2025-06-01から1ヶ月間の記事一覧

第1575回 日本史の深層に隠された県犬養三千代の「天ノ逆手」

県犬養三千代の念持仏と伝わる阿弥陀如来。平安時代後半から鎌倉時代にかけて庶民のあいだに広がる浄土信仰(阿弥陀仏の救いを信じ、死後に極楽浄土に生まれ変わることを願う信仰)を、彼女が既に抱いていた可能性を示している。(複写写真) 経王寺(東京都…

第1574回 蛇の祟りと女性の霊性が関わる聖徳太子。

聖徳太子の御陵の叡福寺北古墳(大阪府太子町)。太子の母の穴穂部間人と、妃の膳部菩岐々美郎女(かしわで の ほききみのいらつめ)が合葬されている。 女性の霊性が重要視された時代のことについて、昨日の続き。 一昨日、経王寺(東京都新宿区)の住職、…

第1573回 かぐや姫と、古代の巫女との相関図。

東経135.74にある月読神社(月読神社)。 竹と関わりの深い隼人の居住地で、隼人舞発祥の地。 垂仁天皇の妃であるカグヤヒメの実家。 昨日、久しぶりに経王寺(東京都新宿区)を訪れ、住職の互井観章さんとお会いし、興味深い話になった。そのことを書こうと…

第1572回 日本史を通じて最も重要な場所の一つ、向日山

明治神宮のモデルは向日山(京都府向日市)に鎮座する向日神社だが、その境内末社に御霊神社があり、その場所に磐座がある。一般的に御霊神社は、恨みを残して怨霊になる可能性のある人物や神が祀られているが、ここは、イザナギとイザナミが祀られている。 …

第1571回 聖徳太子信仰の背後に秘められた女性たちの祈り(2)

聖徳太子生誕の地とされる橘寺。太子建立の7カ寺の一つ。 県犬養三千代から遡ること100年前、飛鳥時代もまた同じような状況にあった。 一般的に、587年の蘇我氏と物部氏の戦いは仏教の導入をめぐる戦いとされるが、この戦いの背景には、物部守屋が支援してい…

第1570回 聖徳太子信仰の背後に秘められた女性たちの祈り(1)

県犬養三千代と関わりの深い西円堂から見る五重塔。西円堂は、法隆寺の中で一段高いところに作られている。 6月1日(日)のワークショップで、あらかじめ資料として準備していなかったことについて濃い質問があって、それに応えているうちに、自分でも頭の…

第1569回 超然たるサルガドの眼差し

SNSを開くと、実に多くの人が、セバスチャン・サルガドの死について言及している。 写真というジャンルを超えて、いろいろな分野の人が強く関心を持つ写真家というのは、今ではほとんど存在しなくなった。 また、何の説明もなく、ただ写真だけを見て、強烈な…

第1568回 日本の”はし”への旅(4)

高岩神社(秋田県野代市) 一つの場所にある聖域の謎を解こうと思えば、その場所の歴史だけを掘り下げるだけでは不十分で、周辺の地理的条件などを、詳しく探っていく必要がある。 ブナの原生林が広がる白神山地の南部、秋田県能代市二ツ井町の標高333.7メー…

第1567回 過去から未来へと連なる時間の中の「今」

京都での二日間のワークショップを終了。早いもので今回で30回目なので、延べ日数は60日。 京都と東京で交互に開催しているので、京都で開催する時は関西圏に住んでいる人という思い込みは違っていて、関東からの人がとても多くて驚いた。 歴史それ自体に興…