「時と相」 そして今後について

 「風の旅人」第35号、永遠の現在?「時と相」が、そろそろ書店に出ます。

 森羅万象は、内も外もない生命流のうねりであり、多種多様な波が絶え間なく揺らぎながら、無限に連続しています。そのなかで、それぞれの波が複雑精妙に関係し合い、その時ならではの相が現れ、たちまち現れて、また消えてゆく。

 人間の営みもまた、その波のなかの一つの相にすぎないでしょう。

 自分以前から伝わってきた波を、自分の後に伝えていく一瞬の相。一瞬に輝く相は、それぞれが固有の美を持ちますが、その前後と無関係である筈がありません。

 風の旅人の各号もまた、そうした相の一つです。

 各号ごとのテーマは多少違いますが、その前後が、波のように連関しています。一つの波が次に送り出されることで、新たな波が生まれる。

 そのようにして、2003年4月の創刊以来、35号まで続けて来ました。

 しかし、現在、日本社会全体として、経済環境がとても厳しい状況になっております。また、インターネットや携帯電話の普及による出版不況もあり、今年、多くの雑誌が廃刊されました。

  これまでの「風の旅人」は、読者数と品質のバランスをぎりぎりのバランスを保ちながらの運営が可能でしたが、近年のエネルギー価格高騰の煽りを受けた紙代や運送費の上昇や、編集趣旨に共感いただいていた協賛企業が経済混乱の煽りを受けて相次いで離れていくなど、急激に運営状況が悪化しております。

 それに伴い、第36号(2009年2/1発行)から後は、「風の旅人」の発行を、従来の2ヶ月に一度を4ヶ月に一度に変更し、2月、6月、10月の3回を発行月と致します。

 定期購読をしていただいている皆様には、期間を伸ばし、1年契約の方は、6回、二年契約の方は、12回分を全うすることで、御了承いただければ幸いです。

 一冊一冊を、今まで以上に丁寧につくり、今まで以上にしっかりと販売を行い、協賛していただける企業を根気よく探し、長くなった発行の合間に資金を得るための仕事を積極的に行い、「風の旅人」の発行を支えていきたいと考えています。

「風の旅人」のような雑誌にとって、非常に舵取りの難しい時代でありますが、これまでの6年間の経験のなかで、日本には、こうしたものを大切に感じてくださる方が想像以上に存在するという手応えを感じていることも事実です。その手応えを拠り所に精進して参りたいと思います。

少しでも気に入っていただける点がございましたら、ぜひ定期購読をお願いできればと思います。また、お知り合いなどにご紹介いただけることを心より願っております。