政治

第1313回 ”酒”の神は、”避け”の神。

(京都 梅宮大社) 前回のエントリーで、酒というのは、厄災や悪霊を防ぐ「避け」であると書いた。 神事において清めに酒が用いられるのも同じ理由であり、日本三大酒神神社のうち、酒神といえるのは、京都の梅宮大社の酒解神(大山津見神)だけであるとも書…

第1308回 自由からの逃走

エーリッヒフロムは、ナチズムに傾倒していったドイツのことを深く考察し、「自由からの逃走」という本を書き上げた。 ドイツ国民は何が原因であのような状況となり、また何に導かれてあのように進んで行ったのか? 一人ひとりは、真面目で、誠実で、決して…

第1307回 古代、東国は、本当に後進地帯だったのか!?

明日の3月4日に行う「現代の古代のコスモロジー」のワークショップセミナー。本日、風邪を引かれた方のキャンセルが出ましたので一名の空きがでました。 今回は、武蔵国(東京とその周辺)を掘り下げます。 一般的な歴史認識だと、日本の歴史は近畿を中心に…

第1301回 500年を区切りに起きる人類のコスモロジーの転換。

そもそも私は、古代のことについて、どの時代に何が起きたとか、誰がどうした、これこそが真実であるという類の、過ぎたことに対する一つの正しい答だけを求める原理的思考で、古代のフィールドワークを行なっているのではない。 蘇我馬子や藤原不比等の陰謀…

第1288回 時代ごとに変わる人間のコスモロジーと、歴史との向き合い方

今を生きる人にとって、「歴史」が、自分に関係ないもの、もしくは単なる知的好奇心の対象(趣味)、および大河ドラマ鑑賞などの娯楽になってしまったのは、歴史と向き合う時に、人間のコスモロジーのことが、あまり考えられていないからではないかと思う。 …

第1287回 古墳の形と、国譲り神話と、鬼退治の関係。

第1285回のブログで、前方後方墳と前方後円墳の違いを、弥生時代の「方形周溝墓」と「円形周溝墓」の違いの延長と捉えて説明した。一人の王が軍事や祭祀など全権を担う統治システムと、複数人物による分権統治システムの違いではないかという仮説を立てて。 …

第1286回 日本の近代化を促進させたもの

10年以上前、風の旅人編集部で働いていた中山慶が、現在、地域社会活性化と異文化交流を軸にした仕事を、京都の京北地方を拠点に行っている。 日本各地で様々な地域社会活性化の取り組みが行われているが、中山慶が行っているプロジェクトで私が興味深く感じ…

第1285回 前方後円墳と前方後方墳の違いについて

(愛知から信州までの塩の道、三州街道沿いの月瀬の大杉。長野県最大の巨木で、推定樹齢は1500年とも1800年ともいわれる。つまり、古墳出現期から、この街道沿いで世の移り変わりを見てきたことになる。) 新潟の糸魚川からは千国街道、愛知県の岡崎からは三…

第1282回 縄文の記憶が重ねられた諏訪の祭祀

諏訪大社 前宮 御室社。ここに半地下式の土室(つちむろ)が造られ、金刺氏で現人神とされる大祝と、洩矢氏の神長官以下の神官が参篭し、蛇形の御体と称する大小のミシャグジ神とともに「穴巣始」といって、冬ごもりをした。旧暦12月22日に「御室入り」をし…

第1261回 シベリア収容所を通して見るロシアとウクライナの現実

昨日、新宿のオリンパスギャラリーで行われている野町和嘉さんの「シベリア収容所」の写真展において、野町さんとトークをさせていただいた。 野町さんは、報道写真を撮っているわけではないので政治的な話になるのは嫌そうだったが、私なりに気になることが…

第1240回 退行していく社会の行く末。

ちょうど「愛国」ということを考えていた時に、安倍元首相が銃撃されたというニュースが飛び込んできた。 アメリカやインドではなく、現代の平和ボケと言われるこの日本で、選挙運動中にこういう事件が起きるなどと、いったい誰が想像できただろう。 15年以…

第1233回 古代から人間は同じことを繰り返している。

ロシアとウクライナの戦争が、このまま続けば世界はどうなってしまうのか? 単純化してしまうことに慎重でなければならないと思うけれど、こうした戦争は、けっきょくのところ男性原理が突出した形で現れた結果ではないだろうか。 強い方が偉くて立派だと思…

第1231回 一元化の思考を知の巨人と持ち上げる知の衰退

web.kawade.co.jp ユヴァル・ノア・ハラリ氏のことを、現代における「知の巨人」と持ち上げる論調が多いのだけれど、ベストセラーになっている彼の「サピエンス全史」にしても、とくに新しい視点はなくて、他の誰かが書いているようなことを(膨大なウィキペ…

第1228回 パンデミックの後にくるもの

松尾大社のそばの桂川の河岸では、バーベキューをする若者たちが群れている。 さすがに自粛生活も2年になると、我慢の限界であり、人との接触は増える。そのため新型コロナの感染者数が減らず、専門家が、また警鐘を鳴らしている。 新型コロナについて語る時…

第1224回 ウクライナとユーゴスラビアの類似

個人的な見解にすぎないけれど、ウクライナというのは、かつてバルカンに存在していたユーゴスラビアという国の状況に、非常に似ているのではないかと思う。 広大な領土の中に、宗教も言語も民族も異なる人々が暮らし、さらに、東側と西側の価値観の違う世界…

第1223回 ウクライナのことと、政治家の白痴化に対する不安。

ウクライナとロシアの戦争について、歴史文化も国の置かれている状況も異なる日本に安住している自分が、何かの考えを持ったところで、それは浅いものにしかならないという自覚があった。 今もその感覚は変わらないが、昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領…

第1198回 エチオピアが、ユーゴやアフガンのようになってしまう。

現在、エチオピアが崩壊の危機にある。 ユーゴスラビアや、アフガニスタンのようになる可能性がある。激しい内戦により、民族間の対立は収まるところを知らず、虐殺、拷問、性的暴力が横行し、この1年間で戦闘により数千人の命が奪われている。 私は海外70…

第1192回 オリックスの山本投手のトレーニング方法と、いにしえの日本

日本で最も人気スポーツである野球で、最高峰の投手でアメリカ球界も注目しているオリックスの山本投手がこんなことを言っている。 「昔の女の人が米俵を担いでいる写真。担げるの?って思うじゃないですか。コツを知っているから持って運べる。人間にはそれ…

第1147回 アメリカの横暴と、大統領との関係について思うこと。

バイデン氏が、第46代アメリカ合衆国大統領に就任した。78歳というのが過去最高齢ということは知っていたが、就任式で歩く姿を見て、お年寄りの雰囲気が漂いすぎていて、少し不安になった。年齢に関係なく元気で、頭も冴えて、適切な判断ができる人もいるだ…