山桜とシジュウカラ

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 山桜がようやく満開になった。

 今年の冬から巣箱を二つ桜の樹に設置して、その近くに、餌場を作ってヒマワリの種を毎朝置いていたら、シジュウカラが頻繁に訪れ、巣箱を利用するようになった。

 シジュウカラは、ヒマワリの種を一つくちばしでつまむと、高い枝まで素速く舞いあがり、安全を確かめてから、ゆっくりと食べている。餌場に舞い降りる時も、用心深く左右を何度も確認してから、行動を起こしている。野生の血が流れているのだなあと思う。

 それに比べて、最近ヒマワリの種を目当てにやってくるようになった雀は、まったく不用心だ。餌場にずっと長く居座って食べ続けており、そこに別の雀が来ると、喧嘩をして、互いに追い出そうとする。

 これまで、シジュウカラと雀は、互いに争うことがなかったのだが、春もたけなわになってきて、餌場の近くの空中でシジュウカラが雀を攻撃することが多くなった。

 シジュウカラは雀よりも身体の直径が1ミリか2ミリほど細い。だから、シジュウカラ用に作った巣箱に雀は入れない。

 身体は雀の方が大きいけれど、空中を舞う姿は、シジュウカラの方が圧倒的に鋭く、飛翔速度も速い。雀がヨタヨタ飛んでいるところを、シジュウカラが、ガツンと横から攻撃するのだ。

 シジュウカラは、春になって気性が少し荒くなった。

 巣箱のなかに卵でも産んだのだろうか。