写真

第1253回 鬼伝説が今日に伝えているもの!?

鬼岩にある「蓮華岩」。上から見ると蓮の花に見える。また、縦7mの亀裂が、鬼が一刀両断で切ったように見えることから「鬼の一刀岩」の別名がある。 恐ろしや 次月の奥の 鬼すすき 次月というのは、古代の東山道、現在は国道21号線の岐阜県土岐市にある「次…

第1252回 野町和嘉さんの写真展「シベリア収容所1992」

野町和嘉さんの写真展が、東京のOM SYSTEM GALLERYで開催されます。(10月13日〜10月24日)。 そして、展覧会中の10月15日(土)14:00~15:00に、野町さんと私でトークを行います。 fotopus.com いつも思いますが、野町さんの写真力は、ずば抜けています。他…

第1251回 EntranceでありExitな、われわれの生

門前仲町まで、小池博史さん演出の新作舞台「ふたつのE」を観てきた。 kikh.org 小池さんという人は、止まるところを知らない。本質は変わらないのだけれど、同じことを繰り返さない。今回の舞台も、見事なまでに斬新で、美しく、ユーモアに満ちていた。 身…

第1248回 この時代に、なぜピンホール写真なのか?

愛媛県今治市で、鈴鹿芳廉さんの展覧会が行われています。(2022年10月23日まで) www.city.imabari.ehime.jp この展覧会期間に合わせて、今治市で、鈴鹿さんと私でトークを行ない、私が撮ったピンホール写真のスライドトークも行います。 場所は、今治市の…

第1245回 事物を記録することと、時間や場を記憶化することの違い

私は、ピンホール写真は、中判フィルムを使っている。 ピンホールカメラは、ファインダーもシャッターもないので、構図とか露光時間は、経験によって、だいたいこのくらいだろうと、あたりをつけて行なっている。 最初は、どの場所が写っているのか、どのく…

第1241回 記憶のリアリティと、人間の良心

7月1日に発行したSacred world VOL.3について、写真界で最も尊敬する一人である野町和嘉さんが、言及してくれた。 —------------------------------ 「風の旅人」佐伯剛さんの写真集、SACRED WORLD Vol.3が届いた。 https://www.kazetabi.jp/ 神話と史実の間…

第1212回 伊豆と鹿島と九州における海人や縄文時代とのつながり。

(熱海 来宮神社) 一昨日のエントリーで伊豆の来宮(キノミヤ)神社と海人と縄文時代の関係について書き、さらにキノミヤ信仰が鹿島踊りと関わりが深いと述べたが、「鹿島」は、茨城の鹿島だけでなく、海人と関わりの深いところに地名が残っている。 たとえ…

第1211回 伊豆のキノミヤ信仰と、海人や縄文時代とのつながり。

(熱海 来宮神社の樹齢2000年を超えるとされる楠木) 熱海の来宮神社は、日本屈指のパワースポットなどと言われ、毎日、多くの参拝者が訪れている。本殿の左奥にあるご神木の大楠の巨樹は、樹齢2000年を超えると言われるが、樹齢1300年とされるもう一本の楠…

第1210回 出版不況のなか、あえて写真集を作るなら。

このたび制作した大山行男さんの写真集「The Creation 生命の曼荼羅」。 www.kazetabi.jp 発送作業も一段落し、届いた方から、メッセージをいただいています。幸いなことに、今のところ、不満の声は届いていません。 私は、これまで同じ印刷方法で、自分の「…

第1207回 富士山という須弥山の周りの生命の曼荼羅世界。

2月20日頃の予定だった「The Creation 生命の曼荼羅」の写真集が、少し予定が早まって、2月1日には完成します。 www.kazetabi.jp 曼荼羅という言葉を耳にしたことがある人は多いと思う。しかし、極彩色の円の中に無数の仏様が存在していて、その造形と色彩が…

第1206回 富士山と伊豆と八ヶ岳を結ぶ女神の不思議なライン。

(西伊豆の烏帽子山の山頂に鎮座する雲見浅間神社からは、駿河湾をはさんで富士山が望める。富士山は、この神社の真北に位置する。この浅間神社の祭神はコノハナサクヤヒメではなく磐長姫。海岸にそびえる烏帽子山の高さは162m。その山頂にたどり着くために…

第1205回 出版業界の構造変化について

数ヶ月前に、講談社がアマゾンと直接取引を行うことを発表し、業界に驚きが走った。これまでにも講談社発行の本をアマゾンで買うことはできていたので、業界関係者でなければ、さほど驚きとはならないニュースだ。 しかし、これまで講談社をはじめ大手出版社…

第1204回  事物の向こう側にアクセスする力

このたび制作した大山行男さんの作品集「The Creation 生命の曼荼羅」の中に、以下の文章がある。 「かつて、南アルプスの蝙蝠岳の山中でテントを張り、撮影する日々に明け暮れていた時があった。 陽が傾くと、無音の時が流れ、あたりから光は消え、さらに深…

第1203回 生命の曼荼羅

富士山の写真で知られている大山行男さんの新しい写真集「The Creation 生命の曼荼羅 vol.1」 。 これから印刷をする前に、先行予約を行い、部数を決定したいと思います。 このたびの写真集は、富士山だけでなく、富士山周辺の生命の万華鏡世界を表したもの…

第1202回 懐かしさに宿る真理

現在、東京の半蔵門ミュージアムで、井津建郎さんの写真展が開かれている。 https://www.hanzomonmuseum.jp/exhibits/special.html この美術館は初めて訪れたのだが、東京の真ん中にこんなに素晴らしい場所があったのかと、正直、驚いた。特別展の展示スペー…

第1201回 真っ当な奇人

この記事によると、鬼海さんは29歳の時、「撮る人間と撮られる人間の関係をもう一度考え直したい」と言っていて、50年近くも前にそんなことを真剣に考えていたんだと、今更ながら驚かされる。 写真が自己主張の手軽な手段となり、自己承認欲や虚栄心のために…

第1200回 伊豆半島に残る縄文時代の海上ネットワーク

(伊古奈比咩命神社。手前が、枯れて1300年の「白龍のビャクシン」。) 熱海から伊豆の大室山から伊豆半島の南端、下田の伊古奈比咩命神社(白浜神社)を訪れた。 伊古奈比咩命神社は、富士山と、古代、神々が集まるところとされた神津島を結ぶライン上に位…

第1199回 世界の現実を自分ごとに引き寄せる写真

このたび、日本写真家協会が創設した笹本恒子写真賞の審査員をつとめることになり、渋谷敦志さんの写真活動が賞にふさわしいと思い、選ばせていただいた。 渋谷さんの写真活動はスケールが大きい。彼は、20歳になる前の1993年ごろから今日まで27年ものあいだ…

第1195回 光が備える波動の性質と、時を超える写真術。

石牟礼道子さんの才能を発見し、世に送り出し、支え続けた渡辺京二さんが、「逝きし世の面影」という素晴らしい本を残している。明治維新の頃、日本にやってきた外国人が書き残した日本人の生活の美しさや能力の素晴らしさをまとめたものだ。 日本人が無自覚…

第1194回 映画「くじらびと」。11月7日、石川梵監督とトークを行います。

映画「くじらびと」。この奇跡の映画、革命的な映画の大阪での上映で、石川梵監督と、トークを行うことになりました。 大阪復活上映(第七芸術劇場) (11月7日(日)、14:10の回上映後 1時間のスペシャルトークイベント) 登壇者:石川 梵 監督、佐伯 剛(…

第1190回 写真家の良心と、いのちの在り処。

2018年秋、鬼海さんと小栗康平さんと一緒に亀岡や京都の紅葉を観て歩いた。 昨日、10月19日で、鬼海弘雄さんが亡くなって1年が経つ。 京都の家の玄関には、鬼海さんから頂いたペルソナの写真2枚が飾られており、うちに来る人のなかには、びっくりして、「…

第1188回 縄文の水上ネットワークと、竹野の巫女?

玄武洞(兵庫県豊岡市) 兵庫県豊岡市には火山活動の痕跡が生々しく残るが、柱状節理で有名な玄武洞は、地磁気の逆転現象発見の場所。 1929年、松山基範は、ここの玄武岩の持つ磁気が現在の地磁気と反対の向きを指していることを発見し、かつて地球の磁場が…

第1187回 「MINAMATA」と「くじらびと」、事実に対する誠実さの違い。

https://lastwhaler.com/bon-ishikawa/?fbclid=IwAR0SB70MpHebmRJByfpHiYdxelCDGQUCUA0cNRw_atUJEzi0os5dT_dc0qk 「これまで海の上の人間の物語を撮ってきた。しかし、海の下のもうひとつの物語があることに気づいた」 石川梵監督の映画「くじらびと」の誕生…

第1186回 たとえフィクションであっても、事実を伝える際のモラルは必要だ。

「Let truth be the prejudice」真実を偏見(こだわり)にしようというユージンスミスの有名な言葉の中のTruth(真実)は、神様の目ではなく、人間の目からの真実である。 ユージン・スミスは言っている。人間というのは、純粋に客観的であることはできない…

第1185回 重層性や複合性の視点を失わずに表現することの大切さ。

映画MINAMATAは、非常にわかりやすいサンプルなので、しつこく言及してきたが、現在の表現の一番の問題は、重層性や複合性の視点が欠けているものが多く、その方が、人に受けやすいということ。だから、単純な構造にしてわかりやすくして人心を誘導する手口…

第1184回  水俣やユージン・スミスのリアルと向き合うことは、近代の問題と向き合うこと。

私が映画「MINAMATA」のことについて書くことに対して、「佐伯さんは、一般大衆に期待しすぎ」と、なんとも不思議なコメントをくれる人がいる。 一般大衆の定義がよくわからないが、期待しても、何にも変わらないよ、という程度の意味だろうか? 私がしつこ…

第1182回 桑原史成さんの水俣の写真から伝わってくる、正義よりも本当のことを伝える思い。

桑原史成さんの水俣に関する写真展が開かれている。 http://www.fujiwara-shoten.co.jp/whatsnew/9-15%EF%BD%9E10-16-%E6%A1%91%E5%8E%9F%E5%8F%B2%E6%88%90%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%B1%95%E3%80%8Cminamata%E3%80%8D%E9%96%8B%E5%82%AC%EF%BC%81/ 大勢の人に…

第1180回 映画MINAMATAー正義と真理の隔たり

ここ数日、映画MINAMATAについて、あまりにも無防備に絶賛する人が多すぎるので、私なりに感じる問題点を書いてきたけれど、これを最後とする。 この映画は、「事実に基づくフィクションである」という中途半端な逃げで、悪の集団役としてチッソ株式会社は具…

第1179回 映画「MINAMATA」と、当事者意識の問題。

ユージン・スミスを主人公にした「MINAMATA」の映画に対して、熊本県と水俣市の判断は違っていた。この映画の水俣での上映会において熊本県は後援したが、水俣市は後援を拒否した。熊本県の方が水俣市よりも懐が大きいなどと思う人は、水俣のことについて、…

第1178回 映画「MINAMATA」について、ユージン・スミスは、どう思うだろう?

「私は、男は泣かないということを承知しているが、私は泣いた。同室のものから顔をそむけ、涙と嗚咽を抑えるのに精一杯だった。私を深く感動させる写真、私の人生を変えてしまう写真は数少ない。森永純の写真はその二つを併せ持っていた。」 ユージン・スミ…