和解の裏側!?

 フジ、ライブドアと和解。どっちが勝ったか負けたとか、両者痛み分けとか言われているが、果たしてどうだろう。
 はっきりしているのは、フジテレビが投資した1470億円は、保身のためのお金であって、そこから何か新しいものを生み出すためのものではないということ。ニッポン放送を子会社化するため、当初の予定より50億円以上割高の1030億円を使い、ライブドアに440億円を投資した。ライブドアに投資した理由も、業務提携の為というより、ライブドアがフジテレビに牙を剥かないようにという措置ではないだろうか。
 ライブドアがフジテレビに資本参加すると、フジテレビやニッポン放送の経営に口だしをするかもしれないが、その逆になった今、フジテレビは、ライブドアの経営に口だしをできるだろうか。というのは、人件費が高いフジテレビとかニッポン放送の経営効率を今以上に高めようと思えば、経営に口だしをして、人件費などを正当な水準に下げるだけで実現できてしまう。しかし、ライブドアの経営効率を高めるためにどうすればいいか、フジテレビ側にアイデアはないのではないか。にもかかわらず、440億円もライブドアに投資するのだから、フジテレビは、ライブドアが経営悪化すると困る。といって、畑違いの分野だし、既に充分に経営効率を実現しているライブドアに対して、フジテレビのぬるま湯体質の経営者が口だしをする余地はない。自分の方に牙を向けないかぎり、ライブドアに自由にやってもらった方がいいということになる。それどころか、ライブドアの業績が悪化すると、440億円が紙くずになるから、業務提携などを通じて、救援せざるを得ない。結果的に、ライブドアは、リーマンブラザースから800億円を調達し、その時の転換社債をリーマンがライブドアの株式に変えてしまったのだから自社の株が薄まっただけで返金する必要もなく、フジテレビにニッポン放送の株を売ることで1030億円のキャッシュを得て、さらにフジテレビに出費させた増資資金の440億円を足して、今後、自由に経営できる体制を整えたのだ。その上、知名度もあがり、いざという時には、フジテレビが支援せざるを得ないという保険を獲得して。
 フジテレビが、当初予定していたニッポン放送株の公開買い付け価格より高い金額でライブドアから株を買うことで発生する差損は、結果的にリーマンブラザースの利益となった。ライブドアは、金銭的に損をしなかったが、フジテレビを買収できなかったので目的が適えられなかったなどと言われているが、本当の目的は、そういうところにないかもしれない。プロ野球の時もそうだが、結果的に莫大な広告効果を獲得しているうえ、経営上一番楽でメリットのある相手に増資を引き受けてもらい、多額のキャッシュを手にした。
  そして、もし、リーマンブラザースの背後にソフトバンクインベストメントがいたりすると、下手な小説よりも凄い。今回の和解案のなかに、ライブドアの440億円の増資をフジテレビが引き受けるという内容が盛り込まれているが、この案をフジテレビが作り出したとは到底思えない。ライブドアの脅威を取り除く為にと、ソフトバンクインベストメントに説得されたのではないか。ライブドアの脅威を取り除いた後、ポニーキャニオンを上場させて、キャピタルゲインを得ましょうなどと言って。もちろん、ソフトバンクインベストメントもそれに絡ませてもらって。もし断るなら、ソフトバンクニッポン放送から借りているフジテレビの株を返しませんよ、などと少し脅かして・・・。
 ソフトバンクインベストメントの北尾さんは、表向きはライブドアを非難するポーズを取りながら、実は、自分がシナリオを書いて、ライブドアとも手を組んで、ホリエモンに役者をやらせながら、その舞台に、この手のことに慣れない役者をのぼらせたのではないか。