第1112回 歴史を知ることは、未来を知ること。

私が子供の頃もそうだが、日本の歴史教育は、本当につまらないものになっている。「鳴くよウグイス平安京」と、何年に何が起こったかと、権力者や優れた業績を残した人の名を覚えることが重要視され、教科書に載っていることを正確に覚えて書けるかどうかを…

第1111回 わかりやすい自分事と、わかりにくい他人事で切り分けるのではなく。

近年、テレビメディアやSNSの影響からなのか、人々は、わかるかわからないか、共感できるかできないか、という単純な線を引きたがる傾向が強い。 しかし、わかることや簡単に共感できることというのは、自分の経験の中で処理できることにすぎず、重要なこと…

第1110回 現代人にも受け継がれている縄文の世界観や生命観。

山添村 縄文時代早期の遺物が多く出土した大川遺跡の目の前の名張川。 最近、山の中に分け入って、激しく急流が流れるところを訪れることが多いのだが、そういう場所の近くに見晴らしの良い高台があり、そこに縄文人が住んでいたと知ると、縄文の人たちの世…

 第1109回 「命は何よりも大事」と言う時のいのちとは何か?

今回のコロナウイルス騒動で、強く感じた違和感。「命は何よりも大事」という時の”命”とは一体何を指しているのかということ。 生命尊重という言葉を使っていると、現代社会においては、まず誰からも非難されることはなく、腹の中で何を考えていようが、良心…

第1108回 未来の土壌となる記憶

東京が日本の中心になって、日本の歴史が見えにくくなってしまったことは間違いないだろう。 しかし、400年前まで東京は辺境の地だったわけで、時代環境が変われば、辺境だった地域が中心になる可能性もある。 その場合、インフラの変化は大きな意味を持…

第1107回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(10)

奈良県宇陀郡曽爾村、済浄坊の滝 神話に事実が厳密に書かれているわけではない。神話は、大切なものを次世代に伝えていくために創り出された物語だ。 神話は、その多くが口承によるものだったため、人間の記憶に頼らざるを得ず、人から人へと伝えていくうち…

第1106回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(9)

山添村 神野山 鍋倉渓。真っ黒で重く硬い「角閃石斑れい岩」の巨岩が谷を埋め尽くす。 1995年から本格的に発掘が進められてきたトルコのギョペクリ・テペ遺跡が、放射性炭素年代測定によって12000年も前のものであることが証明された。 この地の神殿は、繊細…

第1105回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(8)

曽爾村で出会った辰砂(硫化水銀) 私はこれまでの人生で、野生の狐が原野を飛び回っているのを見たことがない。 鹿とか猿なら、日本の聖域を探求中に色々なところで見ることがあるが、狐だけは見たことがなく、子供の頃からの記憶を辿っても思い浮かばない…

第1104回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(7)

赤目四十八滝 【布曳滝】 修験道の祖とされるのは、役小角(634年-701年)であり、空海(774-835)より100年ほど前の時代を生きたとされる。役小角は、聖徳太子や蘇我氏の時代から大化の改新や白村江の戦いなどを経て天智天皇の時代となり、壬申の乱に勝利し…

第1103回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(6)

室生龍穴神社 奥宮 古代中国で、牛は神聖な生物だった。牛に対する崇拝は、「物」という漢字にも現れている。物とは万物のこと。万物は牛から始まった。ゆえに牛が偏となっている。 また、古代において、祭祀の時に不可欠だったのが牛で、牛は生贄だった。犠…

第1102回 神話のわかりにくさの背後にあるもの。

日本神話に出てくる神や天皇の名前は、長くて、わかりにくくて、覚えにくい。そして、名前ばかりが連なっているところもあり、筋がぼやけてしまう。 でも、これはきっと、わざとそうしている。 20歳の時、大学を辞めて2年間ほど諸国放浪したが、リュック…

第1101回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(5)

かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの正面だあれ? 表の裏は表である。 表の裏のまた裏は表であるというのは、本来は一のものを二つに分ける現代人の合理的な分析だが、表の裏が表であることがわからないと、日本の…

第1100回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(4)

伊賀の鍛冶屋にある山神遺跡の磐座。巨石の前面から古墳時代の土師器片と推定される遺物が見つかっている。この遺跡の東3kmのところに木津川が流れており、すぐ近くに元伊勢とされる猪田神社が鎮座する。このあたり、伊賀の鍛治拠点の一つと考えられる。 今…

第1099回 日本の古層vol.2   祟りの正体。時代の転換期と鬼(3)

日本の歴史は、リーダー(権力者)の足跡を追っていても本質が見えてこない。 リーダー(権力者)は、今でもそうだが、必ず他の誰かに取って代わられることが前提であり、その人物の治世において何かが成されていたとしても、その多くが、それ以前に準備され…

第1098回 総括/新型コロナウィルスの教訓。「ソドムとゴモラに追随するな。」

最近になって、感染者の数、死者の数が急激に減ってきて、専門家が脅かしていたような欧米のような事態にはならず、緊急事態宣言の全面的解除の方向に向かっている。 そして、「日本の対応がうまくいっていった理由」が、あれこれ語られたりする。そして、ま…

第1097回 新型コロナウィルスの死者と、肥満の因果関係。

医療施設が整っていないから死者が膨大になると予測されている発展途上国では、いつまで経ってもさほど死者が増えず、飽食の国に犠牲が集中したという皮肉な結果。そこに今回の新型コロナウィルスの特徴がある。 ベトナムは、人口が1億に近い大国だが、今回…

第1096回 日本の古層vol.2   祟りの正体。時代の転換期と鬼(2)

赤岩尾神社 祭神はカグツチ。柱状節理で知られる。平安中期、金鬼、風鬼、水鬼、隠形鬼の4人の鬼ともに朝廷と戦った藤原千方は、 ここで必勝祈願をした。。 日本の鬼伝説は、異なる時代にいくつかあるが、共通しているのは時代の転換期であることだ。 桃太…

第1095回 新型コロナウィルス対策。数理モデルと、環境要因の分析。

今日の新聞も、「新型コロナウイルスの感染者が187カ国・地域で400万人を超えた」という見出しが踊る。 しかし、おそらく一般の人々の生理的な感覚では、パンデミックと言われるけどピンとこないという人が増えてきているのではないか。 ロックダウンされて…

第1094回 ウィルス禍のなか、健やかな未来のための総合的判断とは。

どれか一つの理由でと決めつけることはできないが、新型コロナウィルスの禍が広がり始めて4ヶ月近くなり、地域ごとの違いがはっきりとしてきた。 専門家の先生は、このウィルスは、人種や地域性などに関係なく全人類の普遍的な脅威であると言っておられたが…

第1093回 森羅万象の摂理と、ピンホール写真。

原初というのは、終わってしまった過去ではない。森羅万象の摂理においては、そこから生まれたものは、そこに還っていく宿命にある。 このたび制作した「Sacred World 日本の古層 Vol.1」に掲載されている写真は、この数年間、日本の様々な聖域を訪れ、すべ…

第1092回 恐怖の正体!?

あいかわらず日本のメディアの情報提供は画一的なままだ。 新型コロナウィルスの騒動が3ヶ月を超え、いろいろな傾向が具体的に見えてきている。そうした具体的な事実を無視して、感染が広がれば致死率の高いウィルスによって、何十万、何百万の死者数が出る…

第1091回 デジタル社会における写真集の可能性!?

「Sacred world 日本の古層 Vol.1」を発表してから1ヶ月となり、いくつかのご意見をいただいている。 https://www.kaz www.kazetabi.jp このデジタル全盛の時代に、なんでまたピンホール写真なのと違和感を抱く人もいるかもしれないが(今のところそういう…

第1090回 いのちが私たちの中にあるのではなく、私たちが、いのちの中にある。

今日はお天気がよくて、家の前の河川敷に、親子連れが、わりとたくさん来ていて、子供の頃によくやっていた川に向かった石投げや、虫取をしていて、いいなあと思って眺めていた。 忘れてならないことは、いのちが私たちの中にあるのではなく、私たちが、いの…

第1089回 発展途上国で健やかな暮らしをしている人々の方が、新型コロナウィルス感染による死者数が少ない。

このたびの新型コロナウィルスにおいて、たとえばアメリカでは、アンソニー・ファウチ博士など、感染症の権威の発言が大きな影響力を持っている。 アンソニー・ファウチ博士は、エボラやヒト免疫不全ウィルス( HIV)の研究に貢献されてきた人だが、そのため…

第1088回 アメリカのことが心配で怖い。

4月17日23時現在、日本のコロナウィルス感染者は9850人で、死者は207人、感染経路が不明の人の数が増えているのが大問題、より一層の警戒が必要だというニュースで占められている。 もちろん日本国内のことは大事だが、超大国アメリカで起こっていることにも…

第1087回 パンデミックと不条理と、もののあはれ

新型コロナウィルスによって、世界中がこれまでにない事態に直面しているが、この問題に関して、海外の知の巨人と言われる人たちが意見を述べている。 これは危機的な状況であるが、人類の次なるステージへの準備段階でもある。実際に、テレワークをはじめ様…

第1087回 ウィルスは殺戮目的でやってくるのではない。

ウィルスの感染による死と聞くと、ウィルスが殺戮目的で体内に侵入してくるような気がしてしまう。しかし、ウィルスの生存戦略は共生であり、侵入した相手が死んでしまうと自分も生き残れない。 だから、通常は特定の動物の中で共生している。今回の新型コロ…

第1085回 日本の古層vol.2   祟りの正体。時代の転換期と鬼(1)

怨霊と聞くと、菅原道眞(845ー903)がよく知られているが、道眞の死より少し前にも、怨霊が日本を騒がせていた。 9世紀、日本は、疫病の大流行(859〜877)や、貞観の富士山の大噴火(864-866)、そして貞観大地震と貞観の大津波(869)などに襲われていた。…

第1084回 世界の本質?

新型コロナウイルスへの感染防止策として、世界中の産業が停止することで、二酸化炭素や二酸化窒素の排出がなくなり、大気汚染が劇的に改善されている。 大気汚染が世界最悪とされるインドでも、今まで見えなかったヒマラヤ山脈の神々しい姿が現れ、人々が驚…

第1083回 もののあはれという、日本人の運命の受け止め方

コロナウィルスで、かつて経験したことのない重い空気が世界を覆っている。 私は、2015年10月に発行した風の旅人の第50号で、次号の告知として、「もののあはれ」を発表したものの、その底深いテーマの前に途方にくれ、そのままになってしまっていた。 日本…