自然教育園の紅葉

 今日の午後、目黒の自然教育園を散歩する。天気があまりよくなかったせいか、ほとんど人と出会わなかった。でも、紅葉は今日あたりがベスト。小道は落葉が敷き詰められ、カエデも真っ赤だった。ムラサキシキブの、小さな球形・紫色の液果が、寒々とした空気の中、とても美しい。至る所に小さな液果があり、小さいなりに、強い存在感を放っている。

 この自然教育園は、整備された公園ではなく、原始の森という雰囲気で、樹齢数百年という大木も多数生い茂っていて都心とは思えない自然に触れることができるのだけど、年輩の人が少しウオーキングをしているくらいで、若い人はほとんど見あたらない。

 スコットランド国立美術館展を見に渋谷まで行った時は、歩けないほど混雑していて、あの混雑のなかで歩きながら煙草を吸っている人がいたりして、たった二駅なのに、別世界のように差がある。

 目黒の自然教育園は、東京で私が一番好きな場所なのだけど、他の人にあまり人気がないみたいだ(もしくは、あまり知られていない)。隣の庭園美術館では、今、マイセン展をやっていて、随分遠くから、いろいろな人が訪れている。先週行った時は、女性が集団であれこれ言いながら見ていて、うるさかった。なかには、毛皮のコートを着て香水の匂いをプンプンさせた若い女性が、友人と一緒にまわりながら、「これくらいのが、うちの玄関にあるわ、300万円くらいかしら。地震が来たら、どうするのかしら・・・。これなんか、1億は超えるんじゃない」などと、たいそう品のあるお話をなさっていた。

 私の目には、1億円の価値は全然わからなかった。伝統工芸もまた、需要と供給の関係で、値段がつくものなのだろう。

 いずれにしろ、他の人が好きなモノは興味がなくて、他の人があまり関心のないものを好きな方が、安く手に入ったり余裕で楽しめたり、いろいろと恩恵が多く、生きやすい。

 そして、夜、息子を連れて国立競技場に行き、トヨタカップを見る。エジプトとサウジアラビアのチームだったが、満員とはいかないまでも、そこそこ客は入っていた。

 冬の夜の試合ということで、かなり厚着をしていったが、途中、雪がチラホラ舞ってきて、ものすごく寒かった。

 どちらが勝ってもいいという試合は、見ていてもまったく気持が盛り上がらない。息子は、理由もなくサウジアラビアを応援すると決めて、応援して勝ったので「ヤッター」と喜んでいたけど。