宗教

第1475回 日本人の心がどう作られてきたか(続)。縄文と渡来系文化のあいだ。

三日前に、中世の「いろは歌」のこと、二日前に、万葉の時代に遡って書いてきたけれど、今日は、おそらく縄文時代に遡るスピリット(おそらくというのは、縄文時代というのは、私たちに染み付いている思考特性の向こうの世界なので、そう簡単にわかるもので…

第1474回  日本人の心が、どう作られてきたか。「いろは歌」の果たした役割。

私たち日本人は、日本語を使って物事を理解し、日本語を使って物事を考えている。だから、私たちの思考やイメージが日本語の影響を受けていることは当たり前であり、日本文化も、日本語という言語の特質を抜きに存在しえない。 日本人とは何か?という問いに…

第1470回 千年の時を超えて、今に伝わってくる叡智。

春日大社と空海展へ。 空海が関わって制作されたとされる神護寺の曼陀羅が、修復作業を経て公開。 西洋絵画だと、ヒエロニムス・ボスが、超精密な描写を行なっているが、それよりも700年も前に日本でつくられた超巨大な曼陀羅の中の超精密な描写には、驚くば…

第1469回 偶然性の仕打ちを受容する生存の美学。

明治時代になって、浮世絵などの日本文化が、二束三文の値段で海外に持ち去られたように、日本人は、日本にあるものの価値を知らず、欧米のものに価値があると思い込んで、高い値段を払ってまで手にいれてきた。そして、欧米から褒めてもらって初めて、自分…

第1456回 女性天皇が続いた時代。

愛子さま、明治神宮に初参拝。 この方は、なんだか巫女のようなオーラを漂わせている。 現在、皇位継承順位は、第一位が、秋篠宮文仁親王で、第2位が、文仁親王の長男の悠仁親王。 これは皇統に属する男系男子にのみ皇位継承権を認めるという皇室典範のため…

第1454回 古代、聖から邪に転換した竜蛇神。

数日前に、近畿の真ん中の縦長の盆地の北と南の端にあたる吉野と京都を結ぶ丹生の女神のことについて書いたが、今度は、その京都を軸にした東と西の関係について考えてみたい。 吉野三山に鎮座し、蛇神の天津羽羽神を祀る波宝神社の真北に位置する上賀茂神社…

第1453回 『生成と消滅の精神史』下西風澄著について。

先週の21日(日)に行ったワークショップセミナーに、昔、風の旅人の編集部で働いていた中山慶が参加してくれて、会が終わった後、ノンアルコールビールを何本も飲みながら夜遅くまで話し込んだ。 その時、彼が、最近読んだ本として、「生成と消滅の精神史』…

第1450回 縄文時代に遡る巫女神が、時代を超えて伝えていること。

御前崎。(静岡県御前崎市)。 南海・東海大地震が起きた場合、もっともダメージが懸念される原子力発電所である浜岡原発は、太平洋に突き出た静岡県御前崎にある。 この場所は、四国から近畿にかけての中央構造線を東に伸ばして、伊豆下田の伊古奈比咩命神…

第1448回 震災国日本の祈りのかたち。

(さらに昨日の続き)。 古来、日本の天皇は政治的権力者というより、この国の祭祀の要に位置しており、この国の祭祀の根幹は、古代の巫女が、自分の存在を打ち捨てる覚悟で神に仕えることで、その身に神を憑依し、神そのものになって人々に恵みをもたらし災…

第1447回 巫の力と、天皇制。

室生龍穴神社(奈良県宇陀市)の奥宮の「吉祥龍穴」。ここが「善女龍王」の聖域。 「善女龍王」は、仏教における龍を統率する女神で、空海が京都の神仙苑(しんせんえん)で雨乞いを行った時に現れたとされる龍王でもある。伝説によれば、善女龍王は、奈良市…

第1446回 悶えて加勢する巫の力。

(昨日の続き) 世界中の文学のルーツには悲劇がある。悲劇には、人間の心の深いところを揺さぶる力がある。だから後々まで伝承され、記憶が引き継がれる。 現代社会のように、人間の欲望を刺激するものが溢れ、悩みや不安を一時的に紛らわす娯楽に不自由し…

第1433回 時代が変わる時。

(3月末に行うワークショップについて) 現代世界には、環境問題をはじめ様々な問題が横たわっているが、それらの問題の根元には、「万物の尺度は人間にあり」という、すべての物事を人間を基準にして測る価値観がある。 この価値観が人間の傲慢さにつながっ…

第1425回 「日本文明が与えることができる優れた教訓のかずかず」 レヴィ=ストロース 

第15回ワークショップセミナー(東京)を終えた。 この場で最初に私が話をしているのは、エンジニアリングとブリコラージュの話。 これは、20世紀の最高の知性、文化人類学者のレヴィ=ストロースが唱えていることで、近代文明の中で生きている私たちは、エ…

第1422回 源氏物語と、もののあはれ

石山寺。紫式部が、源氏物語を書き始めた場所とされる。 NHK大河ドラマの「紫式部」は、藤原道長との恋愛が軸になっているそうで、その恋愛が「源氏物語」の着想につながっているという設定のようだが、本当に、そういう安易な解釈でいいのだろうか。 光源氏…

第1418回 原始のエッセンスが持つ普遍性。

嬉しい頼りが地球の裏側から届いた。 アフリカのルワンダで、「イミゴンゴ」という伝統アートの調査活動と、普及のための展示や販売を行っている加藤雅子さんが、このたび私が制作した「始原のコスモロジー」を、現地でイミゴンゴの制作を行っている人々に見…

第1399回 シンギュラリティ(技術的特異点)と、古代のコスモロジー。

昨日と今日は、今年13回目、今年最後のワークショップ セミナー。 ちょうど一昨日、古代のコスモロジー〜日本の古層vol.4〜が納品されたので、ベストなタイミング。 (詳しい内容は、こちらのサイトへ) www.kazetabi.jp 今回の本、これまでの3冊より写真が…

第1396回 畏れのなかに含まれた敬意や憧憬。

神社や祭祀場などの聖域が、その場所に在る理由は、現場に行かなければわからない。 ひっそりとそこに在る物は、時の風化によって本来の形を変容させていても、何事かの気配を今に伝えており、その気配は、その場所に立ってみなければ感じ取れない。 聖域と…

第1389回 情報とリアリティのあいだ。

何事の おわしますかは 知らねども かたじけなさに 涙こぼるる 西行 神社や古墳や祭祀場が、なぜその場所にあるのかという理由は、現場に立ってみなければ感じ取れません。 そして、その場所に聖域を築いた人たちの心の中を自分ごととして引き寄せないと、そ…

第1384回 イスラエルのイデオロギーと、日本古来の境界意識の違い。

間垣の里(石川県輪島市) イスラエルに限らないが、唯一絶対神の世界は、善悪二元論でもあるので、敵と味方の線引きを明確にしたがる。だから、その境界に、高い壁を築く。ガザを取り囲む壁は、ベルリンの壁よりも高く、その壁は、見方を変えれば、奢り昂っ…

第1381回 神話は史実ではないが、単なる空想の産物でもない。

神話は史実ではないが、単なる空想の産物でもない。かといって、権力者による自己正当化の物語でもない。 神話は、古代における秩序形成のために創られたコスモロジーである。 コスモロジーというのは、自分たちが生きている世界をどう解釈し、その世界でど…

第1377回 富士山の魔力に取り憑かれた写真家

東京と京都のあいだの移動途中に富士山を訪れている理由は、富士山の麓に住んでいる写真家の大山行男さんを訪問して、大山さんが撮り続けている写真を確認するため。 現在、大山さんの写真集の「Creation」シリーズ三部作を制作中で、Vol.1の「生命の曼陀羅…

第1375回 未来のコスモロジーと、始原のコスモロジーが重なっていく。

古代に関する本を作ったり、ワークショップセミナーを行っているのは、「歴史好き」のための情報提供を意図しているわけではなく、念頭には、常に「未来」のことがある。 「未来」のことを見据えるうえで「古代」を見据える必要があると感じている。だからと…

第1360回 スサノオの活躍と狼藉について。二律背反的な状況を乗り越えるために(1)

八雲山の須佐男の磐座=須賀神社の奥宮(島根県雲南市) 神話の中のスサノオは、人間に恩恵を与える神であると同時に、野蛮な振る舞いで周りに迷惑をかける神として描かれているが、これは、たとえば技術の発展が善と悪、禍と福という両極な状況を作り出す二…

第1342回 始原のコスモロジー

なぜ歴史を探究し、歴史を学ぶのか? 私は、20歳の時に海外放浪に出て、地中海世界やオリエント世界を旅している時から、「人間への信頼を取り戻すため」と思っていた。そして、それは同時に、「現代世界の問題の本質はどこにあるのか?」を考えることだった…

第1340回 ピンホールカメラで世界と向き合う時に見えてくる古くて新しいコスモロジー。

夏至を境に、今日から1日ずつ日が短くなっていく。 私は、ピンホールカメラで写真を撮っているので、日没時間はとても気になる。 日が短くなると、取材中もゆっくりと昼食をとっていられない。だから、夏至になると、少し切ないものを感じ、冬至になると、翌…

第1338回 人間の意図を超えた力と、磐座。

山梨県北杜市小淵沢町に大滝神社があり、この場所は八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ。「日本名水百選」に選ばれているが、日量22000立方メートルと豊富な水量を誇り、一年を通して水温は12度。 東京の武蔵野台地でもそうだが、井の頭公園や石神井公園、等々力渓…

第1336回 ヤマタノオロチとは何か?(2)

出雲大社の隣に鎮座する命主社(いのちのぬしのやしろ)。出雲大社が築かれる前の聖域だったと考えられる。古代の磐座だと思われる巨岩の前に建てられているが、この巨岩を石材として切り出した時、下から銅戈(どうか)と硬玉製勾玉が発見された。ともに古…

第1335回 ヤマタノオロチとは何か?(1)

八岐大蛇について(1) 古事記や日本書紀に描かれている「スサノオの八岐大蛇退治」の物語は、誰でも知っているが、いったい何を意味するのか、江戸時代の国学者も含めて様々な解釈を試みているが、これが正解だと明確に言いきれる解答は見当たらない。 こ…

第1332回 出雲の国譲りとは何か? (4)

八雲山のスサノオの磐座。八雲山の西麓に鎮座する須賀神社の奥宮。 島根の出雲地方は、大きく分けて三つの領域に分かれる。 一つは、出雲の西側、斐伊川の流域で、もう一つの地域が、鳥取との県境の大山の周辺、日野川の流域。 これらの地域のことは、(1)…

第1331回 過酷極まりないサハラに生きる自由。

写真家の野町和嘉さんが激賞していた、ハッサン水谷さんの写真集「サハラ蒼氓」を拝見した。 サハラの写真と言えば、野町さんの写真を思い浮かべるが、その野町さんが高く評価するサハラ世界の写真はどんなものだろうと期待していたが、野町さんが言っていた…