歴史

第1191回 古代海人の拠点と、京都の向日山の関係

京都市は歴史の都として多くの観光客が訪れるが、歴史的建造物は中世以降に作られたもので、京都市の南に位置する向日市の方が歴史的には古い。 向日市は、平安京の前に長岡京が築かれた場所で、その時より300年前には継体天皇の弟国宮が築かれた。 長岡京の…

第1188回 縄文の水上ネットワークと、竹野の巫女?

玄武洞(兵庫県豊岡市) 兵庫県豊岡市には火山活動の痕跡が生々しく残るが、柱状節理で有名な玄武洞は、地磁気の逆転現象発見の場所。 1929年、松山基範は、ここの玄武岩の持つ磁気が現在の地磁気と反対の向きを指していることを発見し、かつて地球の磁場が…

第1185回 重層性や複合性の視点を失わずに表現することの大切さ。

映画MINAMATAは、非常にわかりやすいサンプルなので、しつこく言及してきたが、現在の表現の一番の問題は、重層性や複合性の視点が欠けているものが多く、その方が、人に受けやすいということ。だから、単純な構造にしてわかりやすくして人心を誘導する手口…

第1174回 日本の祈り、神道について思うこと。

京都 月読神社 日本の宗教について、神道と仏教が基本になっていることは、誰でも知っているが、神道とは何か?と問われた時、アニミズムとか、八百万神(やおよろずのかみ)と簡略化され、縄文に遡る自然崇拝の思想だと説明されることがある。 しかし、神社…

第1173回 時代の転換点に起きた、菅原道眞の怨霊騒ぎ

歴史上の天皇で、身分や血筋からは決して天皇になる筈がなかったのに天皇に即位し、しかも、それが歴史的に重要な転機点となった人物が三人いる。 一人は、6世紀初頭、福井の豪族だったとされる第26代継体天皇で、現在の天皇の血統を遡れるもっとも古い天…

第1172回 京都における銅鐸関連地と、その後の歴史のつながり

石清水八幡宮の鎮座する男山は、桂川、木津川、宇治川の合流点で、かつては、巨椋池があった交通の要所。 銅鐸というのは、境界に埋められていることが多いが、京都盆地では、嵯峨野の北、日本海に抜ける周山街道の出入り口に近いの梅ヶ畑と、木津川、宇治川…

第1170回 東京周辺の古代を考えるうえで(2) 平将門の乱の背景

八王子市 多賀神社 東京の国立市にある谷保天満宮が、なぜ菅原道眞の死を弔うための聖域として日本最古なのか、前から気になっていたのだけれど、少し線がつながってきた。そして、平将門の乱も、そこにつながっていた。 私が住んでいる高幡不動の近くに多摩…

第1169回 東京周辺の古代史を考えるうえで。(1) 日本の歴史を変えた騎馬技術と高句麗人。

高麗神社(埼玉県日高市) 埼玉県日高市の高麗神社と、神奈川県大磯の高来神社(高麗神社)は、東経139.32という南北ライン上に鎮座している。どちらも、かつて高麗人(高句麗人)が拠点としていたところだ。 埼玉の高麗神社は、若槻礼次郎、浜口雄幸、斎藤…

第1168回 目の焦点と、心の焦点。

富士ヶ嶺から望む富士山 富士山と、富士山周辺の聖域をピンホールカメラで撮ると、確かに、その霊気が針穴の中に忍び込んでくるような気がしないでもない。 最近、私のピンホール写真を見た写真家の水越武さんから写真の焦点について問いを投げかけられたが…

第1166回 見えるものと見えないものの間

足摺岬 竜宮神社 日本は、アメリカや中国などに比べると小さな島国ですが、北から南まで長い国で、その自然や文化の多様性は、無限とも言えるほどの豊かさがあります。 現在、私が取り組んでいる「 Sacred world 日本の古層」のプロジェクトで、ピンホール写…

第1165回 偶然と必然は糾える縄のごとし

事任八幡宮 (静岡県掛川市) 偶然と必然は、糾える縄のごとしであり、偶然だったことも、後から思えば必然だったのかと思わされることが多い。 昨年の冬、京都から東京に移動する時、出発の前日までは長野経由を考えていたが、大雪で道路の状況に不安があっ…

第1164回 現場を訪れることで立ち上がってくる新たな問い

三角形の北の頂点が、京丹後市網野町の網野神社、西の頂点が兵庫県宍粟市の伊和神社、東の頂点が、亀岡市の魔気神社である。それぞれのあいだは、76kmで正三角形である。魔気神社と、伊和神社は、珍しく本殿が北向きの神社であり、京丹後の網野神社は、浦島…

第1163回 古代から現在、そして未来への連続性

昨年の夏、自分の故郷の明石に長く滞在したこともあり、明石から播磨にかけての地域をじっくりと取材していた。 私は、18歳まで明石で育った。明石原人や明石象の発見地ということもあり、その現場で考古学のママゴトをしていたが、明石周辺が歴史的に重要…

第1162回 ピンホール写真と、祈り。

高性能のデジタルカメラは、撮影者が狙うような絵を作り出すために非常に有用なツールとなっている。 それは、撮影者の満足度を高めるために適しているかもしれないが、そのアウトプットが、自分と世界のあいだの作法として相応しいものかどうかは別問題だ。…

第1161回 有為転変の出来事そのものではなく、この世を司る理。

Sacred world 日本の古層 vo.2の最後の14ページは、ピンホール写真と、上嶋鬼貫の俳句のコラボレーションになっている。 上嶋鬼貫は、芭蕉と同じ時代の俳人で、東の芭蕉、西の鬼貫と高く評価されていたものの、芭蕉ほど知名度が高くない。しかし、リルケなど…

第1160回 風の旅人と、Sacred worldのつながり。

日本の古層を探りはじめると、とめどなく謎が続いていく。 何か一つのことがわかっても、それが新たな疑問のきっかけとなる。しかし、その謎解きに精力を傾けて集中していると、いろいろな関連事項が自分の中に蓄積していき、つながりができてくる。 残念な…

第1159回 ピンホールの眼と、日本の古層

Sacred world 日本の古層」に掲載されている写真は、全てピンホールカメラで映したもの。 一般的な写真撮影は、被写体を探して狙い撃つ性質があり、「撮影する」を英語にすると、shootとなる。カメラのシャッターは拳銃の引き金に等しい。 しかし、私たちは…

第1158回 熱海の土石流と、地球環境問題と、エネルギー問題の関係。

このたびの大雨によって起きた熱海伊豆山の土石流災害。 テレビニュースなどでは、数十年前に行われた盛土が原因であるかのような報道が続く。 もともと、熱海地方は、火山性の硬い黒土に覆われているが、高度経済成長時の人口増に対応するため、山間部の土…

第1157回 Sacred world 日本の古層Vol.2の完成

新型コロナウィルスによって、この1年以上ものあいだ、世界中の人々が、これまで経験したことのない時間の中を生きています。 天災や疫病は、人間の「理」を超えたものであり、古代から人間は、こうした人間の「理」を超えた試練に直面するたびに、世界観や…

第1155回 オオヤマツミの嘆き

四国巡礼の際、友人でありピンホール写真の師匠でもある鈴鹿芳廉さんを訪ね、数日間、毎日温泉に入ったりしながら、しばらく一緒に時間を過ごした。 今回の四国巡礼の目的は、徳島と高知がメインで、愛媛は息抜きのつもりだったけれど、予想以上に濃厚な体験…

第1154回 古代、巫女の役割と、その罪について?

日本を代表する名水の里、瓜割の滝。(福井県若狭町) 平安京の中心軸となった朱雀通り(現在の千本通り)は、東経135.74度で、このラインにそって羅生門や大極殿、船岡山などが位置するが、このラインは、近畿のど真ん中を南北に貫いており、その南端が、本…

第1145回 この国の祈り

以前から気になっていることがあります。『古事記』や『日本書紀』の国譲りの物語の解釈についてです。 国譲りの物語は、苦労して国をまとめあげたオオクニヌシに対して、天孫といわれる神様たちが国譲りを迫るものです。 大陸から渡ってきた勢力(後のヤマ…

第1144回 邪馬台国とは何か? 日の本、阿蘇山と富士山をつなぐもの。

女王卑弥呼の邪馬台国がどこにあったかというのは、いつになっても多くの人の関心を集める。 邪馬台国があったのは近畿か九州かという議論は、長く続いてきた。 初期ヤマト王権が宮を築いた奈良盆地の纒向にある箸墓古墳は、今でも卑弥呼の古墳だと思ってい…

第1143回 古代は未来への架け橋となりうる。

丹後の竹野の海岸に立つ穴穂部間人と聖徳太子の母子像。 現代社会で他者との競争に明け暮れて生きる私たちは、私たちの意識というものは、自分の言動を管理している自己意識が全てだと思いがちだ。 そして、社会での色々な不安や悩み、他人と比較した優越感…

第1142回 鬼とは何か? という本質的な問い。かぐや姫の背後にあるもの(後半)

中宮寺 木造菩薩半跏像 (中宮寺ホームページより) かぐや姫は、高畑勲監督のジブリ映画で大ヒットして、その映画のサブタイトルが、「姫の犯した罪と罰」だったため、かぐや姫の罪と罰は何ぞやと、この映画を見た人たちで議論になったようだ。 映画の中で…

第1141回 鬼とは何か? という本質的な問い(5) かぐや姫の背景にあるもの(前半)

前回の記事で、第11代垂仁天皇の時に、甚凶醜(いとみにくき)という理由で後宮を出され、その途中、堕国で自殺した竹野媛のことを書いたが、多くの人はマニアックな話だと思うだろう。しかし、この話は、誰もが知っている「かぐや姫」ともつながっている…

第1140回 鬼とは何か?という本質的な問い(4) 桓武天皇と継体天皇と明治維新の不可思議な縁の裏側

鴨川と桂川の合流点。左が桂川、右が鴨川。背後に見える山は、左が比叡山、中央が東山、右が、上醍醐。 歴史はつながっているという当たり前のことを、現代社会において、あまり意識されることはないが、過去においては、歴史のつながりを無視できない時期が…

第1139回 鬼とは何か? という本質的な問い(3)  古代の復活と、6世紀。

6世紀、古墳の規模は小さくなったが、石室は大きくなった。そして、縦穴式から横穴式に変わった。単に、古墳の様式が変わったというのではなく、世界観が変わっている。この6世紀に起きた世界観の変容は、日本文化の本質を考えるうえで、きわめて重要では…

第1138回 鬼とは何か? という本質的な問い(2) 京の都の背後にあるもの

識られざる神霊の支配する世界に入るためには、最も強力な呪的力能によって、身を守ることが必要であった。そのためには、虜囚の首を携えて行くのである。道とは、その俘馘(ふかく)の呪能によって導かれ、うち開かれるところの血路である。 (白川静 道字…

第1137回  鬼とは何か? という本質的な問い(1)

意識的に鬼を追っていたわけでなく、無意識に訪れる場所が、たまたま鬼の聖域であったということが多く、まさにそれは鬼に導かれているかのようだった。 そして、かなり鬼の核心に迫ってきたように思う。 西加茂大将軍神社の立砂 今日、平安京の大極殿の真北…