第1141回 鬼とは何か? という本質的な問い(5) かぐや姫の背景にあるもの(前半)

前回の記事で、第11代垂仁天皇の時に、甚凶醜(いとみにくき)という理由で後宮を出され、その途中、堕国で自殺した竹野媛のことを書いたが、多くの人はマニアックな話だと思うだろう。しかし、この話は、誰もが知っている「かぐや姫」ともつながっている…

第1140回 鬼とは何か?という本質的な問い(4) 桓武天皇と継体天皇と明治維新の不可思議な縁の裏側

鴨川と桂川の合流点。左が桂川、右が鴨川。背後に見える山は、左が比叡山、中央が東山、右が、上醍醐。 歴史はつながっているという当たり前のことを、現代社会において、あまり意識されることはないが、過去においては、歴史のつながりを無視できない時期が…

第1139回 鬼とは何か? という本質的な問い(3)  古代の復活と、6世紀。

6世紀、古墳の規模は小さくなったが、石室は大きくなった。そして、縦穴式から横穴式に変わった。単に、古墳の様式が変わったというのではなく、世界観が変わっている。この6世紀に起きた世界観の変容は、日本文化の本質を考えるうえで、きわめて重要では…

第1138回 鬼とは何か? という本質的な問い(2) 京の都の背後にあるもの

識られざる神霊の支配する世界に入るためには、最も強力な呪的力能によって、身を守ることが必要であった。そのためには、虜囚の首を携えて行くのである。道とは、その俘馘(ふかく)の呪能によって導かれ、うち開かれるところの血路である。 (白川静 道字…

第1137回  鬼とは何か? という本質的な問い(1)

意識的に鬼を追っていたわけでなく、無意識に訪れる場所が、たまたま鬼の聖域であったということが多く、まさにそれは鬼に導かれているかのようだった。 そして、かなり鬼の核心に迫ってきたように思う。 西加茂大将軍神社の立砂 今日、平安京の大極殿の真北…

第1136回 日本文化の古層に流れる縄文人のコスモロジー

北海道 積丹半島 北海道 積丹半島 水無しの立岩。 私が子供だった頃、文明は、約5000年前、大河のほとりで生まれたと教わった。エジプト、メソポタミア、インダス、黄河だ。農耕が始まり、富の蓄積によって文明は生まれたということだった。 しかし、近年、…

第1135回 卑弥呼の時代に栄えた三島地方の謎

伝承に登場するほとんどの鬼が、一方からは極悪として描かれているのに、もう一方からは、人情味があったり、人のために尽くし恩恵を与えてくれた存在として描かれている。 その例としては、吉備の鬼退治に登場する温羅(うら)という鬼がよく知られている。…

第1134回 日本の重要な聖域を結ぶ不思議なライン

なんとも不思議なことに、日本の重要な聖域が、このラインのなかにきれいに収まる。 桜島のコノハナサクヤヒメを祀る月読神社から、足摺岬と室戸岬を横切って伊勢神宮を通るラインは、コノハナサクヤヒメが祭神の富士山から、武蔵国一宮の小野神社を経由して…

第1133回 早わかり歴史講座の問題点。

先日、友人の写真家のところに行ったら、奥さんが歴史に関心が深くて、オリエンタルラジオというお笑いコンビの中田が、ユーチューブで歴史講座をやっていて、ものすごい数の視聴者がいて、けっこう面白いよと教えてくれた。 それで、ちょっとユーチューブを…

第1132回 国生み神話や国譲り神話と、「いかるが」の関係。

ここ数ヶ月、近畿に6箇所ある「いかるが」の地を探索してきた。 「いかるが」と聞くと、法隆寺のある奈良の斑鳩を思い浮かべる人が多い。 そして、奈良の法隆寺以外に「いかるが」という地名があると、法隆寺を作った聖徳太子との関係だろうと整理されてし…

第1131回 無念を承知の人生。

池袋で、鬼海弘雄さんの供養のための飲み会が終わった。鬼海さんの本当の供養は、という話となった。鬼海さんが、あちらの世界で、もっとも喜ぶであろうことは? 人は、この世を去ることで、良い意味で悪い意味でも。その存在が、永遠となる。人は亡くなって…

第1130回 魂の交流と、天命

お使い帰りの兄妹 撮影:鬼海弘雄 生前、私を同志と言ってくれた鬼海さんは、2020年10月19日、75歳で逝ってしまった。 そして、若造の私にとって恩師だった日野啓三さんは、2002年10月14日、73歳で他界された。鬼海さんも日野さんも、ほ…

第1129回 撮ることの秘儀  鬼海弘雄さんの写真について

鬼海弘雄さんの写真で素晴らしいものはたくさんある。 その中で、例えば、この一枚の写真には、鬼海さんの人柄や、哲学、そして写真の凄さ、写真表現だからこそ可能なことが、ぎゅっと詰まっている。 これは、鬼海さんが、トルコのアナトリア地方を旅してい…

第1128回 追悼 鬼海弘雄さん(2)

Impact hub Kyoto で行った鼎談「黙示の時代の表現〜見ることと、伝えること〜」(右から、鬼海弘雄さん、小栗康平さん、佐伯剛) 撮影:市川 信也さん 2018年11月11日。とっても楽しかった。この後、小栗さんと鬼海さんで、何日、我が家に泊まって…

第1127回 追悼 鬼海弘雄さん(1)

10月19日、鬼海弘雄さんが、2年あまりのリンパ腫との闘病の末、亡くなった。 春頃までは、電話がかかってくれば、次の本作りのことや、良くなったらあと一回、トルコに取材に行きたいなあとか、そういう前向きな話ばかりだった。きっと、自分を鼓舞して…

第1126回 ものの気配と、永遠

人はよく「気配を感じる」とか、写真などで、「気配が写っている」とよく言うのだけれど、”気配”って、何かしらんと思う。 私は、古くからの聖域を訪れる時、ピンホールカメラで撮影するとともに、コンパクトのデジタルカメラでも記録している。 そして、そ…

第1125回 八百万の神とは何か。

兵庫県姫路市西脇の破磐神社の御神体「割れ岩」。 日本という国は、古代から八百万の神といわれるように無数の神が存在する。 その一つひとつの神のことについて、それがいったい何を意味するのかと説明したところで、古代の人々が感じていた神に、どれだけ…

第1124回 古代いかるがの謎がつなぐ世界。

明石港の近くに、風の旅人の頃からの読者が住んでいて、おととい、明石に着いた後、「明石港の近くの伊弉冊神社と岩屋神社のあたりを徘徊しましたよ」とメールを送った。 すると、彼女は、なんの意味の含みもなく、「伊弉冊神社は、地元では”さなぎ”っていう…

第1123回 いかるがの背後にあるもの(5) 食物を司ることの意味の深さ 

斑鳩寺 (兵庫県揖保郡太子町)。境内に稗田野神社の御旅所があり、稗田神社と深い関係にあった。稗田神社は古事記の制作に関わった稗田阿礼を祀っているが、稗田阿礼は、鎮魂儀礼に携わっていた猿女氏である。 第1121回の記事において、第12代景行天皇や神…

第1122回 歴史の事実よりも、歴史のリアリティが大事

相生の松 京都から、加古川、高砂経由で明石へ移動してきた。 加古川の下流、海のすぐ近くに、川の両岸に分かれて高砂神社と尾上神社が鎮座し、ともに相生の松がある。この二つの相生の松は、世阿弥作の能の「高砂」の謡曲で知られ、結婚式では定番の松だ。 …

第1121回 いかるがの背後にあるもの(4) 源氏物語や住吉神との関係について。

明石海峡を望む地に築かれた五色塚古墳。神功皇后が三韓遠征の勝利の後、ヤマトの地に凱旋する時、反乱を起こした忍熊皇子が、淡路島まで船を渡しその石を運んで赤石(= 明石)に陣地を構築したとあるが、それがこの場所であるという伝承がある。墳丘長は194…

第1120回 ”いかるが”の背後にあるもの(3) ヤマトタケルとの関係について

加古川のいかるが、鶴林寺の本堂と太子堂。 (第1119回の続き) 日本神話において、日本を一つにまとめるために東に西にと遠征し続けたヤマトタケルの出生地が、兵庫県加古川の”いかるが”の地である。 前回の記事で書いたように、加古川の西岸には仁徳天皇陵…

第1119回 ”いかるが”の背後にあるもの(2)

西播磨のいかるが。兵庫県揖保郡太子町の斑鳩寺。 ”いかるが”と聞くと、一般的には、聖徳太子の法隆寺がある斑鳩を連想するが、その歴史は、もっと古い。”いかる”は、洪水を意味するイカリミズとつながり、感情が溢れ出す怒りでもあり、それは祟りともつなが…

第1118回 ”いかるが”の背後にあるもの(1)

斑鳩の法隆寺のことを知らない人はいないと思うが、イカルガという地名は、私の知る限り、近畿圏で6箇所ある。 そして、その中で、斑鳩の法隆寺が一番古いというわけではない。 日本の古代史のなかで、史実かどうかはともかく、もっとも古いイカルガの記録…

第1117回 京都の古層と、北野天満宮。

京都、太秦の地に築かれた蛇塚古墳。石室は全長17.8メートルで、同じ飛鳥時代に作られた石舞台古墳に匹敵する。玄室の大きさは日本で六番目、積み上げられた岩石は、チャートである。 京都の北野天満宮は、九州の太宰府天満宮とともに学問の神様として崇めら…

第1116回 時を超えた物づくり

亀岡の歴史探求の延長で、亀岡の漆作家、土井宏友さんの工房へ。最近、古代の丹生、すなわち辰砂(硫化水銀)の産地を訪れることが多く、土井さんは、本物の辰砂を使った漆作品を作っている。 また、土井さんは、古代から大切にされてきた錫(銅と化合させて…

第1115回 菅原道眞と藤原道長のつながり

第1112回ブログ 「歴史を知ることは未来を知ること」 https://kazetabi.hatenablog.com/entry/2020/06/28/172054 の続き。 この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば 藤原道長が詠んだとされるこの歌は、盤石な権力を手に入れ、得意の…

第1114回  美意識と人生の選択。

京都郊外、日本一の高さを誇る花脊の三本杉。現存する樹木としては国内最高となる62.3メートル(右端の杉)、残りの二本も、国内第2位と5位。 古樹と巨岩と水の流れ。悠久の時間を感じさせるものと、絶えず流転していくもの。古代から日本人の心に受け継が…

第1113回 自然と人間のあいだ

1日の降雨量が、1ヶ月の平均総雨量と等しいとか、その2倍、3倍であるという報道が増えた。 梅雨の7月は、例年でも降雨量が多いのに、以前なら1ヶ月かけて降り積もった雨量が、たった1日で降ってしまうという状況は、いったい何を物語っているのか。 …

第1112回 歴史を知ることは、未来を知ること。

私が子供の頃もそうだが、日本の歴史教育は、本当につまらないものになっている。「鳴くよウグイス平安京」と、何年に何が起こったかと、権力者や優れた業績を残した人の名を覚えることが重要視され、教科書に載っていることを正確に覚えて書けるかどうかを…