今日、椎葉に入って、夜は椎葉神楽、翌朝から京都に移動、その翌日に東京に移動と強行軍なので手短に。
霧島から球磨川にそって有明海に面した八代に入って、有明海にそって北上。
八代は、球磨川の東岸が縄文集落で貝塚などの痕跡が残り、球磨川の西岸には、熊本では少ない古い時代の縦穴式石室を持つ古墳群がある。
その後も継続的に、古墳の建造があり、国内最大の高さを測る巨石の横穴式石室を持つ大野窟古墳などもある。
そして、古代最大の謎の一つとされる阿蘇のピンク石。第26代継体天皇と、第33代推古天皇の古墳の石棺にこれが使われている。
継体天皇は事実上の初代天皇だし、推古天皇は、十七条憲法など、今日に至るまでの日本という国の軸が形成された時代の天皇で、日本人なら誰でも知っている天皇だ。
阿蘇のピンク石は約9万年前の阿蘇山噴火の火砕流が冷え固まったもので、阿蘇溶結凝灰岩の一つ。
阿蘇凝灰岩は、一般的に灰黒色が多いけれど、宇土の馬門という場所の石は、時ピンク、ベージュ、茶などに発色し、そのうちのピンク色のものを特に阿蘇ピンク石と呼ばれている。宇土市付近では一般に赤石と呼ばれ、その石切場には赤石神社が鎮座している。
阿蘇凝灰岩を使った石棺は、4世紀後半、有明海に注ぐ氷川の流域のものが近畿の石清水八幡が鎮座する男山の南麓の古墳で見られ、その後、5世紀、菊池川流域のものが畿内で見られる。
阿蘇のピンク石を使った古墳は、継体天皇が即位した西暦500年前後から推古天皇が即位した西暦600年頃まで、畿内の奈良盆地を取り囲むように有力豪族の古墳、そして近江の三上山の麓では二基、この石を使った古墳がある。
天皇の古墳は、基本的に発掘調査ができないので、継体天皇と推古天皇は、どの天皇の石室で使われているか現時点では言い切れない。
不可思議なことは、阿蘇のピンク石を使った王の石棺が九州では見られず、主に近畿、そして、中国地方に限定されていること。そのため、阿蘇のピンク石は、ヤマト王権専用のものと言う学者もいる。
その真相はわからないが、今回の九州の旅を通じて気づいたことがある。
数日前の記事で書いた西都原古墳群。この古墳群のスケールの大きさは日本国内でも群を抜いており、とりわけ、180mクラスの前方後円墳と帆立貝形古墳という異なる形の古墳が寄り添うように築かれているのは、異様だ。
そのため、この二つの古墳を、宮内庁は、ニニギとコノハナサクヤヒメの墓としているのだが、ニニギとコノハナサクヤヒメが実際に存在した人物であるとするのは、かなり無理がある。
だから、この二つの古墳は、それ以外の天皇の古墳が、中に入れないのは仕方がないにしても近づけるのに対して、近いて古墳の姿形を見ることもできないように、周辺に植林がなされている。
そして、興味深いことに、この西都原古墳群から、ニニギとコノハナサクヤヒメが出会った場所とされる延岡の笠沙山(愛宕山)までが57km、ニニギとコノハナサクヤヒメの聖域である霧島神宮までも57kmだ。
さらに興味深いことに、西都原古墳群から、阿蘇のピンク石の石切場である宇土の馬門までの距離が93kmで、宇土の馬門から延岡の笠沙山までと、宇土の馬門から霧島神宮までの距離も93km。
この四箇所は、実に美しく配置されている。
これは明らかに意図的なものであり、阿蘇のピンク石は、西都原古墳群が意識されて、畿内の有力豪族や、継体天皇と推古天皇の古墳の石室で使われている。
西都原古墳群に関係のある勢力が、畿内で力を持っていたと考えることもできるが、西都原古墳群には、推古天皇の時代の古墳が一基だけあり、これはこれで立派なものだが、同時代の畿内の有力者のものには及ばない。
私が思うに、ニニギとコノハナサクヤヒメの出逢いに象徴されるものが、阿蘇のピンク石に反映されているのではないだろうか。
それは二つの異なるものの出逢いであり、融合。
これは、単に男女の問題ではなく、理念であり、先日の記事でも書いたようにアウフヘーベン。
対立する意見や要素があっても、その本質や、互いに優れたところなどを、より高い段階で統合・発展させていくプロセス。
異なる見解を持つものが対立して、争ってばかりの状態を鎮め、一つの共同体としてまとまっていくためにはどうすればよいのか。
その理念が、ニニギとコノハナサクヤヒメの出逢いに象徴され、その理念を特に必要とした時代が、事実上の初代天皇である継体天皇と、聖徳太子の有名な言葉、「和をもって尊し」で知られる推古天皇の時代であり、だから、この二人の天皇の墓に、阿蘇のピンク石が使われているのではないだろうか。
と、旅の途中、ふと思った。
今日も、出発前の慌ただしい時間なので、読み返しもせず、推敲もせず。あしからず。
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