2006-01-01から1年間の記事一覧

敢えて自殺について(1)

子供が遺書を残して自殺する。テレビや新聞が大騒ぎする。報道機関が学校まで押し掛け、生徒にマイクを向ける。いじめがあったかどうか、執拗に聞く。学校に対して、いじめがあったことを認めろと迫る。仲間の1人が自殺して心理的にダメージを受けている生…

人間の底力

「風の旅人」第9号より→ http://www.eurasia.co.jp/syuppan/wind/9/image.html 上野の国立科学博物館で「化け物の文化誌展」と「南方熊楠 −森羅万象の探求者」展、国立博物館で「仏像」の特別展、東京都美術館で「大エルミタージュ展」を見た。 大エルミタ…

今日の社会と雑誌

これまで4年近く「風の旅人」を出してきて、読者の輪郭が何となく見えてきた。 年齢に関係なく、男女の違いもない。ある種の感受性のベクトルのようなもので共通点があるように感じている。 雑誌には、幾つかの種類があると思うが、大雑把に分けると、1.…

雑誌の値頃感?

書店などで観察していると、「風の旅人」を手にとって中身をじっと見つめ続けて、裏表紙を見て値段を確認して、買わずに元の位置に戻すという光景に出会うことがある。 書店の担当者と話しをしても、「もう少し安かったら、もっとたくさん売れるのは間違いな…

人間の能力って?

「人間の好みに選ばれた家畜は同類の野生動物に比べて、敏捷でなく、失礼だが頭がよくない。支配者がそれと知らずに淘汰を繰り返した結果、従順で愚行を繰り返す現在の私たちができた可能性は意外に大きいのではないか。」中井久夫 『樹をみつめて」みすず書…

感覚が鈍磨していく原因?

「奈良市環境清美部収集課の男性職員(42)が病気を理由に休暇・休職を繰り返し、ここ約5年9カ月の出勤日数が8日しかないことが分かった。また、ほかにも同部の2人の職員が、同じ期間に100回から200回近くも不自然な病気休暇・休職をとっていた…

人間とコンピュータ

今朝の朝日新聞の別刷り「BE ON SUNDY」に、コンピュータの将棋ソフトと人間の対局のことが書かれていた。 チェスは97年に人間のチャンピオンがコンピューターに負けてから人間の逆転はなく、将棋も、日本の将棋人口の99.99%が勝てないとい…

固有の魅力と、世界標準

大分県の国東半島に行ってきた。 国東半島の付け根に宇佐神宮があるが、この神社が、全国4万あまりの八幡宮の総本山であることを神社知識の乏しい私は知らなかった。 東大寺造営の際に宮司等が託宣を携えて都にのぼり、造営を支援したことから中央との結びつ…

「国家」よりも、自分自身。〜北朝鮮への制裁について〜

いつのまにか、国家とそこに暮らす人々が、一心同体のように扱われるようになっている。そういう体制のなかに生きていると、人類は昔からそのようにして生きてきたかのように錯覚をするが、今日のような人間と国家の関係は、実はそんなに古くないことだ。 強…

NHKによる法的措置

「NHKは5日、受信料不払いを続ける東京の48世帯・事業所について、月末まで支払わない場合、11月に簡易裁判所を通じて督促すると発表した。督促の対象は全国に順次拡大し、約989万件(推計)の未契約者に対しても、訴訟を前提に契約を促す通知を…

人間にしかできないこと 〜リリアナ・エレーロのライブ〜

今日、降りしきる雨のなか、アルゼンチンの哲学者であり国民的歌手リリアーナ・エレーロ+鈴木亜紀のライブに行って来た。 (初来日のリリアナのライブは、まだ日本で見られます→http://tanimon.com.ar/liliana_site/index2.html) 現在発売中の「風の旅人」…

今日の写真文化について

本日より新宿三井ビルにあるエプソンのギャラリー EPSITEで、野町和嘉さんの写真展が開催される。→http://epsite.epson.co.jp/ 風の旅人の13号でも紹介したアンデスの写真だ。 →http://www.eurasia.co.jp/syuppan/wind/13/image2.html 昨年、イタリ…

自己顕示欲を超えたコミュニケーション

写真 ハーリー・グリエール (風の旅人VOL.22より) 昨日、「風の旅人」の第22号(10/1発行)が発売された。テーマは、SIGN OF LIFE。 →http://www.kazetabi.com/ 鎮守の森、伊勢神宮、東京、日本のまち、日本人・・・などが特集され…

未来に向けた履歴書と志望動機

映画監督の小栗康平さんが、師匠筋にあたる、亡くなった浦山桐郎さんに、 「本質は何度繰り返してもいい、でも現象を繰り返してはいけない、堕落する。」と、かつて言われ、その言葉を振り返りながら、自分の仕事がそうなっていないか気にかけておられると仰…

寄る辺なき時代の希望

「寄る辺なき時代の希望」田口ランディ著(春秋社発行)。 この本は、ボールにバットを当てた瞬間に手が痺れる、重い直球である。 球速150km以上の球筋の見えない直球でない。球筋を確認できる球速で、バットにボールを当てることは可能だが、小手先で…

口琴との不思議な縁

口琴という楽器がある。枠と振動弁からなるごく単純な楽器で、それを唇ではさんだり、葉に挟んだりして、指でかき鳴らし、口腔の膨らまし方や息の出し入れで音を調整するもので、日本を含め、ユーラシア大陸を中心に、古くから世界中で生活に密着した楽器と…

「いのち」の解説書より、「いのち」の現場

ここ数日、介護現場の取材や、介護関係の人と会うことが続いている。 介護の現場に行くたびに思うのは、なぜ、こんなにも彼らは生き生きと働いているのだろうということだ。 介護という仕事は、人を助ける仕事というより、むしろ逆に、介助の必要な人たちか…

生命の星

9/3のエントリーに対して、tsutomu37からいただいたコメントに対する返答は、簡単に記してしまうと誤解が生じる可能性がありますので、下記の私の文章をアップします。 これは、「風の旅人」第6号の「生命の星」という特集→http://www.eurasia.co.jp/syu…

映像文化の未来

「映像文化の未来」について論じる力は私にはないけれど、思うところはたくさんある。 数日前、写真関係の大会社の偉い人と話をした。その人に、「風の旅人」に載っている写真は素晴らしいし、雑誌としての価値は認めるけれど、一般受けしないだろうと言われ…

表現の目的と、そのスタンスについて

昨日、恵比寿で、パトリス・ルコントの「DOGORA」と、溝口健二の「雨月物語」を見る。 パトリス・ルコントの映画は、彼が感動したフランスの音楽家エティエンヌ・ペルションの曲「DOGORA」に、カンボジアに住む人々や風景などのドキュメント映像…

生と死の遊び

「風の旅人」で連載中の酒井健さんが、「生と死の遊び」という単行本を出した。オールカラーで、「風の旅人」に掲載された絵も全てカラーで紹介されている。出版社は、魁星出版。 この本は、「風の旅人」の創刊号〜21号までと、新たに縄文時代についての文…

坂東真砂子さんの猫殺しについて

タヒチに暮らす作家の坂東真砂子さんの「子猫殺し」のエッセイが批判を受け、週刊誌やネットで大きな話題になっているらしい。 http://www.nikkansports.com/general/p-gn-tp0-20060824-79900.html 「生と性と死と殺」という人間にとって非常にデリケートで…

人間の感覚を信頼する。

今日、武術家の甲野善紀さんとの打ち合わせを兼ねて、横浜の朝日カルチャーセンターの甲野さんの実演・講義を見に行く。 老若男女、スポーツ関係者、介護関係者など、多くの人が参加していた。 これまで教えられてきた身体の使い方の常識を覆すような実践と…

大企業の採用に関する議論について

大企業の採用方法や雇用形態に関する様々な意見を目にする。 派遣とか契約とか請負とか様々な方法を駆使して、大企業は正社員比率を下げ、人件費を少なくして、国際的な競争に勝ち残ろうと躍起になっている。 また、王子製紙をはじめ、大企業による企業買収…

単純に言いきれない「心」の問題

最近、朝日新聞などを見ていると、安倍晋三さんをすごくバックアップしているように感じられる。次期の総理として国民の半数が支持しているとか、自民党議員の7割とかが安倍さんを支持しているとかのキャッチコピーが誌面で目立っているし、今日の新聞でも…

里山という、いのちを循環させる智恵

今日、琵琶湖の近くの棚田の真ん中にある写真家の今森光彦さんのアトリエに行ってきた。 今森さんは、15年以上、この場所にアトリエを構えて、周辺の里山を撮影している。 今森さんのアトリエの建っている所は、もともと鬱蒼と生い茂る檜の林だった。それ…

「いのち」を循環させる織物

「裂織」という織物に感動した。 →http://www.sakiori.com/ 私は、もともと絨毯など手織の織物が好きで、海外での土産は、織物が多い。(織物以外では、木彫りのようなもの。その土地ならではの手作りのものに惹かれる)。 織物は、根気よく糸を織り込んでい…

「心」とか「いのち」のこと

以下、私のまったくの独断ですが・・・ 一つのモノゴトが成立する時、そこに無数のモノゴトの関係性が生じている。 そして、モノゴトとモノゴトが関係する時、そこに、引きつけ合ったり反発したり、微妙な力加減でエネルギーが生じている。 そのデリケートな…

人生観と生活感覚と靖国問題

「国の為に戦って亡くなった人を弔うのが、なぜ悪いのでしょう」と、靖国神社に関するテレビの討論番組で麻生外務大臣が話していた。テレビの世論調査でも、首相の靖国参拝に対して半数近い人が賛成し、特に20代、30代の人で賛成する比率が高かったのに…

自己滅却の表現

「風の旅人」のように写真を多く掲載する雑誌は、今日あまりないので、写真家からの売り込みは多い。それじたいは特に問題ではないが、不愉快な売り込みがあると、テンションが下がる。 「風の旅人」を本屋で立ち読みしたり、友達に少し見せてもらっただけで…