『風の旅人』編集だより

心の旅をテーマにした『風の旅人』は、二ヶ月に一度、書店で発行しています。
http://www.eurasia.co.jp/syuppan/wind/index.html

また、全国の三井住友銀行みずほ銀行UFJ銀行の営業所に2〜3冊ずつ置かれています。

二ヶ月に一度といっても、二ヶ月後のことを考えて編集しているのではなく、だいたいいつも、半年から一年先の構想をモワモワと練りながら、少しずつ整えていきます。

通常の雑誌だと、「今」という時間が切り口になるのだと思いますが、『風の旅人』は、もう少し大きな時間の流れのなかで、モノゴトと付き合っていきたいのです。
といって10年とか20年ではありません。何百年、何千年、何万年、何億年といった時間の単位です。といって、歴史のお勉強ではありません。過去から現在、そして未来へと連なっていく時間のなかに生きているという感覚を、どのように映像化し、言語化できるかということにトライしています。
 編集方針は、「複雑怪奇に見える現在において、ヒトが生きることの原点を見つめ直す」ということです。
 そういう編集方針があるからといって、誌面が簡単にそうなるわけではありません。やはり、日々、複雑怪奇に見える世の中の、「表層」にとらわれすぎずに、「深層」に思いを馳せることが大事なのではないかと思います。

「表面的な面は偶発的なできごとにすぎない。しかし、構成的な深い面は、いわば運命なのだ。ーアントワーヌ・ブールデル」

『風の旅人』の編集の仕方は、企画を立てて、それに見合う記事とか写真を入れて、というのではなく、ベクトルだけを決めて、モワモワとした思いを、構成的な深い面で統合しながら、写真と文章を組み上げていきます。
 だから、モワモワとした思いこそが、制作の源です。
 そのモワモワとした思いに、少し負荷をかけて、少しずつ形にしていく準備段階の作業を、この場でできればいいと考えています。