第1419回 Eventful  Life  波乱万丈だったけれど、色々と面白かった人生

人によって色々な生き方があるし、何をもって自分の人生を満足なものとするか、人それぞれだ。 友人の奥さんが肺癌で亡くなったと連絡があった。正月に会った時、咳の音がよくなかったので、覚悟はしていた。五年前に癌だとわかったものの、去年の春先までは…

第1418回 原始のエッセンスが持つ普遍性。

嬉しい頼りが地球の裏側から届いた。 アフリカのルワンダで、「イミゴンゴ」という伝統アートの調査活動と、普及のための展示や販売を行っている加藤雅子さんが、このたび私が制作した「始原のコスモロジー」を、現地でイミゴンゴの制作を行っている人々に見…

1417回 今という永遠の中に在る縄文のコスモロジー

縄文人は、同じような生活を10,000年続けていたとされ、さらに彼らの居住地は、ずっと同じで、竪穴式住居が、前の世代のものの上に積み重ねられるように作られているところが多い。 つまり、他の地域に移る必要がないほど、暮らしが安定していたということに…

第1416回 結果を求めるのか、結果としてそうなるものなのか。

結果を意識しすぎて、ストレスを抱えたり悩みこんだりする人が多いから、「結果にコミットする」と力強く宣言する会社が商売繁盛ということになるのかもしれないけれど、そもそも結果とは、そこを目指すものではなく、結果としてそうなった、というのが自然…

第1415回 歴史のサイクルと、自然のサイクル。

1783年の浅間山の大噴火(天明大噴火)で形成された鬼押出し溶岩。 この時の噴火で、関東一円に大量の軽石や火山灰が降り注いだ。大規模火山泥流は、利根川を流下して太平洋や江戸湾にまで到達した。また、火山灰が直射日光の照射を妨げて、天明の大飢饉の原…

第1414回 源氏物語と、宇治の謎。

宇治の宇治橋と、伊勢の宇治橋は、冬至のラインで結ばれており、冬至の日、伊勢の宇治橋の真ん中から、太陽が上るが、宇治と同じく橋姫を祀る伊勢の饗土橋姫神社の位置は、この冬至のライン上にある。 ネットニュースを流し読みしていると、HNK大河ドラマへ…

第1413回 写真に気配が写るとは?

私がピンホールカメラで撮っている写真において、”気配”のことについて質問されることがよくある。 「磐座」や「御神木」「滝」などの聖域に立った時、古代から大切に守り継がれてきた何か、もしくは秘められた先人達の声などを嗅ぎ取ろうとして撮影している…

第1412回 「Perfect Days」!?

1980年代、毎週のように映画館に通い、とくに日比谷シャンテ等でヨーロッパ映画をよく観ていた人で、ヴィム・ヴェンダースの「ベルリン天使の詩」など一連の作品が好きだった人は、きっと「Perfect Days」を観に行くんだろうな。 私もその一人なので、雨がし…

第1411回 大震災と、細い運命の糸でつながる生命。

この写真は、能登の大地震の後に写真家の渋谷敦志さんが撮った輪島市の白米千枚田。 美しいというより、儚くて切ない風景。 昨年の11月末、輪島から珠洲に向かう途中、20年ぶりに立ち寄った時は、土と潮の香りが満ちていた。 何の説明もなくこの写真を見たら…

第1410回 今こそ知るべき源氏物語に秘められた真相(3)

二日間にわたった源氏物語と紫式部の背後に秘められたことについて長文を書いてきたが、これがまとめ。 ここに添付した地図に、その全てが凝縮しており、これを見ると、紫式部や藤原道長と同時代の陰陽師である安倍晴明すら、ここに関わっているかもしれない…

第1409回 今こそ知るべき源氏物語に秘められた真相(2)

昨日、紫式部を主人公にしたNHK「大河ドラマの」への違和感から、源氏物語が書かれた背景について長文を投稿したが、本題はここからである。 さらに、2日前の投稿において、「”もののあはれ”という日本のコスモロジーは、古代ギリシャでは無知の知、古代イン…

第1408回 今こそ知るべき源氏物語に秘められた真相(1)

源氏物語の後半の舞台、宇治にある宇治平等院。もとは、藤原道長や宇多天皇の別荘。末法思想の影響で、道長の息子の頼通が寺に改めた。 ネットニュースで、NHKの大河ドラマで紫式部のストーリーが始まったと伝えられていた。 それに付随する形で、源氏物語の…

第1407回 能登半島の記憶と、人生の転機。

今回の地震で津波の被害が大きかった珠洲市の聖域の岬。古代は、日本海交通の要だった。 このたび作った「始原のコスモロジー」には、能登半島の写真が奥付けを含めて5点入っている。 11月下旬に京都から東京に移動する際、ふと思い立って能登を一周した。…

第1406回 最果ての能登は、人生の折り返し地点でもあった。

石川県能登町の真脇遺跡。縄文時代の環状木柱列。 東京から京都に戻ってきた。一ヶ月少々前、京都から東京に移動する時、前々日にふと思い立って、能登半島を一周することを決めた。 2023年中に発行するつもりだった「始原のコスモロジー」で使用する写真の…

第1405回 日本列島の上に生きることの意味

高瀬宮(石川県志賀町) 昨日の大晦日、フェイスブックに、次のような記事を書いて、いつも通のように、翌日の今日、ブログに同じ記事をアップしようと思っていたが、能登の大地震が起きて、戸惑っている。 昨日書いた記事は、このようなものだった。 ______…

第1404回 神話の境界

『始原のコスモロジー』が到着して、わりと早い段階で写真についての感想をいただいていたが、文章の方は、今になってようやく感想をいただけるようになった。 この本は、ピンホール写真にも特徴があるけれど、やはり文章世界が軸になっているので、少しずつ…

第1403回 勘の働きと、人工知能。

14 ピンホールカメラというのは、単なる木箱に針穴が空いているだけで、その針穴から差し込んだ光が、フィルムに画像を定着させる。 裁縫で使うような針で穴を空けると1mmくらいの穴になってしまい、光の量が多すぎて画像全体がぼけすぎてしまう。それもまた…

第1402回 コスモロジーを置き換える時

寒さのピークはこれからかもしれませんが、冬至という折り返し点を越え、今日から少しずつ日が長くなっていきます。 2024年の始まりにあたって、1月13日(土)、14日(日)、第14回、ワークショップセミナー「始原のコスモロジー」を、1月13日(土)、14日(…

第1401回 天命を全うすること

戦後写真界の巨匠で、現在も現役バリバリで、尊敬というより畏怖すべき存在である写真家から、このたび発行した「始原のコスモロジー」について、「白川静さんの『字統』や『字訓』に通じる極めて大きな仕事であり、(写真の)巨樹、巨岩、海、水が、なんと…

第1400回 ものづくりや表現の羅針盤。

自分が作ったものに対する人の評価というのは、気にならないというと嘘になる。 でも、その評価が自分に影響を与えるかというと、まったく関係ない。 「テレビや雑誌に取り上げられました!」みたいなことも、テレビとか新聞といった記号的な組織の評価基軸…

第1399回 シンギュラリティ(技術的特異点)と、古代のコスモロジー。

昨日と今日は、今年13回目、今年最後のワークショップ セミナー。 ちょうど一昨日、古代のコスモロジー〜日本の古層vol.4〜が納品されたので、ベストなタイミング。 (詳しい内容は、こちらのサイトへ) www.kazetabi.jp 今回の本、これまでの3冊より写真が…

第1398回 この時代における写真家の存在意義

昨日、私が選考委員をつとめさせていただいている笹本恒子賞の受賞式が行われ、久しぶりに、受賞者の高橋宣之さんにお会いしました。 今回の受賞に合わせて、アイデムフォトギャラリー「シリウス」(東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2 F)において、…

第1397回 つながる縁の力に支えられて。

私の事務所にある鈴鹿芳康さんと鬼海弘雄さんの写真 鬼海弘雄さんに背中を押されなければ、私は、日本の古層の書籍化を考えなかったけれど、鈴鹿芳康さんとの出会いがなかったら、私はピンホール写真を始めていなかった。 不思議なことに、鈴鹿さんとは、テ…

第1396回 畏れのなかに含まれた敬意や憧憬。

神社や祭祀場などの聖域が、その場所に在る理由は、現場に行かなければわからない。 ひっそりとそこに在る物は、時の風化によって本来の形を変容させていても、何事かの気配を今に伝えており、その気配は、その場所に立ってみなければ感じ取れない。 聖域と…

第1395回 聖域の求心力

文化人類学における誠実な研究者は、異文化世界を理解するために、外から客観的に分析するのは自分が属する世界の基準を異文化世界に押し付けるだけだと弁えている。 しかし、歴史の探究においては、どうだろうか? 文化人類学の場合は、フィールドワークで…

第1394回 誌面を通じた旅体験。

私が、風の旅人を作っていた時、潜在意識に働きかけるビジュアルをリード役とし、その後に言葉によって意識化を深めるという読まれ方を想定していた。 本を買った人は、とりあえずビジュアルの全体に目を通して何らかのイメージを掴む。文章は、その後、少し…

第1393回 日本の大地と聖域について

日本は山国であることを誰でも知っているし、東京23区に住んでいる人以外は、日々、それを実感している。 しかし、なぜ日本が山国なのかという理由を考えることは、あまりない。 一般的には、日本が火山国だからと思っている人が多いのだが、たとえば近畿に…

第1392回 現代人が見失っている「視る能力」について。

中世の人に比べて現代人は、聴覚より視覚に意識が偏っているという話を聞いたことがある。 文化人類学者の川田順造さんが、「曠野から」という本の中で書いているのだけれど、無文字社会のモシ族のフィールドワークにおいて、神話の語り会があるというのでオ…

第1391回 始原のコスモロジー

始原のコスモロジー 日本の古層Vol.4の納品日が決まりました。 12月15日(金)です。 現在、ホームページで、お申し込みの受付を行っています。 出版に合わせて(タイミングが良かっただけですが)、12月16日(土)、12月17日(日)に、東京の事務所で、ワー…

第1390回 人間の傲りを抑制する日本の聖域

真脇遺跡 石川県鳳珠郡能登町 ギリシャのパルテノン神殿やエジプトのピラミッド、シリアのパルミラ、マヤのティカール、エチオピアのラリベラ、アンコールワットやボルブドゥール、タクラマカン砂漠の楼蘭遺跡も含め、世界中に残る遺跡の大半を訪問したけれ…