時事問題

第1088回 アメリカのことが心配で怖い。

4月17日23時現在、日本のコロナウィルス感染者は9850人で、死者は207人、感染経路が不明の人の数が増えているのが大問題、より一層の警戒が必要だというニュースで占められている。 もちろん日本国内のことは大事だが、超大国アメリカで起こっていることにも…

第1087回 パンデミックと不条理と、もののあはれ

新型コロナウィルスによって、世界中がこれまでにない事態に直面しているが、この問題に関して、海外の知の巨人と言われる人たちが意見を述べている。 これは危機的な状況であるが、人類の次なるステージへの準備段階でもある。実際に、テレワークをはじめ様…

第1087回 ウィルスは殺戮目的でやってくるのではない。

ウィルスの感染による死と聞くと、ウィルスが殺戮目的で体内に侵入してくるような気がしてしまう。しかし、ウィルスの生存戦略は共生であり、侵入した相手が死んでしまうと自分も生き残れない。 だから、通常は特定の動物の中で共生している。今回の新型コロ…

第1085回 日本の古層vol.2   祟りの正体。時代の転換期と鬼(1)

怨霊と聞くと、菅原道眞(845ー903)がよく知られているが、道眞の死より少し前にも、怨霊が日本を騒がせていた。 9世紀、日本は、疫病の大流行(859〜877)や、貞観の富士山の大噴火(864-866)、そして貞観大地震と貞観の大津波(869)などに襲われていた。…

第1061回 権力による陰湿な”みせしめ”か?

「あいちトリエンナーレ2019」が、複雑なことになっている。 文化庁は愛知県に対し、あいちトリエンナーレ全体に対する補助金を交付しないと発表した。 問題となっている「表現の不自由展」は、全体予算、展示面積でもごく一部しか使っていないのだけれど、…

第1056回 選挙の前に考えておきたい日本のこと。

ふだんから考えていなければならないことだけど、選挙の前は、やはり、ふだんは忘れていることでも、色々と考えざるを得ない。自分の一票が政治を動かすなんて、組織票が圧倒的な力を持つ小選挙区制の中では考えにくいけれど、自分がどういう世の中に生きて…

第1046回 広河隆一氏の性的暴行事件について(4)

広河隆一氏が、月刊雑誌に、今回のセクハラ事件に対して「手記」を書いて掲載している。 このタイミングで、手記を書く方も書く方だが、掲載する方の神経も理解できない。 手記を書くのは構わない。しかし、ふつう、手記というのは、事件がなんらかの結論に…

第931回 物の作り方が変わるから買い方が変わり、また作り方が変わる。

アマゾンが、プライム会員向けに、注文の当日しかも一時間とか二時間以内の配送サービスを行うと知り、今の自分にはそこまで急ぎの注文はないが、アマゾンはいったい何をやろうとしているのかととても気になってプライム会員になった。年会費3900円で会員に…

第930回 一方向からの情報だけでなく

ロシアのプーチン大統領が、主要20カ国、地域首脳会議後の記者会見で、過激派組織ISに資金を提供している40カ国の存在と、その中にG20の国が含まれていることを、ほのめかした。 パリのテロと、その前日にベイルートで起きたテロは、どちらも深刻な被害…

第929回 国家と国民が記号的にひとまとめにされる時。

テロの後の一人ひとりのフランス人の声。恐怖、哀しみ、怒り、馬鹿やろう、そして寛容・・・ http://www.bbc.com/japanese/video-34832638 テロでなくなった方や、その友人や身内の方で、ISを恨み、ISへの報復だけを求めている人は当然いるだろうけれど、パ…

第927回 ミャンマーは、これからどうなっていくのか。

この時期にこういうことを述べるのはとても気が引けるのだけれど、それでもやはり、イラクやシリアの前例があるので、自分の考えを述べておきたい。 ミャンマーの政権交代。アウン・サン・スー・チー氏は、現在の法律で大統領になれなくても自分の仲間を大統…

第918回 とても気になる東芝の粉飾決算と原発政策のこと。

私は、一人の編集人で、エコノミストや各専門分野のジャーナリストほどの情報力もないし分析力もない。しかし、編集人は、専門家を通じて流れてくる情報内容や、分析の仕方について、それを鵜呑みにせず、色々な方向から自分なりに検討し、考える癖がついて…

第913回 ”かたじけなさ”と、日本のかけがえのない精神風土

8月8日、今宮神社の中にある織姫社で、織姫七夕祭を斎祀ることを奉告御祭に参列した。しばらく途絶えていた織姫祭を来年から復活させることが決まり、その報告を神様にする祭りだ。 世の中には、色々なタイプの祭りがあるが、最近では地方自治体などから助…

第912回 何もできていない新国立競技場で、60億円が消える?

こういうことは、もう納得できない。 見直しになった新国立競技場の問題。ありえない金額に膨れあがったため、白紙撤回になったのに、JSC(独立行政法人日本スポーツ振興センター 河野一郎 理事長)のマヌケな発表によると、これまでに行った契約の額は6…

第911回 発想の転換がなければ、同じ過ちが繰り返される。

昨夜は、祇園祭りの宵宵山。今日は、関西圏に台風が直撃するとのこと。 世に災いがある時に、それを怨霊の仕業とみなし、その怨霊を神として祀ることで災いを鎮めようとする御霊会が祇園祭りの起源だが、そういう転換の発想を、日本人は得意としてきた。 地…

第910回 大神島から見る日本

宮古島から大神島へと旅をしてきた。 話には聞いていたが、宮古島周辺の浜辺や海の美しさは感動的だった。小笠原は行ったことがないが、これまで訪れた日本の島々の中で最も美しかった。タヒチのボラボラ島やバリ島、ニューカレドニアやバヌアツやコモド島や…

第909回 新国立競技場の問題は、現代日本の体質の問題

2020年東京五輪・パラリンピックのメイン会場となる新国立競技場(東京都新宿区)の整備計画が大幅に見直される問題で、文部科学省などがデザイン監修者としたイラク出身のザハ・ハディド氏(英在住)の事務所との契約解除を検討していることが5日、分…

第908回 死から逆算するしかない自分の生

5月26日付けのNHKニュースで、「医療費抑制へ 後発医薬品 5年後80%に」と報じられていました。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20150526/k10010091791000.html 医薬品の特許が切れたあとに販売される価格の安い後発医薬品、いわゆるジェネリックの使…

第907回 電気料金の値上げと、構造的問題

関西電力から、電気料金の値上げの案内が届いた。「原子力プラントの再稼働の遅延にともなう火力燃料等の著しい増加により、電気料金の値上げを国に申請し、審査を受けてまいりましたが、このたび認可され」と書いてある。 そして、弊社は、今後も引き続き、…

第889回 永遠!?

見つかったぞ何が? 永遠が太陽と融合した海が (『永遠』アルチュール・ランボー) イエメンでは、モスクでの自爆テロで多数の民間人が亡くなり、チュニジアでは、武装集団がバルドー博物館を襲撃し、観光客を無差別に殺害した。 チュニジアは、大学を中退…

第888回 映像の時代における感覚と記憶

(撮影/大石芳野 2012年11月 福島県浪江町から避難して仮説住宅にいる。) 「いつまでこうした生活が続くのか不安」 風の旅人 復刊第5号 「福島の祈り」より 3.11の震災の時、手持ちのスマートフォン等で莫大な数の「映像」が記録された。それらの「…

第885回 居場所

川崎で中学一年生が殺害された事件は、同じ年頃の子供を持つ親でなくても、他人事として考えられない何かがある。 友人関係者や顔見知りの人だけでなく、少年の死を悼んで、遠方から大勢の人達が現場にやってきて、中には涙を流しながら献花をしている人もい…

第884回 自分の理解や計画を超えた”あやしいもの”が救いになることがある。

(撮影:紀成道) 数ヶ月前、次号の風の旅人のテーマを「いのちの文(あや)」と決めて、色々と準備を進めながら、どうもまだ中途半端で全体がうまく整わないなあと宙ぶらりんの気持ちの時に、この写真を撮った紀成道さんが、私の事務所で行なっているポート…

第880回 視る力と、視られる写真

(撮影・大石芳野) 写真家の大石芳野さんは、3.11の震災後、とくに福島の地を丁寧に取材し続けている。丁寧に、というのは、1人ひとりの心の内側を写真に焼き付けるために、1人ひとりとの距離の取り方が、とても丁寧なのだ。 大石さんは小柄で繊細そう…

新しい道徳教育への懸念

文部科学省が、小中学校の道徳に関する学習指導要領改定案を公表した。 道徳の問題は、いろいろ議論があるけれど、私が気になっているのは次の三つ。 一つは、新しく導入される評価制度のこと。 教師は、児童生徒の成長ぶりを評価しなければならないだけでな…

出版不況と、シンギュラリティ

http://www.kyoto-np.co.jp/top/article/20150126000042 出版不況ということが言われて久しいけれど、昨日の京都新聞に出ていたこのグラフを見たらわかるように、取り次ぎ流通を通すこれまでの出版流通の方法だと、もはや立ち行かないということが明らかに思…

自由の敵は自分(前半)

昨日のテレビで見た「プロフェッショナル」で紹介していた「かけつぎ職人」の松本孝夫さん、素晴らしかった。安価な化学繊維による大量生産の衣服を少し着ては使い捨てることが当たり前の風潮のなかで、たくさんの思いが詰まっていて捨てることのできない衣…

「表現の自由」をしつこく考え続ける自由。

「表現の自由を守らなければならない」という言葉が飛び交う。しかし、その表現は、一体誰に向けて行なわれているものか。 顔の見えない広く一般的な人びとか(発行部数などのように数字で表される)、それとも、特定の、どうしてもそのメッセージを送り届け…

偶像化とは、物事を一緒くたにして、本質を見誤ること。

「表現の自由か冒涜か」という議論がある。自由の為に他者を冒涜してもいいのかどうかという議論だ。しかし、そういう議論に覆われてしまうと、あの風刺画が、その内容を吟味することなく「表現の自由」のイコンになってしまい、殺害された人達が、表現の自…

預言者風刺画と、表現の自由について

フランスのテロ事件で銃撃された週刊誌シャルリエブドが、今日、イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載した最新号を発行した。銃撃テロのすぐ後から準備に入り、国内外のメディや団体から資金援助を受け、通常は5万部前後の発行なのに、国内外からの…