第1239回 瀬戸内海の海人と、歴史の真相

明日、印刷納品される Sacred world 日本の古層 Vol.3は、海人に焦点をあてている。 www.kazetabi.jp 日本は島国であり、古代、船がなくては、人も物資も動かせなかった。大陸から新しい知識や文化を日本に伝えたり、大陸の勢力と戦う時に、海人の力が欠かせ…

第1238回 日本にしか存在しない八角形の古墳の謎。

天武天皇の母で第37代斉明天皇の牽牛子塚古墳 東京で私が拠点にしている高幡不動と聖蹟桜ヶ丘のあいだに、珍しい八角形の古墳がある。 これは、世界中で日本だけ、しかも、7世紀後半から8世紀前半の律令制の開始時期という極めて限られた時に、畿内に9基…

第1237回 聖徳太子の時代と、龍の祟り。

このたび制作したSacred world 日本の古層Vol.3で、古代における幾つかの謎解きを行なっている。 https://www.kazetabi.jp/ 古代エジプト文明や古代インカ文明のように、古代日本にも多くの謎がある。 その一つに、現在でも全国に16万基も残る古墳があり、そ…

第1236回 将来の歴史の作用に耐える文化、社会、政治、国。

白川静さんが95歳で亡くなって早くも16年になるが、その実感がまったく湧かない。 白川さんは、数千年の時代を超えたところで生きておられた。その精神は、風の旅人を作り続けていた時も、 Sacred worldを作り続ける現在も、私にとって常に立ち返るべき重要…

第1235回 聖徳太子の時代との不思議なつながり。

昨年の春から四国、山陰、伊豆、畿内の大和川、石川、京都の桂川周辺などを個別に探索し続けていて、その都度、取材メモとしてブログなどで記事を書いてきた。 今回、Sacred world 日本の古層Vol.3 https://www.kazetabi.jp/ を制作するにあたり、それらの記…

第1234回 和を以て貴しとすること。

聖徳太子が制定したとされる「十七条憲法」の第一条の冒頭。 「和を以て貴しとし、忤(サカフル)ことは無いように。人には皆、党(タムラ)があり、悟っているものは少ない。よって君父(キミカゾ)に従わない。また、隣の里とも違うだろう。しかし、上と和…

第1233回 古代から人間は同じことを繰り返している。

ロシアとウクライナの戦争が、このまま続けば世界はどうなってしまうのか? 単純化してしまうことに慎重でなければならないと思うけれど、こうした戦争は、けっきょくのところ男性原理が突出した形で現れた結果ではないだろうか。 強い方が偉くて立派だと思…

第1232回 折鶴を非難する人の偏狭 

京都の家でテレビは見られないのだけれど、ネットニュースで流れてくる情報では、ウクライナの戦争に心を痛めている人が折鶴をウクライナ大使館に送ろうという活動に対して、現地の人が望んでいるものではないとか、自己満足だとか、だったらお金を送った方…

第1231回 一元化の思考を知の巨人と持ち上げる知の衰退

web.kawade.co.jp ユヴァル・ノア・ハラリ氏のことを、現代における「知の巨人」と持ち上げる論調が多いのだけれど、ベストセラーになっている彼の「サピエンス全史」にしても、とくに新しい視点はなくて、他の誰かが書いているようなことを(膨大なウィキペ…

第1230回 月読神と、古代海人との関係

京都の松尾大社の近く、桂川と西芳寺川が合流するところが月読神社の旧鎮座で、比叡山と愛宕山を同時に望む絶景の地だ。ここは今も吾田神という地名で、アタは、古代の南九州の海人のこと。 京都の月読神は、5世紀の末に壱岐島から勧請されて、その時に亀卜…

第1229回 思考停止の正義よりも大事な自らの眼差し

河瀬直美氏の東大入学式での祝辞に噛み付いている人々の意見って、テレビの芸能人コメンテーターの意見とさほど大きな違いがあるわけでなく、東大生にとって、とくに頭を使って考えさせられるような内容ではない。 河瀨直美監督の東大入学式での祝辞、国際政…

第1228回 パンデミックの後にくるもの

松尾大社のそばの桂川の河岸では、バーベキューをする若者たちが群れている。 さすがに自粛生活も2年になると、我慢の限界であり、人との接触は増える。そのため新型コロナの感染者数が減らず、専門家が、また警鐘を鳴らしている。 新型コロナについて語る時…

第1227回 奈良時代のパンデミックと、衆生救済の思想

宝山寺の背後の岩壁にある般若窟は、捕らえた前鬼・後鬼を閉じ込めて改心させた場所だという。 生駒山は、修験の祖、役小角ゆかりの地。7世紀の中ごろ、山中に鬼が住み良民を苦しめていた。これを役小角(えんのおづぬ)が捕らえて改心させ、その後は、役小角…

第1226回 古代、海人の拠点だった京都

月読神の旧鎮座地から愛宕山を望む 京都の松尾大社駅から桂川沿いを上流に向かうと観光客で溢れる嵐山だが、松尾大社から下流に500mくらい歩くだけで、京都でもっとも風光明媚な場所に至る。桂川が大きく蛇行するポイントで川幅が広く、空の広がりも素晴…

第1225回 思考特性と、時代との関係

日本は、この20年か30年、経済的に止まっているとよく言われる。経済だけでなく、学問においてもそう感じる。その原因は色々あるだろうが、根っこの部分に思考方法の問題が横たわっているのではないだろうか。 学問の場でも、ビジネスの場でも、かなり前から…

第1224回 ウクライナとユーゴスラビアの類似

個人的な見解にすぎないけれど、ウクライナというのは、かつてバルカンに存在していたユーゴスラビアという国の状況に、非常に似ているのではないかと思う。 広大な領土の中に、宗教も言語も民族も異なる人々が暮らし、さらに、東側と西側の価値観の違う世界…

第1223回 ウクライナのことと、政治家の白痴化に対する不安。

ウクライナとロシアの戦争について、歴史文化も国の置かれている状況も異なる日本に安住している自分が、何かの考えを持ったところで、それは浅いものにしかならないという自覚があった。 今もその感覚は変わらないが、昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領…

第1222回 学校で教えてくれない歴史の核心

京都を訪れる人は、下鴨神社や上賀茂神社を訪れることが多いと思うけれど、そこに祀られている神様のことが、よくわかりません。 下鴨神社の賀茂建角身命とか、上賀茂神社の賀茂別雷尊とか、覚えにくい神様の名前で、正直言って、なんだかよくわからない。け…

第1221回 横のつながりだけでなく、時間を超えたつながり

3月26日(土)第2回映像&トーク「Sacred world 日本の古層」開催いたします。 第二回映像&トーク「Sacred world 日本の古層」BY 佐伯剛(風の旅人 編集長) - Kyoto 日本の観光名所の案内ではなく、日本の歴史の深層を想像力で旅する時間です。 ヨーロッパ…

第1220回 卑弥呼の時代と第26代継体天皇のつながり

西山塚古墳 飛鳥の牽牛子塚古墳を訪れた後、天理にある第26代継体天皇の皇后、手白香皇后の西山塚古墳を訪れた。 しかし、宮内庁は、すぐ近くにある全長230mの巨大な西殿塚古墳を手白香皇后の古墳だとし、陵墓の静安と尊厳の保持のため管理の対象としている…

第1219回 謎が謎を呼ぶ古代世界

牽牛子塚古墳 飛鳥時代の女帝・斉明天皇と、娘の間人皇女の陵とされる牽牛子塚古墳。2018年1月からかつての姿を蘇らせるために工事が行われていたが、ついに完成し、3月6日から一般公開されたので、さっそく訪れてきた。 この古墳は全国に14基ほどしか発見さ…

第1218回 われわれは、どこから来て、どこへ行くのか? 第一回 京都に秘められた古代の記憶

「日本人とは何か? われわれは、どこから来て、どこへ行くのか? 日本の聖域に秘められた古代の記憶を探る」 2022年2月27日 第一回開催 「京都に秘められた古代の記憶」において、参加者に事前に送らせていただいた長いメモを添付します。 古代のことを語る…

第1217回 「土偶を読む」を絶賛する人たちの心理って?

縄文時代のことが気になっている一人として、「土偶を読む」という本がベストセラーになっていると知って立ち読みしたが、あまりにも独断的で、答えを最初に決めてから、それにそった裏付けだけを集めているという姿勢が目に余ったので、どうでもいいと思っ…

第1216回 危険と背中合わせだった諏訪の御柱祭さえ歪めるコロナパニック。

ショックな出来事。 4月上旬に行われる予定の諏訪の御柱祭。 申年と寅年に行われる奇祭、1200年も続いてきた伝統の祭りが、コロナ禍の影響によって、山出しの曳行(えいこう)や木落としが行われないのだという。 https://www.shinmai.co.jp/news/article/CN…

第1215回 歴史を再認識する必要性

私は、20歳の頃から世界の70カ国以上を訪れ、特に重要な古代遺跡とされるものは、そのほとんどを訪れてきました。子供の頃から、「謎の古代文明」に強く関心があったからです。 古代文明の地を実際に訪れると、人類の歴史は、階段を登るようにステップアッ…

第1214回 日本の古層をめぐる旅 イベント開催 第1回「京都に秘められた古代の記憶」 

2016年から日本の古層を探求し続けて、これまで2冊の本を発行してきましたが、このたび、IMPACT HUB京都において、映像&トークを行うことにいたしました。 全体を通したテーマは、「日本人とは何か? われわれは、どこから来て、どこへ行くのか? 日本の聖…

第1213回 現代もまた銀河鉄道の旅の途中

(小池博史ブリッジプロジェクトのInstagramから) 昨日、小池博史ブリッジプロジェクトの「Milky Way Train」を観てきた。 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を基点にした小池さんのオリジナル世界。 小池さんの舞台を観に行く人で、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を…

第1212回 伊豆と鹿島と九州における海人や縄文時代とのつながり。

(熱海 来宮神社) 一昨日のエントリーで伊豆の来宮(キノミヤ)神社と海人と縄文時代の関係について書き、さらにキノミヤ信仰が鹿島踊りと関わりが深いと述べたが、「鹿島」は、茨城の鹿島だけでなく、海人と関わりの深いところに地名が残っている。 たとえ…

第1211回 伊豆のキノミヤ信仰と、海人や縄文時代とのつながり。

(熱海 来宮神社の樹齢2000年を超えるとされる楠木) 熱海の来宮神社は、日本屈指のパワースポットなどと言われ、毎日、多くの参拝者が訪れている。本殿の左奥にあるご神木の大楠の巨樹は、樹齢2000年を超えると言われるが、樹齢1300年とされるもう一本の楠…

第1210回 出版不況のなか、あえて写真集を作るなら。

このたび制作した大山行男さんの写真集「The Creation 生命の曼荼羅」。 www.kazetabi.jp 発送作業も一段落し、届いた方から、メッセージをいただいています。幸いなことに、今のところ、不満の声は届いていません。 私は、これまで同じ印刷方法で、自分の「…