人生

第913回 ”かたじけなさ”と、日本のかけがえのない精神風土

8月8日、今宮神社の中にある織姫社で、織姫七夕祭を斎祀ることを奉告御祭に参列した。しばらく途絶えていた織姫祭を来年から復活させることが決まり、その報告を神様にする祭りだ。 世の中には、色々なタイプの祭りがあるが、最近では地方自治体などから助…

第911回 発想の転換がなければ、同じ過ちが繰り返される。

昨夜は、祇園祭りの宵宵山。今日は、関西圏に台風が直撃するとのこと。 世に災いがある時に、それを怨霊の仕業とみなし、その怨霊を神として祀ることで災いを鎮めようとする御霊会が祇園祭りの起源だが、そういう転換の発想を、日本人は得意としてきた。 地…

第908回 死から逆算するしかない自分の生

5月26日付けのNHKニュースで、「医療費抑制へ 後発医薬品 5年後80%に」と報じられていました。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150526/k10010091791000.html 医薬品の特許が切れたあとに販売される価格の安い後発医薬品、いわゆるジェネリックの使…

第906回 陰陽分かれざりし時

風の旅人ともつながりの深い大橋弘さんの写真が、現在、新宿の伊勢丹のショーウインドウを飾っています。 これはちょっと驚きでした。ついに時代が大橋さんに追いついてきたかという感じです。 きっかけは、私が、吉祥寺の「食堂ヒトト」のオーナーである奥…

第905回 大石芳野さんの写真展「福島 土と生きる。」

川崎の「東海道かわさき宿交流館」http://kawasakishuku.jp/ というところで、大石芳野さんの写真展が開かれています。(6月14日まで) 5月30日の3時から、対談も行われます。 テーマは、「福島 土と生きる」。東京電力福島第一原発の事故で故郷を奪…

第903回 不易流行

「不易流行」に関する講演会があると誘われ、次号の風の旅人のテーマ「時の文(あや)」とも関連があると思い参加したが、特に新たな視点が得られたわけではなかった。しかし、この種の講演会や対談で新たな視点を得られることは稀であり、そうでなくても話…

第902回 狭間の好奇心

京都に来てから4回目の風天塾を終えた。バイオミミックリー(自然界の生物が有する構造や機能を模倣し、新しい技術を開発すること)の第一人者である石田秀輝さんと、自然写真家の今森光彦さん。ジャンルは異なれど、お二人には共通点がある。それは自然か…

第901回 自然と美意識〜自然から学び、人間力を磨く

第4回 風天塾開催「自然と美意識〜自然から学び、人間力を磨く」日時: 2015年4月24日(金) 開始:午後7時〜 開場は午後6時30分〜場所: IMPACT HUB KYOTO(虚白院)→ 〒602-0898 京都市上京区相国寺門前町682 電話:075-417-0115 語り手:今森…

第900回 世界によって自分が変えられないため

「あなたがすることのほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないためである」マハトマ・ガンジー テレビ朝日とNHKの幹部が、事情説明の為に官邸から呼び出…

第898回 人生や社会の旨味〜発酵の秘密〜

京都の桜はほとんど散ってしまったけれど、琵琶湖の北部は、ちょうど満開だった。総勢10名の大人の花見旅行。湖北は、現世の垢を落とす幽界のような、ちょっと妖しいところ。 湖北までの列車のなか、小泉武夫さんの”微生物の働き”に関する本を読んでいた。…

第897回 社会の風になびかず、煽られず

10年ぶりの新作映画の公開がまもなくの小栗康平監督から、映画が、ようやく自分の手を離れ、あとはプリント作業だという連絡がきた。 http://www.oguri.info/notes/ その忙しい最中、「風の旅人」復刊第5号(第49号)の感想を寄せてくれた。「復刊から…

第896回 ポーズ(佇まい)とトーンから本質を推し量る力

切り絵は、自然の中を散策することとよく似ています。目の前に現れる感動を、つねに求めている自分がいるからです。ー今森光彦 現在販売中の風の旅人 復刊第5号(第49号) いのちの文(あや)で里山の写真を特集している今森光彦さんが、写真ではなく切り…

第893回 堤防の決壊を防ぐ行為は

風の旅人の復刊第5号の刷り出しがあがってきたけれど、まとまったページの印刷が明らかにおかしいので、刷り直しをせざるを得ない。 それにしても理解できないのは、私のところに送られてくる前に、現場の責任者、営業担当者のチェックが入っているのに関わ…

第892回 自分の不運や不遇や不利益よりも

若い友人が、精神病院の務めを辞めて、今年の春からインドに旅に出ると言う。ちょうど去年の今頃、自分なんかいてもいなくても同じだから、死んだ方がましだと言っていた。 恋人もいないし、仕事場に友人はいない、きっと誰も自分を必要としていない、そんな…

第891回 祈りが織り込むいのちの模様

私は、これまで出版社に務めたことがないので、他の雑誌がどういうふうに作られているか詳しくは知らない。 編集長と複数の編集者で作るのであれば、目的を共有するための設計図が必要だろう。最初に企画会議をして企画をたて、役割分担をして、それぞれが企…

第890回 「こんな大それたこと」

(左・白川静さん 右・梅原猛さん) 今朝の京都新聞の第1面、連載コラムの『天眼』には驚いた。梅原猛さんが寄稿しているのだが、最初から最後まで自分の自慢話ばかり。賞の受賞の自慢とか、権威団体の長だった自慢、あげくのはてに勲章まで。よくもまあこ…

第889回 永遠!?

見つかったぞ何が? 永遠が太陽と融合した海が (『永遠』アルチュール・ランボー) イエメンでは、モスクでの自爆テロで多数の民間人が亡くなり、チュニジアでは、武装集団がバルドー博物館を襲撃し、観光客を無差別に殺害した。 チュニジアは、大学を中退…

第887回 袖すり合う縁をも生かす

撮影/大山行男 風の旅人 復刊第5号 いのちの文(あや)より 昨日、建仁寺の塔頭である両足院において寅市という手作り市が開催されていた。着物の切れ端を上手にデザインした布製のバックや、ガラスエッチングを施したグラスや花瓶、玉石のブレスレットや…

第886回 居場所(一昨日の続き)

一昨日、『居場所」という内容でブログに記事を書いたところ、読者のAさんから以下の内容のメールをいただいた。 この方は、2011年3月11日の東北大震災の後、故郷を離れ他の地域に移住している。その移住先で高校一年生の娘さんが、入学して間もない6…

第885回 居場所

川崎で中学一年生が殺害された事件は、同じ年頃の子供を持つ親でなくても、他人事として考えられない何かがある。 友人関係者や顔見知りの人だけでなく、少年の死を悼んで、遠方から大勢の人達が現場にやってきて、中には涙を流しながら献花をしている人もい…

第884回 自分の理解や計画を超えた”あやしいもの”が救いになることがある。

(撮影:紀成道) 数ヶ月前、次号の風の旅人のテーマを「いのちの文(あや)」と決めて、色々と準備を進めながら、どうもまだ中途半端で全体がうまく整わないなあと宙ぶらりんの気持ちの時に、この写真を撮った紀成道さんが、私の事務所で行なっているポート…

第883回 子供に必要なのは道徳教育ではなく、哲学の時間では!?

昨日、テレビのスイッチを入れたら、オランダにおける学校教育を紹介していました。子供達の自立性を尊重し、苛めなどの問題があれば子供達のあいだで議論をさせたり、同じ教室内でみんなバラバラの方向を向き、別々の内容の勉強をしていること。そして、同…

第882回 取り替えのきかない”いのち”

(撮影/有元伸也) 有元伸也さんが撮ったチベットの写真は、報道写真や観光写真のように、「チベット」の有様を客観的に情報伝達するものではありません。 彼は、チベットの人々とその環境の中に、取り替えのきかないものを感じとり、それを写真という媒介…

第881回 間(あはひ)の妙を伝える写真

(撮影 鬼海弘雄) これから出る風の旅人の最新号「いのちの文(あや)」の中で、鬼海弘雄さんの写真「東京模様」を紹介します。現在、鬼海さんのこのシリーズの写真集を制作中ですが、風の旅人の誌面ではその一部を見せます。 鬼海弘雄さんの写真を見ると、…

神の子羊か、スケープゴートか。

太陽光発電を邪魔する雑草を取り除くために、ヤギが、現代社会で重んじられるようになってきているのは象徴的で面白い。 ヤギは、確かに食欲旺盛で、草を食べる時に根っこまで食べ尽してしまう。その為、植物が再生できず、荒れ地になってしまう。場所によっ…

いのちの文(あや) 環境と自分

18歳で故郷を離れてから30代が終わる頃まで故郷が大嫌いだった。父が明石から神戸に移っていることもあり、明石の地は、40歳になるまで一度も踏まなかった。 40代になってからは以前ほど嫌悪感はもたなくなっていたが、それでも年に一度くらい訪れて…

有機体は、それがそれ自身であるために全宇宙を必要とする。

まもなく、復刊第5号(4月1日発売)ができあがります。現在、お申し込みを受け付けております。→http://www.kazetabi. 復刊第4号は「死の力」でしたが、次号は、いのちの文(あや)です。 死あってこそ生ですが、その生は、何一つ単独で存在せず、何一つ…

他者への寛容性の問題とか、簡単に答えの出ない問題。

先日、哲学者の鷲田清一さんのインタビューを行なった。4月1日に発行する風の旅人の制作の為だが、自由、他者との関係性、そして偶然性と必然性の三つを柱に話をうかがった。 その核にあるのが、「他者に対する寛容性」の問題だ。偶然性と必然性のことにつ…

出版不況と、シンギュラリティ

http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150126000042 出版不況ということが言われて久しいけれど、昨日の京都新聞に出ていたこのグラフを見たらわかるように、取り次ぎ流通を通すこれまでの出版流通の方法だと、もはや立ち行かないということが明らかに思…

自由の敵は自分(後半)

セレンディピティという言葉がもてはやされ、計画通りにやるのではなく他者との出会いという偶然性を自分のより良き人生に生かしていくという発想があるが、まったくの偶然というものはなく、偶然の機会を捉えるための準備が自分の中にできていることが大事…