風の旅人の協賛ページ

 「風の旅人」の12月号に三つの企業協賛があります。訪問介護などを主たる業務としている会社と、都心部を中心に小規模マンションを建造、販売、賃借をしている会社と、写真及びデザインの学校です。これらの企業には、大部数の「風の旅人」を定価で買い上げていただいています。介護会社は、2000〜3000宅の要介護者がおられる家族に一冊ずつ。もう一つの会社は、都心部に建造したマンションの2000〜3000室の住人と、その所有者2000人ほどに一冊ずつ、学校は、1500人ほどいる生徒の教材用とか、全国の高校などの進学指導室向けの案内として。
 「風の旅人」の誌面で紹介する介護現場で働く人も、マンションの住人も、実際に働いている人や住んでいる人です。事前の打ち合わせなどもなく、ぶっつけ本番でインタビューをしています。話の内容も、操作していません。誌面で紹介している女性が可愛かったので、モデルではないかと言われたことがありますが、私も、その会社も特に人選など何もしていません。可愛い女性を取材することが目的ではなく、現在の東京で普通に暮らしている若い人を取材したいという目的があるだけですから。
 介護のページは、会社が人選した人を取材しています。介護というのは、家族がそういう状況にある場合とそうでない場合は、まったく意識が異なってきます。私はこの会社の広報誌も制作していることもあって介護現場に取材に行く機会も多く、それまでの認識を覆されることもよくあります。
 現在、介護関係の仕事を希望する人は大変多いのですが、離職率も非常に高いです。人の為に働きたいという純粋な気持があるのに、多くの方はちょっとした困難で挫折してしまうそうです。介護現場が想像以上に過酷ということがあるのかもしれません。しかし、いろいろ話をうかがっていると、そういうことだけではないようです。たとえばボランティアだと、その好意を受ける方は、たとえ不満があったとしても、それを口にしませんが、たとえ介護保険があるといっても幾らかの自己負担がある場合は、不満の時は、はっきりと不満の意思表示をします。善意でやれば許されるということではなく、ピントが外れたことをすると、手厳しく叱られるわけです。それで、精神的に傷ついて辞めてしまう人が多いとも聞きます。
 自己満足ではなく相手にとって本当に必要なことを読みとりながら行動することが大事だということがわかって実践できるようになってはじめて、仕事のやり甲斐が増す。そのことを介護現場で働く人に伝えていきたいという目的が、誌面づくりの背景にあります。
 写真学校は、テーマに添って制作した学生の写真に私が目を通し、選択し、私と選ばれた学生とで打ち合わせをしながら、何度も文章を書き直してもらい、文章と写真によって構成し、テーマをより明確にしていくという試みです。学校側としては、生徒のモチベーションのアップになるということと、写真を撮るだけでなく、文章化することによって、写真の狙いをより明確に意識化する訓練になるということでメリットを感じています。
 私の方は、やはり20歳前後の若い人の感性と真剣に向き合えるということに意義を感じています。
 いずれにしろ、広告代や制作代などお金を頂戴して終わりというのではなく、「風の旅人」を大部数買い上げていただき、それを、お客様向けのサービスなどで、しかるべき方々に配っていただけることが「風の旅人」の認知拡大にもつながるわけで、とても有り難いです。
 それぞれの協賛会社は、巷に氾濫しているフリーペーパーのようなPR誌よりも、「風の旅人」をお客様に進呈した方が喜ばれるし、意義があると考えてくださっています。もちろん、「風の旅人」が、書店だけでなく、三井住友、UFJ、みずほなど銀行の全国支店(合計1500店舗ほど)に2,3部ずつ置かれていることの広告効果も期待していますが。
 ちなみに、介護会社の社長には、「風の旅人」の創刊時から気に入っていただき、採用試験に落ちた人への進呈用として、かなりの部数を買っていただいていました。不採用の人に「風の旅人」を進呈するところが意味深です。