自然
日本という国の中を移動する時、列車や高速道路を使ってしまうと気づかないが、古くからの街道、とりわけ河川沿いの道を通ると、この国の地質的な特徴がよくわかるし、そうした地質的な特徴が、文献資料や考古学的成果から見えてこない歴史の真相に近づく鍵…
年が明けてから集中的に取り組んできた「 The Creation Vol.2 天と地の曼荼羅 大山行男写真集」の全体構成とレイアウトとデザインが、ほぼできあがった。あとは、少し熟成させて、若干、写真を差し替えたり、整えたりの作業だけが残る。 この本は、富士山の…
伊勢神宮 宇治橋 伊勢神宮 五十鈴川 先ほどのタイムラインの続きだが、伊勢神宮を訪れると、”つくられた聖域”という気がしてならない。 伊勢神宮は、おそらく、律令制の始まりに、聖なる舞台装置として作られたのではないかと思うのだ。 もちろん、そうだと…
花背の三本杉。(京都府京都市左京区) 3日前のイベントの後の懇親会で、「花背(京都市左京区)の三本杉のところに白鷹竜王の碑がありますが、あれは何ですか?」という質問を受けた。この偶発的で、ローカルで、普通の人にとってはどうでもよい問いから、…
小樽の忍路環状列石。 11/21(月)の19:00-21:00 京都のIMPACT HUB KYOTO https://kyoto.impacthub.net/ で行うトークにおいて、どういう切り口でやろうかと考えているのだけれど、今回は、歴史というより時空の話をしようと思う。 われわれホモ・サピエンス…
浅間山の「鬼押出し」 。1783(天明3)年の噴火の際に、浅間山の山頂から流れ出た溶岩流。 全国に約1,300社の浅間信仰の神社があるとされるが、浅間神社は、現在、富士山への信仰の神社とされる。さらに、浅間神というのは、ニニギと結ばれて山幸彦と海幸彦を産…
大洗磯前神社(茨城県大洗町) たった一つの場所のことを書くだけなのに、その一つの場所は無数の事柄と関わってきてしまい、手短に書けなくなってしまった。あまりにも長い、一つの場所に関する取材メモ。 今回の旅で房総半島から茨城の鹿島灘を北上し、辿…
昨日の夜遅く、テレビをつけたら、京大総長でゴリラ研究で知られる山極壽一さんが出ていて、人間の暴力性の起源と理由についての話を展開していたので、しばらく聞き入っていた。 山極さんは、ゴリラという生物は暴力的だと思われているけれど実際は平和を望…
香取神宮 旅の記録メモのつもりでも、他の場所との関係で考えていくと、どうしても長くなってしまう。 このたび、茨城県の鹿島神宮と千葉県の香取神宮を訪問した。 現在、神社が国家の管理から離れているため、「神宮」を称するかどうかは各神社の判断に任せ…
舟木 石上神社 淡路島の舟木にある石上神社は、小高い丘の上の巨石群が御神体となっている古くからの聖域。ここは、現代の日本とは思えない異界のような雰囲気が漂っているが、今でも女人禁制を守っている聖域である。 女人禁制だからといって、女性を差別し…
轟九十九滝(徳島県海部郡海陽町) 観光旅行と旅の違いは、前者が「点」の訪問であるのに対して、後者は「線」の移動であることだ。 「点」の訪問の場合、自分の現実世界と訪問地が二項対立の関係になるが、「線」の移動は、自分の現実世界と各訪問先が、一…
室戸岬は、断崖絶壁の足摺岬と異なって、海と地面がひと続きになっている。 四国の室戸岬と足摺岬は、太平洋に飛び出した先端なので、同じような雰囲気のところかと思ったら、まったく違っていた。 足摺岬は、断崖絶壁の上で、海面ははるか下にあったが、室…
香川県荘内半島。浦島神社が鎮座する丸山島 今回の四国の旅で、ぜひとも訪れたかった場所が、香川県の荘内半島であり、ここには浦島太郎の伝承が残っている。 浦島太郎の伝承は、日本のいくつかの場所に存在し、この物語が実際にあった場所はどこなのかとい…
先週、愛媛の今治でピンホール写真について講演を行なった時、会場で法螺貝を吹いた。 私が法螺貝を始めたのは、写真家のエバレット・ブラウンが、私のそばで法螺貝を吹いた時に、私の心身が強く共鳴したことがきっかけだが、エバレットもまた、私と同じく日…
中央構造線上の中郷流宮岩。 日本列島を南北に分断する中央構造線は、東の端の鹿島神宮(茨城県)から、秩父を経て長野県の諏訪、愛知県の豊川稲荷、三重県の伊勢神宮、吉野から高野山、四国山地、九州の高千穂まで、古代からの重要な聖域がズラリと並んでい…
鬼岩にある「蓮華岩」。上から見ると蓮の花に見える。また、縦7mの亀裂が、鬼が一刀両断で切ったように見えることから「鬼の一刀岩」の別名がある。 恐ろしや 次月の奥の 鬼すすき 次月というのは、古代の東山道、現在は国道21号線の岐阜県土岐市にある「次…
付知峡(岐阜県中津川市付知町) 環境省のホームページで、日本地質学会による大地の自然放射線量の地図が紹介されている。 原発事故で放射線のことが大きな問題になったが、われわれの身の回りには、もともと宇宙線や大地などに由来する放射線があり、その…
「未来も過去も、無限に小さくしていくと現在となり、無限に大きくしていくと時の流れそのものになります。ズームインとズームアウトの振り子のような視点は、時間という概念に束縛されずに「わたしたちは現在をどう生きるかと考えるには大事なことだと思い…
ヒスイ峡にそびえる明星山。(新潟県糸魚川市) 日本列島を南北に分断するのは中央構造線で、東の端に位置する茨城の鹿島神宮から、秩父、諏訪を通り、愛知の豊川稲荷、伊勢、高野山、四国の剣山、九州の高千穂など、日本を代表する聖域が、この中央構造線上…
(熱海 来宮神社の樹齢2000年を超えるとされる楠木) 熱海の来宮神社は、日本屈指のパワースポットなどと言われ、毎日、多くの参拝者が訪れている。本殿の左奥にあるご神木の大楠の巨樹は、樹齢2000年を超えると言われるが、樹齢1300年とされるもう一本の楠…
2月20日頃の予定だった「The Creation 生命の曼荼羅」の写真集が、少し予定が早まって、2月1日には完成します。 www.kazetabi.jp 曼荼羅という言葉を耳にしたことがある人は多いと思う。しかし、極彩色の円の中に無数の仏様が存在していて、その造形と色彩が…
このたび制作した大山行男さんの作品集「The Creation 生命の曼荼羅」の中に、以下の文章がある。 「かつて、南アルプスの蝙蝠岳の山中でテントを張り、撮影する日々に明け暮れていた時があった。 陽が傾くと、無音の時が流れ、あたりから光は消え、さらに深…
富士山の写真で知られている大山行男さんの新しい写真集「The Creation 生命の曼荼羅 vol.1」 。 これから印刷をする前に、先行予約を行い、部数を決定したいと思います。 このたびの写真集は、富士山だけでなく、富士山周辺の生命の万華鏡世界を表したもの…
現在、東京の半蔵門ミュージアムで、井津建郎さんの写真展が開かれている。 https://www.hanzomonmuseum.jp/exhibits/special.html この美術館は初めて訪れたのだが、東京の真ん中にこんなに素晴らしい場所があったのかと、正直、驚いた。特別展の展示スペー…
石牟礼道子さんの才能を発見し、世に送り出し、支え続けた渡辺京二さんが、「逝きし世の面影」という素晴らしい本を残している。明治維新の頃、日本にやってきた外国人が書き残した日本人の生活の美しさや能力の素晴らしさをまとめたものだ。 日本人が無自覚…
京都市は歴史の都として多くの観光客が訪れるが、歴史的建造物は中世以降に作られたもので、京都市の南に位置する向日市の方が歴史的には古い。 向日市は、平安京の前に長岡京が築かれた場所で、その時より300年前には継体天皇の弟国宮が築かれた。 長岡京の…
『水俣 天地への祈り』 田口ランディ著 河出書房新社発行 https://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E4%BF%A3-%E5%A4%A9%E5%9C%B0%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%A5%88%E3%82%8A-%E7%94%B0%E5%8F%A3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3/dp/4309029922 久しぶりに、深い…
日本の古層を探りはじめると、とめどなく謎が続いていく。 何か一つのことがわかっても、それが新たな疑問のきっかけとなる。しかし、その謎解きに精力を傾けて集中していると、いろいろな関連事項が自分の中に蓄積していき、つながりができてくる。 残念な…
Sacred world 日本の古層」に掲載されている写真は、全てピンホールカメラで映したもの。 一般的な写真撮影は、被写体を探して狙い撃つ性質があり、「撮影する」を英語にすると、shootとなる。カメラのシャッターは拳銃の引き金に等しい。 しかし、私たちは…
このたびの大雨によって起きた熱海伊豆山の土石流災害。 テレビニュースなどでは、数十年前に行われた盛土が原因であるかのような報道が続く。 もともと、熱海地方は、火山性の硬い黒土に覆われているが、高度経済成長時の人口増に対応するため、山間部の土…