自然
京都郊外、日本一の高さを誇る花脊の三本杉。現存する樹木としては国内最高となる62.3メートル(右端の杉)、残りの二本も、国内第2位と5位。 古樹と巨岩と水の流れ。悠久の時間を感じさせるものと、絶えず流転していくもの。古代から日本人の心に受け継が…
1日の降雨量が、1ヶ月の平均総雨量と等しいとか、その2倍、3倍であるという報道が増えた。 梅雨の7月は、例年でも降雨量が多いのに、以前なら1ヶ月かけて降り積もった雨量が、たった1日で降ってしまうという状況は、いったい何を物語っているのか。 …
山添村 縄文時代早期の遺物が多く出土した大川遺跡の目の前の名張川。 最近、山の中に分け入って、激しく急流が流れるところを訪れることが多いのだが、そういう場所の近くに見晴らしの良い高台があり、そこに縄文人が住んでいたと知ると、縄文の人たちの世…
原初というのは、終わってしまった過去ではない。森羅万象の摂理においては、そこから生まれたものは、そこに還っていく宿命にある。 このたび制作した「Sacred World 日本の古層 Vol.1」に掲載されている写真は、この数年間、日本の様々な聖域を訪れ、すべ…
今日はお天気がよくて、家の前の河川敷に、親子連れが、わりとたくさん来ていて、子供の頃によくやっていた川に向かった石投げや、虫取をしていて、いいなあと思って眺めていた。 忘れてならないことは、いのちが私たちの中にあるのではなく、私たちが、いの…
このたびの新型コロナウィルスにおいて、たとえばアメリカでは、アンソニー・ファウチ博士など、感染症の権威の発言が大きな影響力を持っている。 アンソニー・ファウチ博士は、エボラやヒト免疫不全ウィルス( HIV)の研究に貢献されてきた人だが、そのため…
ウィルスの感染による死と聞くと、ウィルスが殺戮目的で体内に侵入してくるような気がしてしまう。しかし、ウィルスの生存戦略は共生であり、侵入した相手が死んでしまうと自分も生き残れない。 だから、通常は特定の動物の中で共生している。今回の新型コロ…
新型コロナウイルスへの感染防止策として、世界中の産業が停止することで、二酸化炭素や二酸化窒素の排出がなくなり、大気汚染が劇的に改善されている。 大気汚染が世界最悪とされるインドでも、今まで見えなかったヒマラヤ山脈の神々しい姿が現れ、人々が驚…
コロナウィルスで、かつて経験したことのない重い空気が世界を覆っている。 私は、2015年10月に発行した風の旅人の第50号で、次号の告知として、「もののあはれ」を発表したものの、その底深いテーマの前に途方にくれ、そのままになってしまっていた。 日本…
写真家の水越武さんの新著、「日本アルプスのライチョウ」が、手元に届いた。 https://www.shinchosha.co.jp/book/315233/ 本当に素晴らしい! ここ最近見た新著の写真集のなかで、もっとも素晴らしい。 写真集としては小さなサイズだけれど、この小ささで、…
困難極まりない状況に直面している時、その困難に翻弄されないように、これは試練であり自分は天に試されているのだと、自分に言い聞かせる時がある。 そして、天に試されているならば、天に対する応えは、どういう答えが正解なのかと考える。 もちろん、何…
大阪のphoto gallery Saiで、写真家の小池英文さんが、「瀬戸内家族」というテーマで撮り続けたきた写真の展覧会を行っています。 小池さんの写真は、風の旅人でも何度か紹介させていただきましたが、この写真展を機会に、私と、小池さんに、ギャラリーの主…
亀岡 御霊神社 ピンホールカメラで撮影した日本の古代の聖域の写真を紹介するホームページを一新しました。 https://kazesaeki.wixsite.com/sacred-world 日本というのは、たぶん世界の中でも実に特殊な国で、一千年以上も前の歴史を探るために、文献の量…
雨の白川郷へ。台風が近づいていたので観光客は少ないと思っていたけれど、予想に反して、観光バスが何台も乗り付け、外国人で溢れていた。しかし、ピンホールカメラで長時間露光すると、動いている人は写らないので、昔のような静けさが念写される。 白川郷…
http://www.bitters.co.jp/satantango/ タルベーラ監督の『サタンタンゴ』について、さらに重要なポイントについて、考えてみたい。 7時間を超えるこの映画を構成している僅か150カットの長回しのシーンの一つひとつ。5分を超える長回しの撮影のあいだ、…
台風と地震が連続して起こり、空港閉鎖とか、停電の長期化というニュースが伝えられるけれど、携帯が使えなくなるとスマホ決済ができなくて買い物ができないとか、ネットによる救援活動の輪の広がりとか、これまでの自然災害と違う状況が起きているなあと実…
琵琶湖の湖東、近江八幡から東近江、そして栗東にかけて、裾野が広がった美しい姿の岩山が数多く点在している。 それらの山々の多くは、頂きに巨大な磐座が鎮座し、古代から聖なる山、神が宿る神体山として崇められてきた。 こうした地勢ができたのは、日本…
京都文化博物館でターナー展が始まったので、さっそく見に行ってきた。 20歳の時、大学を中退して放浪中に、ロンドンのテートギャラリーで見たターナーの絵画。それまでヨーロッパの絵画には大して心動かされなかったが、ターナーの絵は格別で、心が震えた…
2月10日、石牟礼道子さん亡くなられた。90歳だった。 石牟礼さんのロングインタビューを行ったのは、2014年の春だった。6月1日に発行する「風の旅人」の第48号に間に合わせるための、ギリギリのタイミングだった。 インタビューの予定は、1月…
12月1日(金)、京都の風伝館で、「進化とは?」という内容で、信頼資本財団の熊野理事長と、そもそも談義を行います。 環境を生き抜く遺伝子が後世に伝えられていくのか、もしくは、環境に応じて遺伝子は自らを変えていくのか。 これからの人類は、ダー…
(小野妹子の古墳 滋賀県 大津市) 現代のことが気にならないわけではないし、子供を持つ親として未来のことも心配だ。 そして、政治や経済が、未来のあり方に大きく関わってくることも理解している。 しかし、それ以上に、今改めて、私たちの足元文を見つめ…
(撮影:石川梵) 石川梵監督の「世界でいちばん美しい村」というドキュメント映画がある。日本全国で上映され、人々の心を捉えているが、6月17日から、大阪の第七藝術劇場でも公開される。 http://www.nanagei.com/ 6月19日には、13時55分からの…
一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が発表している数字を見ると、デジカメ販売の長期衰退は、著しい。 コンパクトカメラは、2010年が1億900万台で9,774億円だったが、2016年は、1,200万台で1,630億円。 レンズ交換式カメラは、2010年が1,300万台で3,9…
伊勢に行った。冬至の前後、太陽は、伊勢神宮の内宮の宇治橋にある大鳥居から昇るというので、それを見るために。 夏至の時は、夫婦岩の間から昇り、その延長線上に、富士山と鹿島神宮があり、その逆方向は、高野山から剣山を通り、高千穂に至る。日本を南北…
能登半島の北部の「じんのびーと」で行われた『京ことば源氏物語 能登語り会』に参加して、帰ってきた。山下智子の源氏物語の語り会を核にして、心に沁みる様々な出来事が重なり合う催しとなった。 第二部の「自然と伝統文化から日本を見つめ直す」という座…
(前半から続く)若冲は、次のような言葉を残している。 今の所謂画は、皆画を画く者にして、未だ能く物を画く者を見ず。且つ技を以って售(う)らんことを求め、未だ能く技より進(まさ)る者有らず。是れ吾の人に畸とする所なり。(もと漢文、訓み下し) …
昨日の春の嵐で、桜はかなり散ってしまったけれど、緑は、一段と濃くなった。これからが春の本番。心の辛さは残り続けているけれど、だからこそ、あの頃の何でもないような日々が、とても幸福な日々だったということがよくわかる。 辛さを経験しなければ、気…
日々、当たり前のように生きているけれど、生きて存在していること自体が、いったいどういうことなんだろうと不思議でならない。生命のこの精巧さ、強靱さ、脆弱さ。生命がこのように存在させられているのは、一体どういう理由があるのだろうか。 ダーウィン…
宮古島から大神島へと旅をしてきた。 話には聞いていたが、宮古島周辺の浜辺や海の美しさは感動的だった。小笠原は行ったことがないが、これまで訪れた日本の島々の中で最も美しかった。タヒチのボラボラ島やバリ島、ニューカレドニアやバヌアツやコモド島や…
「何事のおわしますをば知らねども かたじけなさに涙こぼるる」(西行) 伊勢神宮は変化を拒んでいない。持統天皇4年(690年)より1300年もの長きにわたり、20年ごとに建て替えられて、その姿を一新する。 伊勢神宮を造る木に防腐剤など使用してい…