2019-11-01から1ヶ月間の記事一覧

第1073回 日本の古層(19)  東国に秘められた謎

古代の聖地を実際に訪れると、いつも驚くべき発見をすることになる。 数日前、栃木足利市の名草厳島神社という巨石群を訪れた。その動機は、聖蹟桜ヶ丘にある武蔵国一宮、小野神社の、まったく同経度の真北にあること。そして、名草および厳島という名が気に…

第1072回  風土と人間

大阪のphoto gallery Saiで、写真家の小池英文さんが、「瀬戸内家族」というテーマで撮り続けたきた写真の展覧会を行っています。 小池さんの写真は、風の旅人でも何度か紹介させていただきましたが、この写真展を機会に、私と、小池さんに、ギャラリーの主…

第1071回 日本の古層(18) 異なる世界の和合。聖武天皇の謎の遷都と、空海の時代(2)

さて、前回の記事で、日本で最初の本格的な都市計画に沿って作られた藤原京の位置関係について言及した。 藤原京の建設は、第40代天武天皇による律令国家の成立と重なっており、その位置も含めて、日本という国を一つにまとめるための象徴的な意味合いを備…

第1071回 鬼海弘雄 最新写真集 SHANTI persona in india

https://www.chikumashobo.co.jp/special/persona/shanti/ スマホで、色調その他色々と調整ができて、手軽に撮影ができる時代、プロとアマチュアの差がほとんどわからなくなった時代。もはや、「いい写真だね」という言葉は、褒め言葉でもなんでもなくて、た…

第1070回  日本の古層(17) 異なる世界の和合。聖武天皇の謎の遷都と、空海の時代(1)

前回の記事で、空海の時代(平安時代初期)と、古事記から聖武天皇の時代(奈良時代初期から中期)における2人の県犬養氏(橘氏)のことに言及した。 そして、この二つの異なる時代に重なる不思議なことがあり、そのことについて書いてみたい。 古代史には謎…

第1069回 日本の古層(16) もののあはれ源流 古事記と和邇氏、そして空海の時代(下)

(前回の続き) そして、人間行為が幻にすぎないことを知り尽くしながら、それでも人間的行為を永遠に化することを希求する日本人が創造したものは、”もののあはれ”だけではなかった。 それは、人工と天の摂理を組み合わせることだ。大陸から学んだ陰陽道な…

第1068回 日本の古層(15) もののあはれ源流 古事記と和邇氏、そして空海の時代(上)

亀岡の佐伯郷の稗田野神社。稗田阿礼の生誕の地とされ、稗田阿礼を祀る。近年、この神社のすぐ傍で、大規模な古代都市遺跡や古代寺院遺跡が発見された。 日本の古代を探っていると、何か一つの発見があるたび、そこから新たな謎が生じる。そして、自分は、こ…

第1067回 日本の古層(14)古代ヤマトの東西につらなる金属の神の足跡

大学入学共通テストにおける英語の民間試験の導入について揺れ動いている。グローバル化に対応するために英語力を高めなければならないのだと頭でっかちの文部科学省が考えているようだが、これまでも学校教育のなかで英語を学ぶ時間は、莫大なものだった。…