2024-01-01から1年間の記事一覧

第1536回 日本に秘められた可能性

"> この8年間、日本の古層を探究してきたけれど、今、なぜ東京を撮るのか。 私は、風の旅人を作っていた時も、日本の古層をめぐる旅をしている時も、自分の関心は同じで、それは、世界、人間、そして日本人というものを、もっと深く知りたいということ。 だ…

第1535回 八幡神の謎について

離宮八幡宮 "> 大山崎山荘美術館にアンドリューワイエス展を見に行った後、すぐ近くの離宮八幡宮に立ち寄った。 ここは気になる聖域であるため、何度も立ち寄っているのだが、この対岸の男山に鎮座する石清水八幡宮の元宮で、石清水八幡宮の創建の1年前の859…

第1534回 掻き消えてしまいそうな自我のゆくえ

小野啓という写真家がいる。 ホームページで全国の高校生に呼びかけて、写真を撮ってもらいたいという声に応えて、彼らの土地まで足を運んで対話を行って撮影している。 今から17年も前だが、撮影における、そうした丁寧なプロセスがとてもよく写真に反映さ…

第1523回 あはれが身に染みる秋

夜行性の虫たちは、LEDライトには集まってこないらしい。 虫たちの目には紫外線が見えていて、紫外線を目印に飛んでいるらしいが、LEDライトは、紫外線を発していないので、虫たちにとっては無に等しい。 また、毎年、決まった時期に決まった場所に飛んでい…

第1522回 「かんながらの道」 写真展について

まだ先のようだけれど、年が明ければすぐなので、早め早めに作業を進めています。 来年の2月6日(木)から2月17日(月)まで、新宿のOM SYSTEMギャラリーで開催することになった写真展のDMができあがりました。 何しろ写真展は初めてなので、これをどう活用…

第1521回 アンドリューワイエスの魂が呼び起こすもの

大山崎山荘美術館で開催中のアンドリューワイエス展に行った。 久しぶりにワイエスの絵画世界に触れて、若い頃のことを思いだした。 写真家のことをよく知らなかった20代の頃、その精神世界に憧れていた表現者は、作家の日野啓三さん、画家のアンドリューワ…

第1520回 かんながらの道〜ニヒリズムを超えて〜

"> 昨日と一昨日、京都でのワークショップセミナーを終了しました。 次は、東京で12月14日(土)と15日(日)、京都で1月12日(日)と13日(月)にワークショップセミナーを行います。 2月は、2月6日(木)から、2月17日(月)まで東京新宿のOM SYSTEMギャラ…

第1519回 羽衣伝説の謎について

竹野川河口にそびえる立岩 羽衣伝説についてのあれこれ。 昨日、丹後半島を休暇気分で訪れて、その最後にジオサイトで出会った翁が語ったこと。「古代最大の製鉄遺跡である遠所遺跡で用いられた砂鉄が、丹後のものではない」という話が心に引っかかって、家…

第1518回 京都の三本鳥居の謎について

宇多天皇が創建した仁和寺で平寿夫さんの「熊野」に関する写真展を見た後、帰り道にある太秦の蚕の社へ。 宇多天皇は、日本で最初の法皇だが、熊野は、出家した宇多天皇が、たびたび修行のために訪問した場所である。 宇多天皇が、なぜ出家したのか? 様々な…

第1517回 トランプ氏に象徴されるアメリカの今

アメリカ大統領にトランプ氏が当確という結果に、トランプ嫌いの人は失望しているだろうが、私は、個人的に、バイデン氏やハリス氏より、この方が良いのではないかと思っている。 私だってトランプ氏が好きなわけではないが、トランプ氏は、表の顔も裏の顔も…

第1516回 写真における、独自の視点と、その人ならではの姿勢。

">(新刊の「かんながらの道」より "> 東京の写真を撮っている人は、とても多い。 そして、それらの写真を持ち上げる際に、「独自の視点で東京と切り取った!」という言葉が使われることが、とても多い。 気鋭の写真家とか、重鎮の写真家とか、なんでもいい…

第1515回 「狂」という特別な霊力。

10,000人の感想よりも、その人の一言が、自分の方向性を決めることがある。 私が、ずっと長い間、自分がアウトプットするものが果たしてうまくいっているかどうか、確認するための指針としている方から、このたびの「かんながらの道」に対するお言葉をいただ…

第1514回 思念の宙返りと、新しい世界の円環

"> 恋愛において、どんなに異性にもてる人でも、自分の意中の人に振り向いてもらえないと、心の中は辛く悲しいはずで、それは、物づくりでも同じ。 100人の感想よりも、あの人の心に届くかどうかが気になるという存在がいる。 なので、新しく本ができれば、…

第1513回 日本人とは何か? 日本文化とな何か?

"> ここ数年、遺伝子解析の技術が進んでいるようで、数限られた古代人の人骨のDNAと、現在の日本人のDNAの比較が行われている。その結果、これまで考えられていたような、日本人の起源を縄文人と弥生人のどちらかとする説ではなく、古墳時代に大挙してやって…

第1512回 かんながらの道と、ピンホール写真

昨日と一昨日に行ったワークショップに、ドンピシャで、新発売の「かんながらの道」が納品されました。 すでにお申し込みいただいている方には、今日、発送をすませました。明後日あたりからお手元に届くと思います。ありがとうございました。 今回の本は、…

第1511回 この世から肉体は消えても。

2018年、鬼海さんと小栗さんと一緒に、神護寺や亀岡の紅葉を楽しんだ。 "> 人生において、明確に自分の意思や計画だけで始めて、続けていることが、どれだけあるだろうか。 私の場合、何かしらの縁をきっかけにして始めて、やっているうちに天命だという気持…

第1510回 空海の思想の奥義と、かんながらの道

">このたび発行する「かんながらの道」〜日本人の心の成り立ち〜の制作において、空海の思想を、頭の片隅に置いていました。 今日の思想世界の混迷のなかで、日本から生まれた空海の叡智を、再発見する必要があると私は思っているからです。 空海の思想の核…

第1509回 すべてをこの地上の生のうちに見ること。

「 かんながらの道〜日本人の心の成り立ち〜」の納品日が、10月26日と決まりました。 ワークショップ の日と重なってしまうので、受け取りのタイミングが問題。 それはともかく、オンラインでの販売サイトを立ち上げました。 詳しくは、次のアドレスからホー…

第1508回 かんながらの道〜日本人の心の成り立ち〜

"> 今年中に出版するつもりで取り組んできた日本の古層Vol.5「かんながらの道」の入稿が終わった。 完成は、来週末(10月25日、26日)に行うワークショップに、ぎりぎり間に合うタイミングか。 今回は、日本人の心の成り立ちに焦点をあてて、仮名文字が日本…

第1507回 不易流行と、現代都市文明。

風の旅人 第43号より 写真/石元泰博 「シカゴ シカゴ」や「桂離宮」などの写真で知られ、戦後日本写真界でもっとも重要な写真家である石元泰博さんは、長いあいだ五反田に住んでおられ、90歳に近い年齢の頃、カメラを首からぶらさげて山手線に乗って、渋谷…

第1506回 約束の地をめぐる煩悩の醜い争い。

これまで何度も惨たらしい争いが繰り広げられてきた中近東で、もっとも深刻かもしれない事態がはじまって1年が経つ。 ポケベル爆弾といった最新テクノロジーを使いながら、3000年前のユダ王国を引き合いに出して自らを正当化するという傲慢。 その傲慢さは、…

第1505回 おのずから、しからしむ道

伏見稲荷大社は、外国人旅行客の人気ナンバーワンの場所だそうで、連日、ものすごい人だかり。 境内には、「伏見稲荷は祈りの場です」という言葉が掲示されているが、果たして、どれだけの人が、祈るために、この場所に来ているのか? しかし、聖所というの…

第1504回 五大の響きと、写真表現。

連日、京都市内をピンホールカメラで撮影し続けている。 京都の観光名所に群がる人たちは、いろいろな会話をかわしながら、人とぶつからないように巧みに左右に進路を変えながら歩いていて、その場にはすごいエネルギーが渦巻いている。 私は、その場に三脚…

第1503回 細江英公さんが、超新星爆発のように生涯を終えられた。

写真/細江英公 風の旅人39号より 「薔薇刑」、「鎌鼬」、「胡蝶の夢」、「抱擁」、「男と女」、自分の書棚にこれらの写真集が置かれている幸運な人は、今、改めて見つめ直しているかもしれない。 戦後日本の写真表現界が生んだ大きな大きな星、細江英公さん…

第1502回 京都がなぜ千年の都になったのか。

">前回の記事で、平安京が、四神相応ではなく、京田辺の甘南備山を軸にして、その真北に朱雀通りや大極殿が来るように設計されたということを書いた。 このことで明らかにしなければいけないのは、なぜ京田辺の甘南備山が軸になったかということだ。 桓武天…

第1501回 京都の歴史と、京都の現実。

猛暑の東京を歩き回ってピンホール写真を撮り続けていた余韻を引きずったまま、京都に移動してすぐに歩き回った祇園界隈は、2014年から2019年くらい前までの5年間、住んでいたところだった。 その当時、airbnbをやりながら、毎日のように海外からやってくる…

第1500回 かんながらの道

"> 今年発行するつもりの「日本の古層Vol.5 かんながら」は、7月くらいには、ほぼ完成していたのだけれど、今年の猛暑で本なんか読む人はいないんではないかと思い、少し寝かせて、もう少し涼しくなってから印刷すればいいと思っていた。 しかし、8月に入っ…

第1499回 荘子の説く道と、東京での暮らし。

私が東京に暮らし始めたのは、海外放浪から戻ってきた22歳の時で、成田空港に到着してすぐ戸越銀座に向かい、駅のそばの不動産屋で、家賃1万6000円の北向きの4畳半、風呂無し、トイレ共同のアパートを見つけて、その日から入居した。(戸越銀座が都心に近い…

第1498回 天を指す人工物に惹かれる心

東京に何かしらの用事で出かける時は、必ず、ピンホールカメラと三脚を持って、用事の前後、歩き回って撮影するようにしている。 ダラダラと歩くのではなく、撮影する意思を持って歩いていると、暑い中、重い荷物を持っていても、あまり疲れを感じない。 ピ…

第1497回 東京の中に潜む古代性

今思えば、東京の中に潜む古代性や懐かしさに対して、小説作品にまで昇華させていたのは日野啓三さんだった。 1970年代から80年代にかけて、日野さんは半蔵門近くに住み、深夜、皇居周辺を歩き回りながらコンクリートの冷え冷えとした感覚の向こうに、何かし…