2024-05-01から1ヶ月間の記事一覧

第1470回 千年の時を超えて、今に伝わってくる叡智。

春日大社と空海展へ。 空海が関わって制作されたとされる神護寺の曼陀羅が、修復作業を経て公開。 西洋絵画だと、ヒエロニムス・ボスが、超精密な描写を行なっているが、それよりも700年も前に日本でつくられた超巨大な曼陀羅の中の超精密な描写には、驚くば…

第1469回 偶然性の仕打ちを受容する生存の美学。

明治時代になって、浮世絵などの日本文化が、二束三文の値段で海外に持ち去られたように、日本人は、日本にあるものの価値を知らず、欧米のものに価値があると思い込んで、高い値段を払ってまで手にいれてきた。そして、欧米から褒めてもらって初めて、自分…

第1468回 ピンホール写真の写真展について

来年の初めに、東京のオリンパス関連のOMシステムギャラリーで写真展を開催することになったのだけれど、これまでの人生で、自分の写真の写真展は初めてのこと。 本はたくさん作ってきたのでイメージを掴みやすいのだが、写真展は、プリントサイズとか、額装…

第1467回 北斎と広重が描いた小野の滝を、ピンホールカメラで撮影した。

木曽路の寝覚の床。浦島太郎が玉手箱を開けた場所だという伝承の地。 戦国時代、織田信長、豊臣秀吉、徳川家康に仕えて重用され、肥後国の細川家の礎となった細川幽斎は、一流の文化人で優れた歌人でもあった。 その彼が、豊臣秀吉の小田原城攻めに参陣し、…

第1466回 闇の深さと、色相の繊細かつ豊かさ。

嵐山から嵯峨野は、観光客で溢れかえっているけれど、清涼寺あたりまで来ると、それほどでもない。 私が、京都に移住することになったきっかけの一つが、11年前、風の旅人の第47号で、染色家の志村ふくみさんのロングインタビューのために、この清涼寺のすぐ…

第1465回 レトロでアナログだけれど、新しい世界!?

風の旅人第25号〜第30号。表紙制作/大竹伸朗 これまで世代論について、あまり深く考えたことがなかった。 交遊関係にしても、年代で分けて意識することもなかったのだが、近年、Z世代という生まれた時からインターネットが当たり前だった世代の社会的影響力…

第1464回 縄文人には見えていて、現代人には見えていないもの。

先ほど書いたことの補足だけれど、今回、北海道でもオーロラが見えた。 私は、自分でも縄文土器を作り続けていた時期があったのだが、縄文土器の文様は、オーロラのようなプラズマ現象ではないかという気がしていた。 縄文人は、実際にオーロラ現象をよく見…

第1463回 人間の目には見えない宇宙の真理。

太陽フレアの大爆発によって、低緯度でもオーロラが見られたというニュースが、各地から届いている。 その場にいた人たちがスマホで撮影したオーロラを、世界中のどこでも見られるわけで、地球上に起きていることを人類全員が共有化できる時代になっているこ…

第1462回 情報として表に出てこない日本のリアリティ

日本という国は、いくら都市化が進んでいるといっても、国土の70%以上が山岳地帯であり、島国であるがゆえに、少し移動するだけで大海原を見ることができる。 こうした自然風土の国でありながら、山も海も見えない大都市のなかだけで日々暮らしていると、…

第1461回 今年の木村伊兵衛賞の受賞作品展の、哀しいまでの空疎さ。

昨日、池袋の新文芸坐で小栗康平監督の「眠る男」と 「伽倻子のために」の デジタル4Kレストア版を観る前に、銀座に立ち寄って、写真界の芥川賞などとメディアが煽る木村伊兵衛賞の受賞展を観てきた。 そして、会場に入るなり、その空疎な内容に呆然。ポスタ…