時事問題

第1240回 退行していく社会の行く末。

ちょうど「愛国」ということを考えていた時に、安倍元首相が銃撃されたというニュースが飛び込んできた。 アメリカやインドではなく、現代の平和ボケと言われるこの日本で、選挙運動中にこういう事件が起きるなどと、いったい誰が想像できただろう。 15年以…

第1232回 折鶴を非難する人の偏狭 

京都の家でテレビは見られないのだけれど、ネットニュースで流れてくる情報では、ウクライナの戦争に心を痛めている人が折鶴をウクライナ大使館に送ろうという活動に対して、現地の人が望んでいるものではないとか、自己満足だとか、だったらお金を送った方…

第1229回 思考停止の正義よりも大事な自らの眼差し

河瀬直美氏の東大入学式での祝辞に噛み付いている人々の意見って、テレビの芸能人コメンテーターの意見とさほど大きな違いがあるわけでなく、東大生にとって、とくに頭を使って考えさせられるような内容ではない。 河瀨直美監督の東大入学式での祝辞、国際政…

第1223回 ウクライナのことと、政治家の白痴化に対する不安。

ウクライナとロシアの戦争について、歴史文化も国の置かれている状況も異なる日本に安住している自分が、何かの考えを持ったところで、それは浅いものにしかならないという自覚があった。 今もその感覚は変わらないが、昨日、ウクライナのゼレンスキー大統領…

第1208回 歪んだ人間の死生観と親子愛

92歳という高齢で寝たきりの母が亡くなり、そのことを逆恨みした66歳の息子が、医師をはじめとする在宅医療・介護に関わった人たちを自宅に呼びつけ、44歳の医師を散弾銃で殺害し、41歳の理学療法士に重症を負わせた痛ましすぎる事件。 44歳の医師と41歳の理…

第1198回 エチオピアが、ユーゴやアフガンのようになってしまう。

現在、エチオピアが崩壊の危機にある。 ユーゴスラビアや、アフガニスタンのようになる可能性がある。激しい内戦により、民族間の対立は収まるところを知らず、虐殺、拷問、性的暴力が横行し、この1年間で戦闘により数千人の命が奪われている。 私は海外70…

第1187回 「MINAMATA」と「くじらびと」、事実に対する誠実さの違い。

https://lastwhaler.com/bon-ishikawa/?fbclid=IwAR0SB70MpHebmRJByfpHiYdxelCDGQUCUA0cNRw_atUJEzi0os5dT_dc0qk 「これまで海の上の人間の物語を撮ってきた。しかし、海の下のもうひとつの物語があることに気づいた」 石川梵監督の映画「くじらびと」の誕生…

第1186回 たとえフィクションであっても、事実を伝える際のモラルは必要だ。

「Let truth be the prejudice」真実を偏見(こだわり)にしようというユージンスミスの有名な言葉の中のTruth(真実)は、神様の目ではなく、人間の目からの真実である。 ユージン・スミスは言っている。人間というのは、純粋に客観的であることはできない…

第1185回 重層性や複合性の視点を失わずに表現することの大切さ。

映画MINAMATAは、非常にわかりやすいサンプルなので、しつこく言及してきたが、現在の表現の一番の問題は、重層性や複合性の視点が欠けているものが多く、その方が、人に受けやすいということ。だから、単純な構造にしてわかりやすくして人心を誘導する手口…

第1184回  水俣やユージン・スミスのリアルと向き合うことは、近代の問題と向き合うこと。

私が映画「MINAMATA」のことについて書くことに対して、「佐伯さんは、一般大衆に期待しすぎ」と、なんとも不思議なコメントをくれる人がいる。 一般大衆の定義がよくわからないが、期待しても、何にも変わらないよ、という程度の意味だろうか? 私がしつこ…

第1182回 桑原史成さんの水俣の写真から伝わってくる、正義よりも本当のことを伝える思い。

桑原史成さんの水俣に関する写真展が開かれている。 http://www.fujiwara-shoten.co.jp/whatsnew/9-15%EF%BD%9E10-16-%E6%A1%91%E5%8E%9F%E5%8F%B2%E6%88%90%E5%86%99%E7%9C%9F%E5%B1%95%E3%80%8Cminamata%E3%80%8D%E9%96%8B%E5%82%AC%EF%BC%81/ 大勢の人に…

第1181回 ハリウッドのMINAMATAと、石川梵が一人で作った「くじらびと」の差異。

映画「MINAMATA」を観た人は、ぜひ、石川梵製作の映画「くじらびと」を観て欲しい。 https://lastwhaler.com/ 私が、映画MINAMATAについて、あまりにも無防備に絶賛する人に対して懸念を覚えるのは、映画MINAMATAの手法が、ポピュリズムの常套手段であるから…

第1176回  水俣とMINAMATAの違い

ジョニー・デップが写真家のユージン・スミスを演じる映画、「MINAMATA」を観てきた。 これは「水俣」の映画とは言えないので、「ユージンスミスと水俣」というタイトルくらいが、ちょうどいい。 ユージンスミスの写真については昨日書いたとおりなのだけれ…

第1150回 ジェンダー平等って? 

帰宅した若い女性が「会社の先輩、産休あけて赤ちゃん連れてきてたんだけど、もうすっごいかわいくって。どっかの政治家が『ジェンダー平等』とかってスローガン的にかかげてる時点で、何それ、時代遅れって感じ」と笑う。 さらに、「化粧水買っちゃったの。…

第1097回 新型コロナウィルスの死者と、肥満の因果関係。

医療施設が整っていないから死者が膨大になると予測されている発展途上国では、いつまで経ってもさほど死者が増えず、飽食の国に犠牲が集中したという皮肉な結果。そこに今回の新型コロナウィルスの特徴がある。 ベトナムは、人口が1億に近い大国だが、今回…

第1095回 新型コロナウィルス対策。数理モデルと、環境要因の分析。

今日の新聞も、「新型コロナウイルスの感染者が187カ国・地域で400万人を超えた」という見出しが踊る。 しかし、おそらく一般の人々の生理的な感覚では、パンデミックと言われるけどピンとこないという人が増えてきているのではないか。 ロックダウンされて…

第1094回 ウィルス禍のなか、健やかな未来のための総合的判断とは。

どれか一つの理由でと決めつけることはできないが、新型コロナウィルスの禍が広がり始めて4ヶ月近くなり、地域ごとの違いがはっきりとしてきた。 専門家の先生は、このウィルスは、人種や地域性などに関係なく全人類の普遍的な脅威であると言っておられたが…

第1089回 発展途上国で健やかな暮らしをしている人々の方が、新型コロナウィルス感染による死者数が少ない。

このたびの新型コロナウィルスにおいて、たとえばアメリカでは、アンソニー・ファウチ博士など、感染症の権威の発言が大きな影響力を持っている。 アンソニー・ファウチ博士は、エボラやヒト免疫不全ウィルス( HIV)の研究に貢献されてきた人だが、そのため…

第1088回 アメリカのことが心配で怖い。

4月17日23時現在、日本のコロナウィルス感染者は9850人で、死者は207人、感染経路が不明の人の数が増えているのが大問題、より一層の警戒が必要だというニュースで占められている。 もちろん日本国内のことは大事だが、超大国アメリカで起こっていることにも…

第1087回 パンデミックと不条理と、もののあはれ

新型コロナウィルスによって、世界中がこれまでにない事態に直面しているが、この問題に関して、海外の知の巨人と言われる人たちが意見を述べている。 これは危機的な状況であるが、人類の次なるステージへの準備段階でもある。実際に、テレワークをはじめ様…

第1087回 ウィルスは殺戮目的でやってくるのではない。

ウィルスの感染による死と聞くと、ウィルスが殺戮目的で体内に侵入してくるような気がしてしまう。しかし、ウィルスの生存戦略は共生であり、侵入した相手が死んでしまうと自分も生き残れない。 だから、通常は特定の動物の中で共生している。今回の新型コロ…

第1085回 日本の古層vol.2   祟りの正体。時代の転換期と鬼(1)

怨霊と聞くと、菅原道眞(845ー903)がよく知られているが、道眞の死より少し前にも、怨霊が日本を騒がせていた。 9世紀、日本は、疫病の大流行(859〜877)や、貞観の富士山の大噴火(864-866)、そして貞観大地震と貞観の大津波(869)などに襲われていた。…

第1061回 権力による陰湿な”みせしめ”か?

「あいちトリエンナーレ2019」が、複雑なことになっている。 文化庁は愛知県に対し、あいちトリエンナーレ全体に対する補助金を交付しないと発表した。 問題となっている「表現の不自由展」は、全体予算、展示面積でもごく一部しか使っていないのだけれど、…

第1056回 選挙の前に考えておきたい日本のこと。

ふだんから考えていなければならないことだけど、選挙の前は、やはり、ふだんは忘れていることでも、色々と考えざるを得ない。自分の一票が政治を動かすなんて、組織票が圧倒的な力を持つ小選挙区制の中では考えにくいけれど、自分がどういう世の中に生きて…

第1046回 広河隆一氏の性的暴行事件について(4)

広河隆一氏が、月刊雑誌に、今回のセクハラ事件に対して「手記」を書いて掲載している。 このタイミングで、手記を書く方も書く方だが、掲載する方の神経も理解できない。 手記を書くのは構わない。しかし、ふつう、手記というのは、事件がなんらかの結論に…

第931回 物の作り方が変わるから買い方が変わり、また作り方が変わる。

アマゾンが、プライム会員向けに、注文の当日しかも一時間とか二時間以内の配送サービスを行うと知り、今の自分にはそこまで急ぎの注文はないが、アマゾンはいったい何をやろうとしているのかととても気になってプライム会員になった。年会費3900円で会員に…

第930回 一方向からの情報だけでなく

ロシアのプーチン大統領が、主要20カ国、地域首脳会議後の記者会見で、過激派組織ISに資金を提供している40カ国の存在と、その中にG20の国が含まれていることを、ほのめかした。 パリのテロと、その前日にベイルートで起きたテロは、どちらも深刻な被害…

第929回 国家と国民が記号的にひとまとめにされる時。

テロの後の一人ひとりのフランス人の声。恐怖、哀しみ、怒り、馬鹿やろう、そして寛容・・・ http://www.bbc.com/japanese/video-34832638 テロでなくなった方や、その友人や身内の方で、ISを恨み、ISへの報復だけを求めている人は当然いるだろうけれど、パ…

第927回 ミャンマーは、これからどうなっていくのか。

この時期にこういうことを述べるのはとても気が引けるのだけれど、それでもやはり、イラクやシリアの前例があるので、自分の考えを述べておきたい。 ミャンマーの政権交代。アウン・サン・スー・チー氏は、現在の法律で大統領になれなくても自分の仲間を大統…

第918回 とても気になる東芝の粉飾決算と原発政策のこと。

私は、一人の編集人で、エコノミストや各専門分野のジャーナリストほどの情報力もないし分析力もない。しかし、編集人は、専門家を通じて流れてくる情報内容や、分析の仕方について、それを鵜呑みにせず、色々な方向から自分なりに検討し、考える癖がついて…