2006-01-01から1年間の記事一覧

われらの時代

年末のこの時期、一人編集部の部屋にこもり、「風の旅人」第25号の写真構成などを見ている。 テーマは、「われらの時代」。巻頭特集で、「吉原家の130年」と題して、一家族の130年に渡る写真を、50ページにわたって紹介する。途中、大火があり、戦…

新しいヒューマニズム

あとがきに代えて日野啓三氏に聞く 新しいヒューマニズム (ユーラシアの風景より) 私はもともと旅行好きではありませんが、自分でもよくわからない力に駆り立てられ、地球上の色々な場所を訪れました。私にとって、外なる世界と、自分の内なる心の空間は別…

「ユーラシアの風景」と「風の旅人」

今日、アラスカに住んでいる若者が編集部に来た。彼は、「風の旅人」の読者で、アラスカでも、ずっと読んでくれているという。有り難いことだ。彼と話している時に、日野啓三さんの遺著である「ユーラシアの風景」の話しになった。 「ユーラシアの風景」とい…

自分で自分を希薄化させない言動

企業の人を相手に仕事をしていて、脱力してしまうことが時々ある。 ●●さんと、いろいろ打ち合わせをしているにもかかわらず、「この不明な件については、後ほど●●さんに確認すればよろしいですね」と問うと、「別に私でなくてもいいんですけどね」と、簡単に…

大事なことを容赦なく殺ぎ落とす情報伝達

昨日の「東京新聞」の朝刊の「この本、この人」というコーナーで、鈴村和成さんの『アジア、幻境の旅 日野啓三と楼蘭美女』という書物のことが紹介されていた。 この書物は、日野さんの旅の足跡を辿る紀行文だそうだ。鈴村さんが、私と同じように日野啓三さ…

自分の中の意味を無化する「他者」の力

私は一人で編集をしているが、自分一人でかってに考えを巡らしているわけではないつもりだ。ものごとを相談する編集者はいなくても、執筆者や写真家に、その人ならではの世界観や人生観をもっている人が多いので、彼らとの会話のなかから、考えるべきことの…

この国を今よりも少しはよくする方法!?

何事も一挙によくなったりしないことはわかっているけれど、今より少しはよくなるための方法を一つ考えてみた。 現在、新聞、雑誌、テレビなどで、「政府」を批判する時、「政府」という言葉を「国民」という言葉に置き換えるべきではないかと思った。 国民…

[風の旅人」キャンペーン!!

「風の旅人」のオンラインショップを開設しました。 → http://kaze-tabi.open365.jp/Default.aspx それを記念して、半年前までのバックナンバーを、2冊セットで1200円(税込み・発送料込み、手数料込み)で販売致します。 12/11のエントリーにいた…

この瞬間の選択で決まるのではなく

何かをやる場合の”思い”というのは最初から強くあるものではなく、育っていくものだという気が私はする。 最初から、「自分のやりたいこと」というのが強くあって、それを実現するために行動するというより、動いているうちに、「自分のやりたいこと」が輪郭…

情報と自分の適性について

人間に限らず、どんな生物でも、行動を促すものは情報刺激だ。敵の気配を察し、食べ物の在処を嗅ぎ分け、受けた情報を瞬時に処理して、適切な情報を筋肉に送り、行動する。 情報感覚が無い状態で、どんな生物でも生きているとは言い難いだろう。 今日の社会…

テレビが殺ぎ落とす大事なもの

今日の午前中、NHKで「星野道夫に魅せられて」という番組があった。 星野さんの写真を断片的に見せながら彼の言葉を紹介し、そんな彼の生き方に影響を受けた何人かの人生を断片的に紹介するという内容のものだ。 背後にロマンチックな音楽が流れ、ヒューマン…

写真と他者とエピソード

写真の魅力は、「一瞬を切り取ること」とよく言われるけれど、私はこのことに対して、最近、疑問を感じている。 自分本位に対象を切り取るという横暴に対して、もう少し慎重に考えなければならないのではないかと思っている。パパラッチは例外なのではなく、…

そらぞらしさの理由

現在、「風の旅人」の第25号(2007年4月1日発行)の構想を練っている。この号から5年目に入るのだが、これまでのテーマ、「世界と人間のあいだ」から、「われらの時代」というテーマに変えて作っていきたいと思っている。 これを機に、表紙を写真か…

OWN LIFE

12月1日、「風の旅人』第23号、”OWN LIFE”〜永遠の現在〜が、発売されます。 http://www.kazetabi.com/ 既にもう店頭に出ているところが、けっこうあるみたいです。 この号の簡単な趣旨は以下のものです。 「私たち日本人の感受性は、日本に固有…

自己表現ビジネスの隆盛

藤原新也さんのホームページで、新風舎の共同出版のいかがわしさが取り上げられている。 →http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php 私のところにも、新風舎で発行された写真集が時々送られてくるし、例の平間至賞の案内などの資料も送られてくるが、選…

自分を見失う理由

たとえば写真の売り込みなどにおいて、「日本の雑誌用にデジカメで森の写真を撮っていますので、見ていただけますか」などと言ってくる人がいる。 「日本の雑誌用というのは、どういうことですか?」と聞くと、「日本の雑誌の編集部に売り込みをすると、フィ…

藤原新也さんの朝日新聞の寄稿文について

藤原新也さんが朝日新聞に寄稿した記事→ http://www.fujiwarashinya.com/talk/index.php?mode=cal_view&no=20061121 について、「藤原さんも新聞紙上で”苛め”をしているじゃないか」と批判する人がいる。 子供が携帯電話に「ゴキブリ」と書くことも、藤原さ…

藤原新也さんの新著『黄泉の犬』に感応したこと

『黄泉の犬』は、客観的に分析したり批評できる本ではない。なぜなら、この本に書かれていることについて考えることは、自分自身のことを直接的に考えることだからだ。 だから、この本について意見を述べることは、この本を読むことで自分の心身の何が直接的…

幼稚園の父親参観? 子供の叱り方など

参観で訪れた幼稚園には、可愛いウサギや鶏が何匹もいて、子供が交代で面倒をみていた。また、もう少し経ったら、落ち葉を集めて焚き火をして、焼き芋を作るのだと言う。 現代社会は、燃え盛る火を身近に見る機会も、危険だからという理由で、きわめて稀にな…

幼稚園の父親参観? 理解できないことの尊さ

土曜日、息子の幼稚園の父親参観に行った。 その幼稚園は、樹齢数百年はあろうかと思われる古樹が鬱蒼と茂り、その樹木に取り囲まれるように土の広場があって、まるで神社の境内のようだという印象を持った。 そこで幼稚園児達が、拾ってきた銀杏を金槌でト…

教育基本法改正の前に必要な大人の改心

このたびの教育基本法改正などを見ても、子供をどう教育するかということばかりが論じられる。しかし、それよりも肝心なことは、大人がどうなるべきかなのではないだろうか。 大人は、子供に好かれる人間になることより、子供に尊敬される人間になることを目…

先に解決すべき、大人の内面の問題

誰もが予想したとおり、自殺予告の公表とメディアの騒ぎによって、「自殺予告」が連鎖している。 誰もがそうなることを予想しているし、おそらくメディアもわかっている筈なのに、大騒ぎをする。 それにしても、自殺するくらいなら学校を辞めるか登校拒否に…

「風の旅人」文庫

酔った勢いで書いて、自分を駆り立てていくということもたまにはいいだろう。 今日、「風の旅人」の執筆者と池袋で飲んでいて、「佐伯さん、風の旅人文庫作ろうよ、一冊800円くらいで」と言われた。 これまでは、まったくそういうことは考えたことなかっ…

「未来」=「明日の自分」とつながる表現行為

現在、東中野の「ポレポレ東中野」という小さな映画館で、「炭鉱(ヤマ)に生きる」という映画が上映されている。 同時に、同じビルのIFにある「ポレポレ座」で、炭鉱画家?の山本作兵衛さんの絵画展が同時開催されていて、それに関するイベントが一昨日の夜…

自分という牢獄を抜け出していく力〜大竹伸朗[全景]展〜

昨日、上野の国立西洋美術館で開催されている「ベルギー王立美術館展」を見た。先週に見た東京都美術館の「エルミタージュ展」よりも、とてもよかった。 展覧会の企画者の真剣度というか、視点の深さが、国立西洋美術館の方が、断然良い。もしかしたら予算の…

敢えて自殺について?

「ははは」さんのコメントは敢えて残したが、「敢えていじめについて」に対するコメントで、一つではなく、幾つかのコメントを削除している。 反対意見だから削除しているのではない。意見ではなく、揶揄にすぎないから消去している。 意見というのは、人が…

適度に脱力し、葉を落とす。

最近、眠りが浅く、心身の調子が悪かった。 昨晩は、8時間の睡眠をとり、目覚めた後も、午前中いっぱい、ベランダに寝転がって、日向ぼっこをしていた。 週に二回は、水泳とか運動をするようにしているが、夜の室内なので、太陽の陽射しをめいっぱいに浴び…

白川静さん、信実の道を逝く

白川静さんが逝かれた。96歳だった。 虫の知らせというのだろうか、昨日は、昼間、編集部に来た写真家と現代美術家の人とも、夜、外でたまたま会って飲んだ二人とも、白川静さんのことを話し込んでいた。4年前の「風の旅人」の創刊の頃のことや、初めて京…

敢えて自殺について(3)

マラソンランナーは、勝利する喜びよりも、完走することを大事にしている。 それはなぜだろう。 途中で消耗しきって何度も何度も辞めようと思いながら、ふらふらになっても、走り続けて完走しようとする。 途中に急な坂もあるし、強い向かい風もある。人に足…

敢えて自殺について(2)

今朝の朝日新聞の朝刊の社会面は、自殺一色。しかも、学校関係ばかり。 高校の必須教科の履修問題で保護者向け説明会の直前に自殺した校長先生、校長に名指しで叱責されたことなのどに対する抗議の自殺。 統計的には一日平均、70名ほどが自殺しているわけ…