風の旅人 復刊第一号

 風の旅人 復刊第一号に向けて、写真が少しずつ固まってきた。テーマは、「修羅 2011-phenomena」。この場合の現象(phenomena)というのは、表層を流れ行くものではなく、潜在的に隠れていたものが事象(事件)として浮かび上がってくること。見えていなかったものが見える。だからそれは、兆しでもある。

 復刊第一号のテーマの背景として、当然ながら昨年の3.11以降の世界のことがあるが、原発問題など、単純に二項対立で善悪を論じたくはない。「修羅」(阿修羅)は、古代インドでは魔神だが、古代ペルシャにおいては最高神アフラ・マズダーであり、その激しい闘争は生命生気の象徴でもあった。

 生きていくことは、そんなに生易しいことではないということを深く自覚したうえで、現在の状況をどう捉えるか。修羅というテーマにはそうした思いがこめられている。

 復刊第一号は、2012年12月を予定している。