風土

第1457回 地震のサイクルと、日本社会のサイクル。

昨夜遅く、愛媛、高知で震度6弱の地震が発生した。これは本当に怖い。南海トラフの前の、不気味な足音のような気がしてならない。 台湾から宮崎、そして四国と、最近、立て続けに、中央構造線の南側の地震が続いている。 1995年の神戸での大地震以来、北海…

第1454回 古代、聖から邪に転換した竜蛇神。

数日前に、近畿の真ん中の縦長の盆地の北と南の端にあたる吉野と京都を結ぶ丹生の女神のことについて書いたが、今度は、その京都を軸にした東と西の関係について考えてみたい。 吉野三山に鎮座し、蛇神の天津羽羽神を祀る波宝神社の真北に位置する上賀茂神社…

第1452回 歴史が動いた時の背後。

久しぶりに天気が回復したので、昨日、以前から気になっていた所を訪れた。 これは、大谷選手の話題とは異なり、かなりマニアックで、古代に興味がない人には退屈な話だけれど、古代の重要鉱物である丹生=辰砂=硫化水銀や、現在、大河ドラマでやっている平…

第1450回 縄文時代に遡る巫女神が、時代を超えて伝えていること。

御前崎。(静岡県御前崎市)。 南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所である浜岡原発は、太平洋に突き出た静岡県御前崎にある。 この場所は、四国から近畿にかけての中央構造線を東に伸ばして、伊豆下田の伊古奈比咩命神…

第1449回 大震災と、この国の祈り。

南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所が、静岡の浜岡原発で、さらに、プルサーマル発電を継続中(2024年7月終了の予定)の愛媛県の伊方原発も不気味だ。 日本の原発は、岬や半島など、古代の聖域に建設されているものが…

第1428回 ”いのち”のさだめと、もののあはれ。

今年の京都の桜の開花は、ウェザーマップによると平年より早く、3月21日に開花、3月30日に満開になると予想されているが、そのタイミングとなる3月30日(土)と31日(日)に、京都でワークショップセミナーを開催します。 当日は、嵐山の渡月橋あたりに集合…

第1425回 「日本文明が与えることができる優れた教訓のかずかず」 レヴィ=ストロース 

第15回ワークショップセミナー(東京)を終えた。 この場で最初に私が話をしているのは、エンジニアリングとブリコラージュの話。 これは、20世紀の最高の知性、文化人類学者のレヴィ=ストロースが唱えていることで、近代文明の中で生きている私たちは、エ…

第1424回 半島は、なぜ聖域なのか。

今年制作する予定の「日本の古層VOL.5」は、カラー写真を使って「もののあはれ」をテーマに深く掘り下げるつもりで、昨年の末に能登半島を訪れて取材した。これらのピンホール写真は、カラーで撮っていた。 しかし、この取材後、心にひっかるものがあって、…

第1418回 原始のエッセンスが持つ普遍性。

嬉しい頼りが地球の裏側から届いた。 アフリカのルワンダで、「イミゴンゴ」という伝統アートの調査活動と、普及のための展示や販売を行っている加藤雅子さんが、このたび私が制作した「始原のコスモロジー」を、現地でイミゴンゴの制作を行っている人々に見…

1417回 今という永遠の中に在る縄文のコスモロジー

縄文人は、同じような生活を10,000年続けていたとされ、さらに彼らの居住地は、ずっと同じで、竪穴式住居が、前の世代のものの上に積み重ねられるように作られているところが多い。 つまり、他の地域に移る必要がないほど、暮らしが安定していたということに…

第1414回 源氏物語と、宇治の謎。

宇治の宇治橋と、伊勢の宇治橋は、冬至のラインで結ばれており、冬至の日、伊勢の宇治橋の真ん中から、太陽が上るが、宇治と同じく橋姫を祀る伊勢の饗土橋姫神社の位置は、この冬至のライン上にある。 ネットニュースを流し読みしていると、HNK大河ドラマへ…

第1413回 写真に気配が写るとは?

私がピンホールカメラで撮っている写真において、”気配”のことについて質問されることがよくある。 「磐座」や「御神木」「滝」などの聖域に立った時、古代から大切に守り継がれてきた何か、もしくは秘められた先人達の声などを嗅ぎ取ろうとして撮影している…

第1411回 大震災と、細い運命の糸でつながる生命。

この写真は、能登の大地震の後に写真家の渋谷敦志さんが撮った輪島市の白米千枚田。 美しいというより、儚くて切ない風景。 昨年の11月末、輪島から珠洲に向かう途中、20年ぶりに立ち寄った時は、土と潮の香りが満ちていた。 何の説明もなくこの写真を見たら…

第1409回 今こそ知るべき源氏物語に秘められた真相(2)

昨日、紫式部を主人公にしたNHK「大河ドラマの」への違和感から、源氏物語が書かれた背景について長文を投稿したが、本題はここからである。 さらに、2日前の投稿において、「”もののあはれ”という日本のコスモロジーは、古代ギリシャでは無知の知、古代イン…

第1407回 能登半島の記憶と、人生の転機。

今回の地震で津波の被害が大きかった珠洲市の聖域の岬。古代は、日本海交通の要だった。 このたび作った「始原のコスモロジー」には、能登半島の写真が奥付けを含めて5点入っている。 11月下旬に京都から東京に移動する際、ふと思い立って能登を一周した。…

第1406回 最果ての能登は、人生の折り返し地点でもあった。

石川県能登町の真脇遺跡。縄文時代の環状木柱列。 東京から京都に戻ってきた。一ヶ月少々前、京都から東京に移動する時、前々日にふと思い立って、能登半島を一周することを決めた。 2023年中に発行するつもりだった「始原のコスモロジー」で使用する写真の…

第1405回 日本列島の上に生きることの意味

高瀬宮(石川県志賀町) 昨日の大晦日、フェイスブックに、次のような記事を書いて、いつも通のように、翌日の今日、ブログに同じ記事をアップしようと思っていたが、能登の大地震が起きて、戸惑っている。 昨日書いた記事は、このようなものだった。 ______…

第1399回 シンギュラリティ(技術的特異点)と、古代のコスモロジー。

昨日と今日は、今年13回目、今年最後のワークショップ セミナー。 ちょうど一昨日、古代のコスモロジー〜日本の古層vol.4〜が納品されたので、ベストなタイミング。 (詳しい内容は、こちらのサイトへ) www.kazetabi.jp 今回の本、これまでの3冊より写真が…

第1398回 この時代における写真家の存在意義

昨日、私が選考委員をつとめさせていただいている笹本恒子賞の受賞式が行われ、久しぶりに、受賞者の高橋宣之さんにお会いしました。 今回の受賞に合わせて、アイデムフォトギャラリー「シリウス」(東京都新宿区新宿1-4-10 アイデム本社ビル2 F)において、…

第1394回 誌面を通じた旅体験。

私が、風の旅人を作っていた時、潜在意識に働きかけるビジュアルをリード役とし、その後に言葉によって意識化を深めるという読まれ方を想定していた。 本を買った人は、とりあえずビジュアルの全体に目を通して何らかのイメージを掴む。文章は、その後、少し…

第1393回 日本の大地と聖域について

日本は山国であることを誰でも知っているし、東京23区に住んでいる人以外は、日々、それを実感している。 しかし、なぜ日本が山国なのかという理由を考えることは、あまりない。 一般的には、日本が火山国だからと思っている人が多いのだが、たとえば近畿に…

第1391回 始原のコスモロジー

始原のコスモロジー 日本の古層Vol.4の納品日が決まりました。 12月15日(金)です。 現在、ホームページで、お申し込みの受付を行っています。 出版に合わせて(タイミングが良かっただけですが)、12月16日(土)、12月17日(日)に、東京の事務所で、ワー…

第1390回 人間の傲りを抑制する日本の聖域

真脇遺跡 石川県鳳珠郡能登町 ギリシャのパルテノン神殿やエジプトのピラミッド、シリアのパルミラ、マヤのティカール、エチオピアのラリベラ、アンコールワットやボルブドゥール、タクラマカン砂漠の楼蘭遺跡も含め、世界中に残る遺跡の大半を訪問したけれ…

第1382回 吉備の鬼退治の真相。

楯築遺跡 吉備には、日本の古代史の真相につながる深い謎が幾つかあり、一昨日に書いた鬼退治のことや、鬼ノ城という山城の存在が、よく知られている。 それ以外の謎として、2世紀後半という、卑弥呼の時代以前に作られた楯築遺跡がある。これは全長70mとい…

第1381回 神話は史実ではないが、単なる空想の産物でもない。

神話は史実ではないが、単なる空想の産物でもない。かといって、権力者による自己正当化の物語でもない。 神話は、古代における秩序形成のために創られたコスモロジーである。 コスモロジーというのは、自分たちが生きている世界をどう解釈し、その世界でど…

第1380回 古代のことを考えるためには地理のことを踏まえる必要がある。

古代の吉備国の聖域は、吉備の穴海にそって築かれていた。 古代のことを考えるためには地理のことを踏まえる必要があり、吉備もまた例外ではない。 古代の吉備において早くから高度な文化が栄えた場所は、現在の岡山市から総社市や倉敷市にかけての一帯だが…

第1378回 京都の水と地質。

京都最大の滝、空也の滝。愛宕山の麓 このたび、定期的に行っているワークショップセミナーとは別に、オーダーメイドの依頼があったので、その内容に応じたフィールドワークとセミナーを行った。 ガラスメーカーの方達で、日本および世界各地の砂を使ってそ…

第1369回 古代の二つの海人勢力について

これまで、古代における転換期に大きく関わっていた二つの海人勢力のことを書いてきた。 一つは、安曇氏(海部氏や、その同族の尾張氏、和邇氏を含む)と呼ばれる勢力で、もう一つは、紀氏(越智氏や平群氏も含む)と呼ばれる勢力だった。 古事記において、…

第1367回 歴史の転換期における背後に隠れた力。

古代日本は、100年単位で、大きな変革を遂げている。 西暦400年頃、後の東漢氏や秦氏につながる渡来人が大挙してやってきて、この頃から古墳が超巨大になり、副葬品として、武器や馬具などが多く含まれるようになった。 西暦500年は、今来という新しい渡来人…

第1365回 海に囲まれている国の文化

日本は、海に囲まれた島国。大陸から遠すぎることもなく近すぎることもない微妙な距離感が、日本文化の固有性を育んできた。 日本人にとっては、海そのものが境界線だったから、高い城壁を築いて異民族の侵入を防ぐという発想にはならなかった。 日本人にと…