歴史

第1165回 偶然と必然は糾える縄のごとし

事任八幡宮 (静岡県掛川市) 偶然と必然は、糾える縄のごとしであり、偶然だったことも、後から思えば必然だったのかと思わされることが多い。 昨年の冬、京都から東京に移動する時、出発の前日までは長野経由を考えていたが、大雪で道路の状況に不安があっ…

第1164回 現場を訪れることで立ち上がってくる新たな問い

三角形の北の頂点が、京丹後市網野町の網野神社、西の頂点が兵庫県宍粟市の伊和神社、東の頂点が、亀岡市の魔気神社である。それぞれのあいだは、76kmで正三角形である。魔気神社と、伊和神社は、珍しく本殿が北向きの神社であり、京丹後の網野神社は、浦島…

第1163回 古代から現在、そして未来への連続性

昨年の夏、自分の故郷の明石に長く滞在したこともあり、明石から播磨にかけての地域をじっくりと取材していた。 私は、18歳まで明石で育った。明石原人や明石象の発見地ということもあり、その現場で考古学のママゴトをしていたが、明石周辺が歴史的に重要…

第1162回 ピンホール写真と、祈り。

高性能のデジタルカメラは、撮影者が狙うような絵を作り出すために非常に有用なツールとなっている。 それは、撮影者の満足度を高めるために適しているかもしれないが、そのアウトプットが、自分と世界のあいだの作法として相応しいものかどうかは別問題だ。…

第1161回 有為転変の出来事そのものではなく、この世を司る理。

Sacred world 日本の古層 vo.2の最後の14ページは、ピンホール写真と、上嶋鬼貫の俳句のコラボレーションになっている。 上嶋鬼貫は、芭蕉と同じ時代の俳人で、東の芭蕉、西の鬼貫と高く評価されていたものの、芭蕉ほど知名度が高くない。しかし、リルケなど…

第1160回 風の旅人と、Sacred worldのつながり。

日本の古層を探りはじめると、とめどなく謎が続いていく。 何か一つのことがわかっても、それが新たな疑問のきっかけとなる。しかし、その謎解きに精力を傾けて集中していると、いろいろな関連事項が自分の中に蓄積していき、つながりができてくる。 残念な…

第1159回 ピンホールの眼と、日本の古層

Sacred world 日本の古層」に掲載されている写真は、全てピンホールカメラで映したもの。 一般的な写真撮影は、被写体を探して狙い撃つ性質があり、「撮影する」を英語にすると、shootとなる。カメラのシャッターは拳銃の引き金に等しい。 しかし、私たちは…

第1158回 熱海の土石流と、地球環境問題と、エネルギー問題の関係。

このたびの大雨によって起きた熱海伊豆山の土石流災害。 テレビニュースなどでは、数十年前に行われた盛土が原因であるかのような報道が続く。 もともと、熱海地方は、火山性の硬い黒土に覆われているが、高度経済成長時の人口増に対応するため、山間部の土…

第1157回 Sacred world 日本の古層Vol.2の完成

新型コロナウィルスによって、この1年以上ものあいだ、世界中の人々が、これまで経験したことのない時間の中を生きています。 天災や疫病は、人間の「理」を超えたものであり、古代から人間は、こうした人間の「理」を超えた試練に直面するたびに、世界観や…

第1155回 オオヤマツミの嘆き

四国巡礼の際、友人でありピンホール写真の師匠でもある鈴鹿芳廉さんを訪ね、数日間、毎日温泉に入ったりしながら、しばらく一緒に時間を過ごした。 今回の四国巡礼の目的は、徳島と高知がメインで、愛媛は息抜きのつもりだったけれど、予想以上に濃厚な体験…

第1154回 古代、巫女の役割と、その罪について?

日本を代表する名水の里、瓜割の滝。(福井県若狭町) 平安京の中心軸となった朱雀通り(現在の千本通り)は、東経135.74度で、このラインにそって羅生門や大極殿、船岡山などが位置するが、このラインは、近畿のど真ん中を南北に貫いており、その南端が、本…

第1145回 この国の祈り

以前から気になっていることがあります。『古事記』や『日本書紀』の国譲りの物語の解釈についてです。 国譲りの物語は、苦労して国をまとめあげたオオクニヌシに対して、天孫といわれる神様たちが国譲りを迫るものです。 大陸から渡ってきた勢力(後のヤマ…

第1144回 邪馬台国とは何か? 日の本、阿蘇山と富士山をつなぐもの。

女王卑弥呼の邪馬台国がどこにあったかというのは、いつになっても多くの人の関心を集める。 邪馬台国があったのは近畿か九州かという議論は、長く続いてきた。 初期ヤマト王権が宮を築いた奈良盆地の纒向にある箸墓古墳は、今でも卑弥呼の古墳だと思ってい…

第1143回 古代は未来への架け橋となりうる。

丹後の竹野の海岸に立つ穴穂部間人と聖徳太子の母子像。 現代社会で他者との競争に明け暮れて生きる私たちは、私たちの意識というものは、自分の言動を管理している自己意識が全てだと思いがちだ。 そして、社会での色々な不安や悩み、他人と比較した優越感…

第1142回 鬼とは何か? という本質的な問い。かぐや姫の背後にあるもの(後半)

中宮寺 木造菩薩半跏像 (中宮寺ホームページより) かぐや姫は、高畑勲監督のジブリ映画で大ヒットして、その映画のサブタイトルが、「姫の犯した罪と罰」だったため、かぐや姫の罪と罰は何ぞやと、この映画を見た人たちで議論になったようだ。 映画の中で…

第1141回 鬼とは何か? という本質的な問い(5) かぐや姫の背景にあるもの(前半)

前回の記事で、第11代垂仁天皇の時に、甚凶醜(いとみにくき)という理由で後宮を出され、その途中、堕国で自殺した竹野媛のことを書いたが、多くの人はマニアックな話だと思うだろう。しかし、この話は、誰もが知っている「かぐや姫」ともつながっている…

第1140回 鬼とは何か?という本質的な問い(4) 桓武天皇と継体天皇と明治維新の不可思議な縁の裏側

鴨川と桂川の合流点。左が桂川、右が鴨川。背後に見える山は、左が比叡山、中央が東山、右が、上醍醐。 歴史はつながっているという当たり前のことを、現代社会において、あまり意識されることはないが、過去においては、歴史のつながりを無視できない時期が…

第1139回 鬼とは何か? という本質的な問い(3)  古代の復活と、6世紀。

6世紀、古墳の規模は小さくなったが、石室は大きくなった。そして、縦穴式から横穴式に変わった。単に、古墳の様式が変わったというのではなく、世界観が変わっている。この6世紀に起きた世界観の変容は、日本文化の本質を考えるうえで、きわめて重要では…

第1138回 鬼とは何か? という本質的な問い(2) 京の都の背後にあるもの

識られざる神霊の支配する世界に入るためには、最も強力な呪的力能によって、身を守ることが必要であった。そのためには、虜囚の首を携えて行くのである。道とは、その俘馘(ふかく)の呪能によって導かれ、うち開かれるところの血路である。 (白川静 道字…

第1137回  鬼とは何か? という本質的な問い(1)

意識的に鬼を追っていたわけでなく、無意識に訪れる場所が、たまたま鬼の聖域であったということが多く、まさにそれは鬼に導かれているかのようだった。 そして、かなり鬼の核心に迫ってきたように思う。 西加茂大将軍神社の立砂 今日、平安京の大極殿の真北…

第1136回 日本文化の古層に流れる縄文人のコスモロジー

北海道 積丹半島 北海道 積丹半島 水無しの立岩。 私が子供だった頃、文明は、約5000年前、大河のほとりで生まれたと教わった。エジプト、メソポタミア、インダス、黄河だ。農耕が始まり、富の蓄積によって文明は生まれたということだった。 しかし、近年、…

第1135回 卑弥呼の時代に栄えた三島地方の謎

伝承に登場するほとんどの鬼が、一方からは極悪として描かれているのに、もう一方からは、人情味があったり、人のために尽くし恩恵を与えてくれた存在として描かれている。 その例としては、吉備の鬼退治に登場する温羅(うら)という鬼がよく知られている。…

第1134回 日本の重要な聖域を結ぶ不思議なライン

なんとも不思議なことに、日本の重要な聖域が、このラインのなかにきれいに収まる。 桜島のコノハナサクヤヒメを祀る月読神社から、足摺岬と室戸岬を横切って伊勢神宮を通るラインは、コノハナサクヤヒメが祭神の富士山から、武蔵国一宮の小野神社を経由して…

第1133回 早わかり歴史講座の問題点。

先日、友人の写真家のところに行ったら、奥さんが歴史に関心が深くて、オリエンタルラジオというお笑いコンビの中田が、ユーチューブで歴史講座をやっていて、ものすごい数の視聴者がいて、けっこう面白いよと教えてくれた。 それで、ちょっとユーチューブを…

第1132回 国生み神話や国譲り神話と、「いかるが」の関係。

ここ数ヶ月、近畿に6箇所ある「いかるが」の地を探索してきた。 「いかるが」と聞くと、法隆寺のある奈良の斑鳩を思い浮かべる人が多い。 そして、奈良の法隆寺以外に「いかるが」という地名があると、法隆寺を作った聖徳太子との関係だろうと整理されてし…

第1126回 ものの気配と、永遠

人はよく「気配を感じる」とか、写真などで、「気配が写っている」とよく言うのだけれど、”気配”って、何かしらんと思う。 私は、古くからの聖域を訪れる時、ピンホールカメラで撮影するとともに、コンパクトのデジタルカメラでも記録している。 そして、そ…

第1125回 八百万の神とは何か。

兵庫県姫路市西脇の破磐神社の御神体「割れ岩」。 日本という国は、古代から八百万の神といわれるように無数の神が存在する。 その一つひとつの神のことについて、それがいったい何を意味するのかと説明したところで、古代の人々が感じていた神に、どれだけ…

第1124回 古代いかるがの謎がつなぐ世界。

明石港の近くに、風の旅人の頃からの読者が住んでいて、おととい、明石に着いた後、「明石港の近くの伊弉冊神社と岩屋神社のあたりを徘徊しましたよ」とメールを送った。 すると、彼女は、なんの意味の含みもなく、「伊弉冊神社は、地元では”さなぎ”っていう…

第1123回 いかるがの背後にあるもの(5) 食物を司ることの意味の深さ 

斑鳩寺 (兵庫県揖保郡太子町)。境内に稗田野神社の御旅所があり、稗田神社と深い関係にあった。稗田神社は古事記の制作に関わった稗田阿礼を祀っているが、稗田阿礼は、鎮魂儀礼に携わっていた猿女氏である。 第1121回の記事において、第12代景行天皇や神…

第1122回 歴史の事実よりも、歴史のリアリティが大事

相生の松 京都から、加古川、高砂経由で明石へ移動してきた。 加古川の下流、海のすぐ近くに、川の両岸に分かれて高砂神社と尾上神社が鎮座し、ともに相生の松がある。この二つの相生の松は、世阿弥作の能の「高砂」の謡曲で知られ、結婚式では定番の松だ。 …