歴史

第1135回 卑弥呼の時代に栄えた三島地方の謎

伝承に登場するほとんどの鬼が、一方からは極悪として描かれているのに、もう一方からは、人情味があったり、人のために尽くし恩恵を与えてくれた存在として描かれている。 その例としては、吉備の鬼退治に登場する温羅(うら)という鬼がよく知られている。…

第1134回 日本の重要な聖域を結ぶ不思議なライン

なんとも不思議なことに、日本の重要な聖域が、このラインのなかにきれいに収まる。 桜島のコノハナサクヤヒメを祀る月読神社から、足摺岬と室戸岬を横切って伊勢神宮を通るラインは、コノハナサクヤヒメが祭神の富士山から、武蔵国一宮の小野神社を経由して…

第1133回 早わかり歴史講座の問題点。

先日、友人の写真家のところに行ったら、奥さんが歴史に関心が深くて、オリエンタルラジオというお笑いコンビの中田が、ユーチューブで歴史講座をやっていて、ものすごい数の視聴者がいて、けっこう面白いよと教えてくれた。 それで、ちょっとユーチューブを…

第1132回 国生み神話や国譲り神話と、「いかるが」の関係。

ここ数ヶ月、近畿に6箇所ある「いかるが」の地を探索してきた。 「いかるが」と聞くと、法隆寺のある奈良の斑鳩を思い浮かべる人が多い。 そして、奈良の法隆寺以外に「いかるが」という地名があると、法隆寺を作った聖徳太子との関係だろうと整理されてし…

第1126回 ものの気配と、永遠

人はよく「気配を感じる」とか、写真などで、「気配が写っている」とよく言うのだけれど、”気配”って、何かしらんと思う。 私は、古くからの聖域を訪れる時、ピンホールカメラで撮影するとともに、コンパクトのデジタルカメラでも記録している。 そして、そ…

第1125回 八百万の神とは何か。

兵庫県姫路市西脇の破磐神社の御神体「割れ岩」。 日本という国は、古代から八百万の神といわれるように無数の神が存在する。 その一つひとつの神のことについて、それがいったい何を意味するのかと説明したところで、古代の人々が感じていた神に、どれだけ…

第1124回 古代いかるがの謎がつなぐ世界。

明石港の近くに、風の旅人の頃からの読者が住んでいて、おととい、明石に着いた後、「明石港の近くの伊弉冊神社と岩屋神社のあたりを徘徊しましたよ」とメールを送った。 すると、彼女は、なんの意味の含みもなく、「伊弉冊神社は、地元では”さなぎ”っていう…

第1123回 いかるがの背後にあるもの(5) 食物を司ることの意味の深さ 

斑鳩寺 (兵庫県揖保郡太子町)。境内に稗田野神社の御旅所があり、稗田神社と深い関係にあった。稗田神社は古事記の制作に関わった稗田阿礼を祀っているが、稗田阿礼は、鎮魂儀礼に携わっていた猿女氏である。 第1121回の記事において、第12代景行天皇や神…

第1122回 歴史の事実よりも、歴史のリアリティが大事

相生の松 京都から、加古川、高砂経由で明石へ移動してきた。 加古川の下流、海のすぐ近くに、川の両岸に分かれて高砂神社と尾上神社が鎮座し、ともに相生の松がある。この二つの相生の松は、世阿弥作の能の「高砂」の謡曲で知られ、結婚式では定番の松だ。 …

第1121回 いかるがの背後にあるもの(4) 源氏物語や住吉神との関係について。

明石海峡を望む地に築かれた五色塚古墳。神功皇后が三韓遠征の勝利の後、ヤマトの地に凱旋する時、反乱を起こした忍熊皇子が、淡路島まで船を渡しその石を運んで赤石(= 明石)に陣地を構築したとあるが、それがこの場所であるという伝承がある。墳丘長は194…

第1120回 ”いかるが”の背後にあるもの(3) ヤマトタケルとの関係について

加古川のいかるが、鶴林寺の本堂と太子堂。 (第1119回の続き) 日本神話において、日本を一つにまとめるために東に西にと遠征し続けたヤマトタケルの出生地が、兵庫県加古川の”いかるが”の地である。 前回の記事で書いたように、加古川の西岸には仁徳天皇陵…

第1119回 ”いかるが”の背後にあるもの(2)

西播磨のいかるが。兵庫県揖保郡太子町の斑鳩寺。 ”いかるが”と聞くと、一般的には、聖徳太子の法隆寺がある斑鳩を連想するが、その歴史は、もっと古い。”いかる”は、洪水を意味するイカリミズとつながり、感情が溢れ出す怒りでもあり、それは祟りともつなが…

第1118回 ”いかるが”の背後にあるもの(1)

斑鳩の法隆寺のことを知らない人はいないと思うが、イカルガという地名は、私の知る限り、近畿圏で6箇所ある。 そして、その中で、斑鳩の法隆寺が一番古いというわけではない。 日本の古代史のなかで、史実かどうかはともかく、もっとも古いイカルガの記録…

第1117回 京都の古層と、北野天満宮。

京都、太秦の地に築かれた蛇塚古墳。石室は全長17.8メートルで、同じ飛鳥時代に作られた石舞台古墳に匹敵する。玄室の大きさは日本で六番目、積み上げられた岩石は、チャートである。 京都の北野天満宮は、九州の太宰府天満宮とともに学問の神様として崇めら…

第1116回 時を超えた物づくり

亀岡の歴史探求の延長で、亀岡の漆作家、土井宏友さんの工房へ。最近、古代の丹生、すなわち辰砂(硫化水銀)の産地を訪れることが多く、土井さんは、本物の辰砂を使った漆作品を作っている。 また、土井さんは、古代から大切にされてきた錫(銅と化合させて…

第1115回 菅原道眞と藤原道長のつながり

第1112回ブログ 「歴史を知ることは未来を知ること」 https://kazetabi.hatenablog.com/entry/2020/06/28/172054 の続き。 この世をば 我が世とぞ思ふ 望月の 欠けたることも なしと思へば 藤原道長が詠んだとされるこの歌は、盤石な権力を手に入れ、得意の…

第1114回  美意識と人生の選択。

京都郊外、日本一の高さを誇る花脊の三本杉。現存する樹木としては国内最高となる62.3メートル(右端の杉)、残りの二本も、国内第2位と5位。 古樹と巨岩と水の流れ。悠久の時間を感じさせるものと、絶えず流転していくもの。古代から日本人の心に受け継が…

第1113回 自然と人間のあいだ

1日の降雨量が、1ヶ月の平均総雨量と等しいとか、その2倍、3倍であるという報道が増えた。 梅雨の7月は、例年でも降雨量が多いのに、以前なら1ヶ月かけて降り積もった雨量が、たった1日で降ってしまうという状況は、いったい何を物語っているのか。 …

第1112回 歴史を知ることは、未来を知ること。

私が子供の頃もそうだが、日本の歴史教育は、本当につまらないものになっている。「鳴くよウグイス平安京」と、何年に何が起こったかと、権力者や優れた業績を残した人の名を覚えることが重要視され、教科書に載っていることを正確に覚えて書けるかどうかを…

第1111回 わかりやすい自分事と、わかりにくい他人事で切り分けるのではなく。

近年、テレビメディアやSNSの影響からなのか、人々は、わかるかわからないか、共感できるかできないか、という単純な線を引きたがる傾向が強い。 しかし、わかることや簡単に共感できることというのは、自分の経験の中で処理できることにすぎず、重要なこと…

第1110回 現代人にも受け継がれている縄文の世界観や生命観。

山添村 縄文時代早期の遺物が多く出土した大川遺跡の目の前の名張川。 最近、山の中に分け入って、激しく急流が流れるところを訪れることが多いのだが、そういう場所の近くに見晴らしの良い高台があり、そこに縄文人が住んでいたと知ると、縄文の人たちの世…

 第1109回 「命は何よりも大事」と言う時のいのちとは何か?

今回のコロナウイルス騒動で、強く感じた違和感。「命は何よりも大事」という時の”命”とは一体何を指しているのかということ。 生命尊重という言葉を使っていると、現代社会においては、まず誰からも非難されることはなく、腹の中で何を考えていようが、良心…

第1108回 未来の土壌となる記憶

東京が日本の中心になって、日本の歴史が見えにくくなってしまったことは間違いないだろう。 しかし、400年前まで東京は辺境の地だったわけで、時代環境が変われば、辺境だった地域が中心になる可能性もある。 その場合、インフラの変化は大きな意味を持…

第1107回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(10)

奈良県宇陀郡曽爾村、済浄坊の滝 神話に事実が厳密に書かれているわけではない。神話は、大切なものを次世代に伝えていくために創り出された物語だ。 神話は、その多くが口承によるものだったため、人間の記憶に頼らざるを得ず、人から人へと伝えていくうち…

第1106回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(9)

山添村 神野山 鍋倉渓。真っ黒で重く硬い「角閃石斑れい岩」の巨岩が谷を埋め尽くす。 1995年から本格的に発掘が進められてきたトルコのギョペクリ・テペ遺跡が、放射性炭素年代測定によって12000年も前のものであることが証明された。 この地の神殿は、繊細…

第1105回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(8)

曽爾村で出会った辰砂(硫化水銀) 私はこれまでの人生で、野生の狐が原野を飛び回っているのを見たことがない。 鹿とか猿なら、日本の聖域を探求中に色々なところで見ることがあるが、狐だけは見たことがなく、子供の頃からの記憶を辿っても思い浮かばない…

第1104回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(7)

赤目四十八滝 【布曳滝】 修験道の祖とされるのは、役小角(634年-701年)であり、空海(774-835)より100年ほど前の時代を生きたとされる。役小角は、聖徳太子や蘇我氏の時代から大化の改新や白村江の戦いなどを経て天智天皇の時代となり、壬申の乱に勝利し…

第1103回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(6)

室生龍穴神社 奥宮 古代中国で、牛は神聖な生物だった。牛に対する崇拝は、「物」という漢字にも現れている。物とは万物のこと。万物は牛から始まった。ゆえに牛が偏となっている。 また、古代において、祭祀の時に不可欠だったのが牛で、牛は生贄だった。犠…

第1102回 神話のわかりにくさの背後にあるもの。

日本神話に出てくる神や天皇の名前は、長くて、わかりにくくて、覚えにくい。そして、名前ばかりが連なっているところもあり、筋がぼやけてしまう。 でも、これはきっと、わざとそうしている。 20歳の時、大学を辞めて2年間ほど諸国放浪したが、リュック…

第1101回 日本の古層vol.2 祟りの正体。時代の転換期と鬼(5)

かごめかごめ 籠の中の鳥は いついつ出やる 夜明けの晩に 鶴と亀と滑った 後ろの正面だあれ? 表の裏は表である。 表の裏のまた裏は表であるというのは、本来は一のものを二つに分ける現代人の合理的な分析だが、表の裏が表であることがわからないと、日本の…