自然

第1392回 現代人が見失っている「視る能力」について。

中世の人に比べて現代人は、聴覚より視覚に意識が偏っているという話を聞いたことがある。 文化人類学者の川田順造さんが、「曠野から」という本の中で書いているのだけれど、無文字社会のモシ族のフィールドワークにおいて、神話の語り会があるというのでオ…

第1391回 始原のコスモロジー

始原のコスモロジー 日本の古層Vol.4の納品日が決まりました。 12月15日(金)です。 現在、ホームページで、お申し込みの受付を行っています。 出版に合わせて(タイミングが良かっただけですが)、12月16日(土)、12月17日(日)に、東京の事務所で、ワー…

第1390回 人間の傲りを抑制する日本の聖域

真脇遺跡 石川県鳳珠郡能登町 ギリシャのパルテノン神殿やエジプトのピラミッド、シリアのパルミラ、マヤのティカール、エチオピアのラリベラ、アンコールワットやボルブドゥール、タクラマカン砂漠の楼蘭遺跡も含め、世界中に残る遺跡の大半を訪問したけれ…

第1389回 情報とリアリティのあいだ。

何事の おわしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる 西行 神社や古墳や祭祀場が、なぜその場所にあるのかという理由は、現場に立ってみなければ感じ取れません。 そして、その場所に聖域を築いた人たちの心の中を自分ごととして引き寄せないと、そ…

第1381回 神話は史実ではないが、単なる空想の産物でもない。

神話は史実ではないが、単なる空想の産物でもない。かといって、権力者による自己正当化の物語でもない。 神話は、古代における秩序形成のために創られたコスモロジーである。 コスモロジーというのは、自分たちが生きている世界をどう解釈し、その世界でど…

第1378回 京都の水と地質。

京都最大の滝、空也の滝。愛宕山の麓 このたび、定期的に行っているワークショップセミナーとは別に、オーダーメイドの依頼があったので、その内容に応じたフィールドワークとセミナーを行った。 ガラスメーカーの方達で、日本および世界各地の砂を使ってそ…

第1369回 古代の二つの海人勢力について

これまで、古代における転換期に大きく関わっていた二つの海人勢力のことを書いてきた。 一つは、安曇氏(海部氏や、その同族の尾張氏、和邇氏を含む)と呼ばれる勢力で、もう一つは、紀氏(越智氏や平群氏も含む)と呼ばれる勢力だった。 古事記において、…

第1365回 海に囲まれている国の文化

日本は、海に囲まれた島国。大陸から遠すぎることもなく近すぎることもない微妙な距離感が、日本文化の固有性を育んできた。 日本人にとっては、海そのものが境界線だったから、高い城壁を築いて異民族の侵入を防ぐという発想にはならなかった。 日本人にと…

第1363回 始源のコスモロジー

日本は、海に囲まれた島国であり、大陸から近くもなく遠くもない絶妙な距離感が、日本という国の個性を作り上げてきました。 また、海に囲まれていながら国土の70%が山岳地帯であり、それらの山々を源泉とする河川が、日本を網の目状につないでおり、この…

第1355回 わたしの叔父さん

いろいろな表現活動のなかで、心から人に推薦したくなるものは、とても少なくなった昨今なのだけれど、「わたしの叔父さん」というデンマーク映画が、とてもよかった。 www.magichour.co.jp 鬼海弘雄さんが生きていたら、真っ先に伝えたい映画。 昔は、当た…

第1341回 飛騨の地が発する太古の地球の息吹。

約1500万年前、ユーラシア大陸の端っこの部分が南北に引き裂かれ、大陸とのあいだに内海ができて日本列島の原初の形となった。 引き裂かれた南の大地の端っこが岐阜県で、この東側に、太平洋から押しつけられた新たな大地が次々と火山活動を活発化させ、八ヶ…

第1338回 人間の意図を超えた力と、磐座。

山梨県北杜市小淵沢町に大滝神社があり、この場所は八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ。「日本名水百選」に選ばれているが、日量22000立方メートルと豊富な水量を誇り、一年を通して水温は12度。 東京の武蔵野台地でもそうだが、井の頭公園や石神井公園、等々力渓…

第1337回  見えないものをみるために

「見えないものを見るためにカミオカンデを作った。」 これは、自らが設計を指導・監督したカミオカンデによって史上初めて太陽系外で発生したニュートリノの観測に成功し、ノーベル物理学賞を受賞した小柴 昌俊さんの言葉。 スーパーカミオカンデは、カミオ…

第1331回 過酷極まりないサハラに生きる自由。

写真家の野町和嘉さんが激賞していた、ハッサン水谷さんの写真集「サハラ蒼氓」を拝見した。 サハラの写真と言えば、野町さんの写真を思い浮かべるが、その野町さんが高く評価するサハラ世界の写真はどんなものだろうと期待していたが、野町さんが言っていた…

第1326回 京都の桂川流域に秘められた歴史の真相。

京都は日本の歴史文化の宝庫とされていますが、観光地の大半は豊臣秀吉以降の時代に作られたものが多く、多くの人が古都の街並みだと勘違いしている祇園は明治維新以降のものです。 京都のなかで平安京遷都の1200年前より古い聖域は、京都の西側の桂川沿いに…

第1325回 鬼伝承の地と、鉱物資源と、交通の要衝。

岐阜県瑞浪市の鬼岩。ここは木曽川支流の可児川の源流に近く、巨岩群の中を、清冽な水が勢いよく流れている。 この地は日本有数のラジウム温泉の場所で、すぐ近くに、日本最大のウラン鉱脈がある。 鬼岩から5kmのところには、高レベル放射性廃棄物の処分の…

第1321回 試しながら修正をくわえて最適をめざすこと

スティーブ・ジョブスの日本文化への関心はよく知られており、彼は、来日のたびに、京都の苔寺(西芳寺)を訪れていた。 スティーブ・ジョブスは、次のように言っている。 「カスタマーエクスペリエンス(顧客体験)をもとに、テクノロジーを構築していくこ…

第1317回 苦海と浄土がつながるコード

今年に入ってから、現代と古代のコスモロジーというワークショップセミナーを行っており、次の5回目を4月22日(土)と23日(日)で計画している。 https://www.kazetabi.jp/%E9%A2%A8%E5%A4%A9%E5%A1%BE-%E3%83%AF%E3%83%BC%E3%82%AF%E3%82%B7%E3%83%A7%E3%…

第1316回 身体性が伴った写真について

前回、今年度の写真界において、新田樹さんが木村伊兵衛賞と林忠彦賞のダブル受賞をしたことを書いたが、土門拳賞は、船尾修さんが受賞した。 本人にも伝えたけれど、船尾さんの受賞は予想通りだった。そもそも私は、数年前の「フィリピン残留日本人」が土門…

第1305回 いのちを繋ぐ力とは

若い友人に返答するための文章を書いていたら、「コスモロジー」というテーマで、本作りやワークショップを行っている自分の潜在意識が浮かび上がってきた。 「Sacred world」の本作りにおいて、私は、古代史研究をやっているつもりはないし、写真においても…

第1296回 日本古代のコスモロジーと、日本の地質。

日本という国の中を移動する時、列車や高速道路を使ってしまうと気づかないが、古くからの街道、とりわけ河川沿いの道を通ると、この国の地質的な特徴がよくわかるし、そうした地質的な特徴が、文献資料や考古学的成果から見えてこない歴史の真相に近づく鍵…

第1293回  The Creation Vol.2 天と地の曼荼羅

年が明けてから集中的に取り組んできた「 The Creation Vol.2 天と地の曼荼羅 大山行男写真集」の全体構成とレイアウトとデザインが、ほぼできあがった。あとは、少し熟成させて、若干、写真を差し替えたり、整えたりの作業だけが残る。 この本は、富士山の…

第1281回 伊勢神宮という聖なる舞台装置

伊勢神宮 宇治橋 伊勢神宮 五十鈴川 先ほどのタイムラインの続きだが、伊勢神宮を訪れると、”つくられた聖域”という気がしてならない。 伊勢神宮は、おそらく、律令制の始まりに、聖なる舞台装置として作られたのではないかと思うのだ。 もちろん、そうだと…

第1276回 量子コンピューターの時代の思考特性とは?

花背の三本杉。(京都府京都市左京区) 3日前のイベントの後の懇親会で、「花背(京都市左京区)の三本杉のところに白鷹竜王の碑がありますが、あれは何ですか?」という質問を受けた。この偶発的で、ローカルで、普通の人にとってはどうでもよい問いから、…

第1275回 人類の時空に対する意識と、歴史のサイクル。

小樽の忍路環状列石。 11/21(月)の19:00-21:00 京都のIMPACT HUB KYOTO https://kyoto.impacthub.net/ で行うトークにおいて、どういう切り口でやろうかと考えているのだけれど、今回は、歴史というより時空の話をしようと思う。 われわれホモ・サピエンス…

第1270回 日本の神話と火山の関係

浅間山の「鬼押出し」 。1783(天明3)年の噴火の際に、浅間山の山頂から流れ出た溶岩流。 全国に約1,300社の浅間信仰の神社があるとされるが、浅間神社は、現在、富士山への信仰の神社とされる。さらに、浅間神というのは、ニニギと結ばれて山幸彦と海幸彦を産…

第1266回 北九州と常陸と四国をつなぐ国づくりの糸

大洗磯前神社(茨城県大洗町) たった一つの場所のことを書くだけなのに、その一つの場所は無数の事柄と関わってきてしまい、手短に書けなくなってしまった。あまりにも長い、一つの場所に関する取材メモ。 今回の旅で房総半島から茨城の鹿島灘を北上し、辿…

第1265回 人間の流儀

昨日の夜遅く、テレビをつけたら、京大総長でゴリラ研究で知られる山極壽一さんが出ていて、人間の暴力性の起源と理由についての話を展開していたので、しばらく聞き入っていた。 山極さんは、ゴリラという生物は暴力的だと思われているけれど実際は平和を望…

第1263回 日本文化の根本原理

香取神宮 旅の記録メモのつもりでも、他の場所との関係で考えていくと、どうしても長くなってしまう。 このたび、茨城県の鹿島神宮と千葉県の香取神宮を訪問した。 現在、神社が国家の管理から離れているため、「神宮」を称するかどうかは各神社の判断に任せ…

第1260回 古代海人と太陽神の関係。淡路から伊勢へ。

舟木 石上神社 淡路島の舟木にある石上神社は、小高い丘の上の巨石群が御神体となっている古くからの聖域。ここは、現代の日本とは思えない異界のような雰囲気が漂っているが、今でも女人禁制を守っている聖域である。 女人禁制だからといって、女性を差別し…