2024-07-01から1ヶ月間の記事一覧

第1488回 1000年に渡る祇園祭の祈り

9世紀、貞観の時代、富士山の大爆発や大地震が起き、疫病も流行した。 朝廷は、863年、京都の神泉苑で御霊会を行った。御霊会は、恨みを残したまま亡くなった人々の祟りを鎮めることで、世の安寧を祈る祭だった。 京都の神泉苑は、平安時代の初期、空海が雨…

第1487回 人類史上稀にみる世界的規模の画一化、標準化、規格化の時代を生き抜く力(2)。

昨日書いたことに通じる問題だけれど、現在は、映像の加工ソフトの技術進化が著しくて、富士山の写真に無数の星々が煌く天体写真を合成したり、日頃は敵対する動物同士を仲良くさせたり、フェイク画像を簡単に作り出すことができる。 いわゆる社会問題や政治…

第1486回 人類史上稀にみる世界的規模の画一化、標準化、規格化の時代を生き抜く力(1)。

7月19日、「過去最大のIT障害」とされる世界的なシステム障害が起きた。 空港や銀行がストップ…医療システムや緊急通報まで大混乱。 このシステム障害は、ウィンドウズパソコンに搭載したセキュリティソフトが原因で、ソフトが自動でアップデートされた際…

第1485回 アメリカの正義と戦争ビジネス

トランプ氏が狙撃されるニュースが世界中を駆け巡ったが、もしトランプ氏が大統領になった場合に、一番気になるのが、ウクライナ戦争の行方だ。トランプ氏は、ウクライナ戦争を終結させる方向で考えていると伝えられている。 以下は、2021年1月23日に書いた…

第1484回 火山と日本人の精神世界(2)

火山の多い日本のなかでも、特に人々に知られた山としては、九州の桜島、阿蘇山、雲仙岳、そして日本の東西の境目のフォッサマグナに聳える富士山、浅間山、八ヶ岳といったところだろうか。 興味深いことに、この西に三つ、東に三つの六つの山は、対になるよ…

第1483回 火山と日本人の精神世界(1)

39口の銅鐸が発見された加茂岩倉遺跡(島根県雲南市) 日本が世界有数の火山国であることは日本人なら誰でも知っている。実際に世界の活火山の7%が日本にあると言われるが、そのことが日本人の精神に与えてきた影響を、東京など平野部に住んでいる現代人は…

第1482回 「社会問題」や「国際問題」を伝達する表現について(2)

さきほど書いた問題にも通じることなのだが、アメリカで、トランプ前大統領が銃撃された。それを伝えるTBSの報道番組で、膳場貴子アナと、元外務省事務次官で立命館大学客員教授の藪中三十二氏のやりとりで、この事件が、「大統領選挙に有利になる可能性があ…

第1481回 「社会問題」や「国際問題」を伝達する表現について(1)

「KYOTOGRAPHIE」を京都の春の風物詩にまで育て上げた主催者の努力への敬意とは別に、この記事で、ダニエル・アビー氏が批評していることは、非常に大事なことを含んでいる。 www.tokyoartbeat.com 特に今日の写真表現の有様について深く考えるべき立場にい…

第1480回 山頭火の人生に重ね合わせた人生

まっすぐな道でさみしい(山頭火) 放浪の俳人山頭火。その人生を、ひとり語りで演じ続けていた林田鉄さんが、7月10日、あちらの世界に旅立たれた。 あまりにも突然で驚いた。 林田さんは、ワークショップの常連だった。5月25日に京都で開催したワークショッ…

第1479回 小さな映画のようで、実は深遠なる映画。「丘の上の本屋さん」

昨日、2023年に公開された「丘の上の本屋さん」というイタリア映画を観た。ユニセフ共同製作で、監督・脚本は、クラウディオ・ロッシ・マッシミという無名の人だが、小品ながら、とても深遠なる映画だった。 舞台はトスカーナの小さな村の書店。大がかりな状…

第1478回 表現における現代的停滞(頽廃)を超える行先

現在、上野の森美術館で、「石川九楊大全」展が開催されていたので行ってきた。 広大な上野の森は、いつも大勢の人で溢れているが、上野の森美術館方面に歩く人は少なく、鬱蒼と茂る大樹の陰は、厳しい暑さを和らげてくれた。 私は、書道について詳しくはな…

第1477回 迦微(かみ)に出会うところ。

奥山の岩に苔むし 畏(かしこ)けど思ふ心を いかにかもせむ」 よみ人知らず(万葉集 日本の国歌の「君が代」においても、「苔のむすまで」という言葉があるが、むす」は、「産す」であり、万物を生み出す「かみ」の存在が、そこに意識されている。 なので、こ…