2004-01-01から1年間の記事一覧

THA BLUE HERB

12月29日、雪がちらつく東京・新宿・ロフト。「THA BLUE HERB」のラスト・ライブに行ってきた。地下一階の薄暗い会場は人で埋め尽くされていた。行く前は、ディオニソス的な興奮と熱狂をイメージしていた。しかし、数百人という若者が、ほと…

風の旅人の協賛ページ

「風の旅人」の12月号に三つの企業協賛があります。訪問介護などを主たる業務としている会社と、都心部を中心に小規模マンションを建造、販売、賃借をしている会社と、写真及びデザインの学校です。これらの企業には、大部数の「風の旅人」を定価で買い上…

写真の可能性

写真表現には、世界を再認識させる力が間違いなくあると思う。 しかし、今日の写真の取り扱われ方と、写真家自身の意識が、それを阻んでいる。 まず、メディアにおいて写真は、文章に従属させられている。言葉で伝えるべきものが最初にあって、その裏付けと…

現代芸術って?

現代美術は、人によってわかるとか、わからないと言われる。 わからなくてもいい、感じさえすればいいという人もいる。でも、そう言われても、何かすっきりしないものが残る。なぜかというと、感じるという感覚が無目的にそうなっているのではなく、自分の中…

田原桂一のアート

自然教育園を散歩しようと思って家を出たら、その隣りの庭園美術館で「田原桂一展」をやっていたので、少しのぞいてみた。 でも、大して感じるものはなかった。この種のものを、よく「幻想的」と評する人がいるが、最初から幻想的になりそうなものを作ろう…

神は細部に宿る

中村征夫さんの東京湾と同じく、来年の4月号の「生命系 30億年の時空」の特集で、水越武さんのバイカル湖の写真を紹介する。 その写真をだいたい組み上げることができた。水越さんの写真は、創刊号と第六号で紹介したが、いつもじっくりと見るだけで魂に…

21世紀という時代

「20世紀は既成の結びつきを断つ際に生まれるエネルギーによって進んできた。分子間構造を断ち切る”原水爆”も、地縁血縁に関わらない”実力主義・立身出世”も、”性の解放”も”ゴジラ”も。」 根コさんのこのコメントを見て、頭をよぎったのは、20世紀の宿業…

東京湾の”いのち”

中村征夫さんの東京湾の水中写真とじっくりと向き合った。 2005年4月号、「自然と人間のあいだ〜生命系 30億年の時空〜」のためだ。 中村さんは、29年間も東京湾に潜り続けて、水中写真を撮り続けている。それらの写真は、驚くべき生命の豊饒を語っ…

環世界

日郄敏隆様拝啓 ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。 本日、2005年4月号の企画書と、掲載写真をお送りします。 4月号のテーマは、「自然」と「人間」のあいだ?〜生命系、30億年の時空〜です。 「自然と人間のあいだ」というテーマを掘…

言葉と音楽性

ozetinさま 頭をひねっていただいて、有り難うございます。 トラックバックに対する返事、長くなりそうなので、こちらに書きます。 お世辞でなく、ozetinさんの文章は、素直で、筋がとおっていて、読んでいて気持ちがいい文章だと思います。この…

新しいイリュージョン?と保坂さんの小説

11月23日のBLOGで、今日の小説家の作品のなかで読みたいと思う数少ない一つが保坂和志さんだと書いた。 そのあたりの理由は、「新しいイリュージョン」に関係あるように思える。 今日にかぎらず、人間の歴史のなかで、各時代ごとに異なる人間の環世…

新しいイリュージョン!??

イリュージョンというのは、『風の旅人』に連載していただいている動物行動学者の日高敏隆さんの「動物と人間の世界認識」(筑摩書房発行)に詳しいが、簡単に言ってしまうと、人間や動物それぞれの世界の見方や感じ方だ。動物も昆虫も人間も、それぞれが自…

ニヒリズムを超えて

佐伯啓思様 お世話になっております。 現在、<ニヒリズムを超えて>というテーマで、「東京」をご執筆いただいていますが、今後のことについてご相談があります。 大阪を三回やり、東京を三回やりました。東京はもっと掘り下げる必要がありますが、いった…

「理」に近づく??

006さんの問いに対する私なりの考え(続き) 宇宙は、人間に、自己意識(から生じる分別)」を発生させ、回り道をさせる。 そうすると、「自己意識(から生じる分別)」って何だという疑問が最後に残る。 人間は、宇宙的システムから誕生したのだから、宇…

「理」に近づく??

コメントのなかで006さんが問われていること、 「無意識を意識するっていう矛盾したこと。そんな「気付き」を繰り返して繰り返して様々なことを体得して「理」に近付いて、結局どこへ向かうんでしょうね。」について。 私は、「理」から離れたモノが「理…

混沌から<かたち>へ

今日は見事に晴れ上がってしまった。 昨日の天気予報だと、一日中雨と予報が出ていたので、撮影を明日に変更しまった。 長期予報ならまだしも、翌日の天気すら当たらないということが度々ある。 異常気象で予報が難しくなっていると言うが、予報が当たらなく…

本橋成一さんの「アレクセイと泉」

昨日のセバスチャン・サルガドに対するコメントで取り上げられた「風の旅人」 Vol.10の巻末文を、ここに記します。本橋成一さんの、『アレクセイと泉』について 1986年に起こったチェルノブイリ原発の爆発事故で被災した小さな村の物語です。 畑か…

セバスチャン・サルガドの新作

セバスチャン・サルガドの新作を見る。テーマは、GENESIS(創世記)。ガラパゴス諸島と、コンゴが舞台だ。あくまでも、これは途中経過。プロジェクトは続行中で、サルガドは、今、エチオピアを撮っている。 この新作で、サルガドが撮った人間以外の写…

ジョルジュ・ド・ラトゥール展  (続き)

私個人の感じ方としては、フェルメールよりも、ベラスケスよりも、ラ・トゥールの絵の方がインパクトが強い。レンブラントもいいが、一枚の絵のなかのぎゅっとした濃密感は、ラ・トゥールの方がすごいと思う。見るだけで魂がへとへとになる。 ラ・トゥールが…

ジョルジュ・ド・ラトゥール展

昨日、国立西洋美術館の館長である樺山紘一さんに、我が社のイベントで講演をしていただいた。テーマは、ルネッサンスの芸術と都市。 樺山さんには、『風の旅人』でも連載していただいている。今、上野の国立西洋美術館ではマチス展をやっているが、あれだけ…

リオデジャネイロと自己認識

昨日、脱線してしまったリオのことについて。リオのイパネマ海岸に行くと、スタイルの美しい女性が、眩しい日差しの下、大胆に肌を晒している。しかし、誰一人、海で泳いでいない。ブラジルのリオと言えば必ず紹介されるイパネマの海岸の、あのTバックの美…

可能性に満ちた混沌

今日、ニューヨークで頑張っている写真家の田中克佳がNHKの取材とかで帰国して、編集部に来た。そして、今後の構想についていろいろ話しをしながら、ブラジルとリオデジャネイロの話題になった。 私もブラジルは二度ほど訪れたことがあり、好きな国の一つ…

挨拶をする

挨拶をするというのは、「気」を交換するようなことではないだろうか。 習慣のなかで、また、しつけのなかで、挨拶の大切さは自然のこととして受け継がれてきた。挨拶というのは、人類全体の暗黙知だと思う。数字や言葉にきっちりと置き換えられるものにしか…

風の旅人とフリーター

昨日から、3人の新人が、「風の旅人」の編集・営業・販路開拓部にくわわった。3人の共通点は、社会に出たばかりで若いということ。学校を卒業して、思うところがあって、就職(就社)しなかったこと。いわゆるフリーターだ。そして、なぜか「風の旅人」を…

ニヒリズムを超えて

「風の旅人」の連載で、佐伯啓思さんに、”ニヒリズムを超える”というテーマで書いていただいている。 ニヒリズムを超えるというのは、現代人を捉えている刹那的熱狂、冷笑、無気力、目先の現実主義や数理主義、教条主義などを超えて、生きていることの実感を…

「風の旅人」Vol.11の写真家たち

「風の旅人」に掲載される写真家のプロフィールは、誌面に載せないようにしています。 写真は、何の先入観も持たず、写真の力だけで訴求したいからです。 また、プロフィールを入れて写真家ごとに区切ってしまうのではなく、それぞれ異なる写真同士の相乗効…

茂木健一郎さんの身体的思考回路

昨日、「紅葉の美」について私が書いたことは、まるで答えになっていない。 おそらく(私の知るかぎり)、こうした問題について、日本でもっとも考えているのは、茂木健一郎さんではないだろうか。 茂木さんは、脳科学者として第一線で活躍されている。最初…

紅葉の美

今年の秋は、随分と雨が多い。 天候不順のせいか、庭の木が落葉するのも、いつもより遅いような気がする。 でもこの1週間ほどで、ぐっと加速した。 自然教育園も、11月14日に訪れた時に比べ、11月23日に訪れた時は、ぐぐっと秋の気配が深まっていた…

新しい身体的思考の回路

根コさん、テックさん、コメント有り難うございます。 説明不足のことがありました。 保苅実氏は、既にこの世にいません。今年の5月に、ガンで亡くなりました。享年33歳です。たった一冊の珠玉の研究成果を世に残して。 生きていれば、ぜひとも「風の旅人…

静かに注意深くあること

世界で何が起こっているのかを知りたいならば、人はじっととどまって、世界に注意を向けなければならない。自分の周囲で何が起こっているかについて、静かに注意深くあること。自分の感覚を鈍くしてしまうような無駄なノイズはたてるべきではない。 (ラディ…