写真

第1072回  風土と人間

大阪のphoto gallery Saiで、写真家の小池英文さんが、「瀬戸内家族」というテーマで撮り続けたきた写真の展覧会を行っています。 小池さんの写真は、風の旅人でも何度か紹介させていただきましたが、この写真展を機会に、私と、小池さんに、ギャラリーの主…

第1071回 鬼海弘雄 最新写真集 SHANTI persona in india

https://www.chikumashobo.co.jp/special/persona/shanti/ スマホで、色調その他色々と調整ができて、手軽に撮影ができる時代、プロとアマチュアの差がほとんどわからなくなった時代。もはや、「いい写真だね」という言葉は、褒め言葉でもなんでもなくて、た…

第1066回 過去と未来の橋渡しになる映像を

亀岡 御霊神社 ピンホールカメラで撮影した日本の古代の聖域の写真を紹介するホームページを一新しました。 ​​ https://kazesaeki.wixsite.com/sacred-world 日本というのは、たぶん世界の中でも実に特殊な国で、一千年以上も前の歴史を探るために、文献の量…

第1046回 広河隆一氏の性的暴行事件について(4)

広河隆一氏が、月刊雑誌に、今回のセクハラ事件に対して「手記」を書いて掲載している。 このタイミングで、手記を書く方も書く方だが、掲載する方の神経も理解できない。 手記を書くのは構わない。しかし、ふつう、手記というのは、事件がなんらかの結論に…

第1026回 リアリティと幻想の交錯

4月5日、写真家の森永純さんが亡くなった。80歳だった。森永純さんのことを、知っている人は少ないと思う。森永純さんは、日本の写真界で、写真展という形で最初に展覧会を行った人だ。それまで日本における写真家というのは、雑誌や新聞などに素材を提供す…

第1019回 時代を超える普遍性について思う

今、銀座のニコンサロンで奥山淳志さんの写真展「庭とエスキース」が開催されている。東京では1月30日まで。大阪では、2月22日から28日まで開催される。 奥山さんは、今回の写真展のために出版社を通さず自力で作り上げた写真集の販売のため、毎日、…

第1010回 昭和という時代の欺瞞と虚飾の延長線上の今

京都の河原町のLumen galleryで福島菊次郎の写真展と記録映画の上映があります。 http://www.lumen-gallery.com/ まだご覧になっていない人は、ぜひ一度見ていただきたいです。きっと感じるところがたくさんあるでしょう。 現在、安倍政権が、民進党の混乱や…

第1006回 ありのままを伝えることの深み〜ジャン-ウジェーヌ・アッジェと鬼海弘雄の街の写真〜

撮影:ジャン-ウジェーヌ・アッジェ 一昨日、神戸まででかけた時、もう10年以上、連絡もしていない同郷の写真家のことを、ふと思い出した。 そして、驚いたことに、昨日、突然、その写真家からメールがきた。 「佐伯さん、お元気ですか。素晴らしい写真集…

第1003回 過去と未来の橋渡しになる映像を

一般社団法人カメラ映像機器工業会(CIPA)が発表している数字を見ると、デジカメ販売の長期衰退は、著しい。 コンパクトカメラは、2010年が1億900万台で9,774億円だったが、2016年は、1,200万台で1,630億円。 レンズ交換式カメラは、2010年が1,300万台で3,9…

第994回 写真に言葉は必要か否か

写真も、言葉も、それを作り出した人間も、それ単独では不完全なもの。それが存在するだけで、知らず知らず世界を損なっている。それは、大脳を発達させてしまった人間の宿業。生命の生存に直接に結びついた小脳と違い、大脳は、経験を応用的に処理し、より…

第991回 根源と全体を受容すること②

小栗さんと京都の清水あたりを歩いている時、小栗さんがデビュー映画「泥の河」を作ってまもなく、若狭と東大寺のお水送りとお水取りのリポーターをやった時の話をされた。 この時のことは、1987年に発行された「哀切と痛切」という本の中に書かれている…

第958回 ”もののあはれ”を知る二つの東京(第2回)

(第1回から続く) 今年度、「東京」の名がつく二つの大型写真集が刊行された。 一つは、鬼海弘雄さんの「Tokyo View〜東京模様〜」(発行:かぜたび舎)、そしてもう一つが、有元伸也さんの「Tokyo Circulation」(発行:禅フォトギャラリー)だ。 この二…

第957回 「もののあはれ」を知る二つの東京 第1回

この20年ほどの間に、パソコンが大型コンピューターに取って変わり、さらに、どこにでも持ち出し可能なラップトップコンピューター、より携帯性に優れたスマホが人々のあいだに普及した。これから急速に進むのは、IoT(Internet of Things)、「もののインター…

第955回 人間として引き継いでいくべきものを写す写真

現代社会は、概念としてできあがっている「問題意識」を上塗りする社会的・政治的な写真や、消費社会で商業的に成功した写真をもてはやす傾向が強い。しかし、そのどちらの写真があってもなくても、世界の見え方や、受け止め方に、そんなに大きな変化は生じ…

第953回 普通であることのすごさ

このたびの鬼海弘雄さんの大判の写真集「Tokyo View」を購入した方から、「1ページずつバラバラに切り離して、額装したい。」という声をたくさんいただいている。 印刷とは思えないクオリティだと誉めていただいているわけだが、一方では、この写真集の厚塗…

 *第952回 何度見ても、気にかかる写真

鬼海弘雄さんの写真集「TokyoView」が完成して、発送作業に追われている。(写真集の詳細はこちら→http://www.kazetabi.jp/) この写真集の制作には2年かけた。それだけ拘るに値する写真ばかりだからだ。 最初の1年で写真の選択と組み方とレイアウトとデザ…

*第942回 鬼海弘雄さんの新作写真集 完成までの長い道のり

何度も何度もやり直しをして、制作を続けてきた鬼海弘雄さんの新作写真集の印刷が、ようやく納得いくものになってきた。 私は、これまで数多くの写真家と仕事をしてきたが、はっきり言って、鬼海さんほど、クオリティに関して厳しい人はいない。しかし、うま…

第940回 大石芳野さんの子供に注ぐ眼差し

現在、東京の築地にある「ふげん社」で、写真家の大石芳野さんの展覧会が開かれています。「福島 土と生きる・今」(2016年3月1日〜19日)。その大石さんと、3月5日、14時から、写真展会場で、お話をさせていただきます。 http://fugensha.jp/ 2011年3月に起…

第938回 アナログの魅力

昨日、ブログで書いたことを少し矛盾しているが、今日、溝の口で写真家の鬼海弘雄さんと会った時に、アナログの魅力についての話しになった。 google play musicやアマゾンのプライムビデオで、音楽や映像その他が見放題、聞き放題になることで、中途半端な…

第936回 歳月の中で積み重ねられてきたもの

写真家が、何十年もかけて撮り続けてきた写真の作品集を、数年に1度ずつくらいの頻度で発行したいと考えています。 デジタルコンテンツ全盛の時代、簡便な方法で作ってすぐに消費される情報ではなく、歳月の中で積み重ねられてきたものから滲み出る何かに、…

第935回 人を安心させる懐の深さ 

東京の築地に「ふげん社」という、とても個性的な品揃えの本屋&ギャラリーがあります。昨年の10月、この場所で、水越武さんの写真展に合わせてトークショーを行った時、書棚の品揃えに、思わず「私の好み!!」と唸りました。姜信子さんや管啓次郎さんと…

第934回 鬼海弘雄さんの写真が誘うところ

昨日、鬼海弘雄さんの新作写真集「TOKYO VIEW」、印刷会社に校正紙を戻しました。 鬼海さんの口からも、「納得のいくものになってきた、出来上がりが楽しみ」、という言葉が、ようやく出ました。 この写真集に収められている東京の写真は、1970代の前半…

第923回 インターネットでは得られない感覚

今はインターネットで色々な情報が得られると思われている。インターネットで色々な情報を得るための道具や、ウェブ上のサイトは数限りなくある。それらの情報を暇つぶしで見たり、お役立ち情報として見たり、ビジネス上のヒントとして見たり、人によって色…

第917回 時を経ても変わらないものの本質

(撮影 水越武) まもなく発行の風の旅人 復刊第6号「時の文」。2003年4月に創刊以来、50冊目になります。次の号で紹介させていただく水越武さんの写真は、12年前の創刊第1号も、3年前の復刊第1号にも登場しました。現代社会に泡のように現れて…

第913回 ”かたじけなさ”と、日本のかけがえのない精神風土

8月8日、今宮神社の中にある織姫社で、織姫七夕祭を斎祀ることを奉告御祭に参列した。しばらく途絶えていた織姫祭を来年から復活させることが決まり、その報告を神様にする祭りだ。 世の中には、色々なタイプの祭りがあるが、最近では地方自治体などから助…

第905回 大石芳野さんの写真展「福島 土と生きる。」

川崎の「東海道かわさき宿交流館」http://kawasakishuku.jp/ というところで、大石芳野さんの写真展が開かれています。(6月14日まで) 5月30日の3時から、対談も行われます。 テーマは、「福島 土と生きる」。東京電力福島第一原発の事故で故郷を奪…

第895回 自然に還るのではなく、自然から学び、人間力を磨く。

風の旅人の復刊第5号、鬼海弘雄さんのページの印刷がうまくいかず、刷り直しになってしまったけれど、カラーページを含め、他のページはきれいに仕上がっている。 グラビア雑誌というのは、写真の印刷が命だから最後の印刷が山場だ。ここでうまくいかないと…

第887回 袖すり合う縁をも生かす

撮影/大山行男 風の旅人 復刊第5号 いのちの文(あや)より 昨日、建仁寺の塔頭である両足院において寅市という手作り市が開催されていた。着物の切れ端を上手にデザインした布製のバックや、ガラスエッチングを施したグラスや花瓶、玉石のブレスレットや…

第882回 取り替えのきかない”いのち”

(撮影/有元伸也) 有元伸也さんが撮ったチベットの写真は、報道写真や観光写真のように、「チベット」の有様を客観的に情報伝達するものではありません。 彼は、チベットの人々とその環境の中に、取り替えのきかないものを感じとり、それを写真という媒介…

第881回 間(あはひ)の妙を伝える写真

(撮影 鬼海弘雄) これから出る風の旅人の最新号「いのちの文(あや)」の中で、鬼海弘雄さんの写真「東京模様」を紹介します。現在、鬼海さんのこのシリーズの写真集を制作中ですが、風の旅人の誌面ではその一部を見せます。 鬼海弘雄さんの写真を見ると、…