaryは、慣れてはいたものの、様々な SNSが登場し使…

第1019回 時代を超える普遍性について思う

今、銀座のニコンサロンで奥山淳志さんの写真展「庭とエスキース」が開催されている。東京では1月30日まで。大阪では、2月22日から28日まで開催される。 奥山さんは、今回の写真展のために出版社を通さず自力で作り上げた写真集の販売のため、毎日、…

第1016回 いのちを呼びさますもの

レジリエンスフォーラム(人間力=地球協働力)というのを始めることにしました。 その第一回目を、​2017年12月10(日)18:30〜20:30 、稲葉俊郎さんをゲストに迎えて行います。 心臓の専門医でありながら、西洋医学のみならず伝統医療や代替医療など幅広く…

第1009回 古きを温めて〜日本の風土と魂の行方〜

(小野妹子の古墳 滋賀県 大津市) 現代のことが気にならないわけではないし、子供を持つ親として未来のことも心配だ。 そして、政治や経済が、未来のあり方に大きく関わってくることも理解している。 しかし、それ以上に、今改めて、私たちの足元文を見つめ…

第1004回 世界でいちばん美しい村

(撮影:石川梵) 石川梵監督の「世界でいちばん美しい村」というドキュメント映画がある。日本全国で上映され、人々の心を捉えているが、6月17日から、大阪の第七藝術劇場でも公開される。 http://www.nanagei.com/ 6月19日には、13時55分からの…

第973回 競争から共創へ 利己から利他へ③ 授かった命との付き合い方

私の家から自転車ですぐ行ける範囲内で、樹齢400年くらいから1000年くらいになる木が、何本もある。屋久島など深い森の中の原始林もすごいが、京都という街中で、中世の人々の暮らしのすぐそばで生きてきた樹木が、今もそこにあるというのがすごい。 …

第961回 無意識の記憶と、人の幸福

久しぶりに高野山を訪れた。高野山では、陶芸家の三星善業さんの窯出しのタイミングと重なり、また三星さんの弟子の和田直樹君が、ちょうど窯焼きの最中で、幸運だった。http://hiraharagama.doorblog.jp/ 和田君は、この前に訪れた時とは違う窯で焼いていた…

第950回 自分ではどうにもならない困難と、自分で何とかするしかない課題

この世界には、自分ではどうにもならない困難と、自分で何とかするしかない課題がある。長い人生で、ずっと順風満帆に行くことはありえず、どこかで間違いなく苦しい困難に遭遇する。自分で何とかするしかない課題の場合は、自分を鼓舞したり気分転換をはか…

第948回 どんな現実も、自分の潜在意識の現れ

ごめんなさい 許してください 愛しています ありがとう。 (ホ・オポノポノの4つの言葉) どんな目の前の現実も、100%自分の記憶(潜在意識)の現れ。 同じことが起きていても、人によって現実の受け止め方や解釈や対応の仕方が違うのだから、その現実は、そ…

第946回 散るからこそ知る有り難み

昨日の春の嵐で、桜はかなり散ってしまったけれど、緑は、一段と濃くなった。これからが春の本番。心の辛さは残り続けているけれど、だからこそ、あの頃の何でもないような日々が、とても幸福な日々だったということがよくわかる。 辛さを経験しなければ、気…

第943回 私たちの根っこは?

昨日の朝までアルゼンチン家族が四泊していて、シーツ洗って部屋を掃除した後、12時から、グルジアのキュレイターが来て、情熱いっぱいに自分の国のことや、今取り組んでいること、未来の可能性、そして一緒に何かできないか、という話をして帰った。 アルゼ…