芸術

第1276回 量子コンピューターの時代の思考特性とは?

花背の三本杉。(京都府京都市左京区) 3日前のイベントの後の懇親会で、「花背(京都市左京区)の三本杉のところに白鷹竜王の碑がありますが、あれは何ですか?」という質問を受けた。この偶発的で、ローカルで、普通の人にとってはどうでもよい問いから、…

第1272回 文字が変えた日本人の思考特性!?

ヴァルカモニカ渓谷の岩絵。約1万年前からローマ時代までの8000年間に描かれた14万点にもおよぶ精巧な線刻画が残っている。 ジュリアン・ジェインズは、『神々の沈黙』という著書のなかで、人間がアルファベットを使い始めた時から言語野が左脳になり、それ…

第1262回 鬼海弘雄さんが広げてくれた領域

亡くなる2年前、今から4年前の秋、京都に来た時、亀岡とか神護寺とかを歩いた。この頃の体調は万全ではなかったが、癌であることはわからなかった。この半年後くらいに、体調が悪かったは癌のせいだとわかったと電話があった。 今日、10月19日は、鬼海弘雄…

第1251回 EntranceでありExitな、われわれの生

門前仲町まで、小池博史さん演出の新作舞台「ふたつのE」を観てきた。 kikh.org 小池さんという人は、止まるところを知らない。本質は変わらないのだけれど、同じことを繰り返さない。今回の舞台も、見事なまでに斬新で、美しく、ユーモアに満ちていた。 身…

第1248回 この時代に、なぜピンホール写真なのか?

愛媛県今治市で、鈴鹿芳廉さんの展覧会が行われています。(2022年10月23日まで) www.city.imabari.ehime.jp この展覧会期間に合わせて、今治市で、鈴鹿さんと私でトークを行ない、私が撮ったピンホール写真のスライドトークも行います。 場所は、今治市の…

第1246回 「いのちの居場所」について

「未来も過去も、無限に小さくしていくと現在となり、無限に大きくしていくと時の流れそのものになります。ズームインとズームアウトの振り子のような視点は、時間という概念に束縛されずに「わたしたちは現在をどう生きるかと考えるには大事なことだと思い…

第1234回 和を以て貴しとすること。

聖徳太子が制定したとされる「十七条憲法」の第一条の冒頭。 「和を以て貴しとし、忤(サカフル)ことは無いように。人には皆、党(タムラ)があり、悟っているものは少ない。よって君父(キミカゾ)に従わない。また、隣の里とも違うだろう。しかし、上と和…

第1217回 「土偶を読む」を絶賛する人たちの心理って?

縄文時代のことが気になっている一人として、「土偶を読む」という本がベストセラーになっていると知って立ち読みしたが、あまりにも独断的で、答えを最初に決めてから、それにそった裏付けだけを集めているという姿勢が目に余ったので、どうでもいいと思っ…

第1213回 現代もまた銀河鉄道の旅の途中

(小池博史ブリッジプロジェクトのInstagramから) 昨日、小池博史ブリッジプロジェクトの「Milky Way Train」を観てきた。 宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を基点にした小池さんのオリジナル世界。 小池さんの舞台を観に行く人で、宮沢賢治の「銀河鉄道の夜」を…

第1205回 出版業界の構造変化について

数ヶ月前に、講談社がアマゾンと直接取引を行うことを発表し、業界に驚きが走った。これまでにも講談社発行の本をアマゾンで買うことはできていたので、業界関係者でなければ、さほど驚きとはならないニュースだ。 しかし、これまで講談社をはじめ大手出版社…

第1204回  事物の向こう側にアクセスする力

このたび制作した大山行男さんの作品集「The Creation 生命の曼荼羅」の中に、以下の文章がある。 「かつて、南アルプスの蝙蝠岳の山中でテントを張り、撮影する日々に明け暮れていた時があった。 陽が傾くと、無音の時が流れ、あたりから光は消え、さらに深…

第1203回 生命の曼荼羅

富士山の写真で知られている大山行男さんの新しい写真集「The Creation 生命の曼荼羅 vol.1」 。 これから印刷をする前に、先行予約を行い、部数を決定したいと思います。 このたびの写真集は、富士山だけでなく、富士山周辺の生命の万華鏡世界を表したもの…

第1202回 懐かしさに宿る真理

現在、東京の半蔵門ミュージアムで、井津建郎さんの写真展が開かれている。 https://www.hanzomonmuseum.jp/exhibits/special.html この美術館は初めて訪れたのだが、東京の真ん中にこんなに素晴らしい場所があったのかと、正直、驚いた。特別展の展示スペー…

第1194回 映画「くじらびと」。11月7日、石川梵監督とトークを行います。

映画「くじらびと」。この奇跡の映画、革命的な映画の大阪での上映で、石川梵監督と、トークを行うことになりました。 大阪復活上映(第七芸術劇場) (11月7日(日)、14:10の回上映後 1時間のスペシャルトークイベント) 登壇者:石川 梵 監督、佐伯 剛(…

第1187回 「MINAMATA」と「くじらびと」、事実に対する誠実さの違い。

https://lastwhaler.com/bon-ishikawa/?fbclid=IwAR0SB70MpHebmRJByfpHiYdxelCDGQUCUA0cNRw_atUJEzi0os5dT_dc0qk 「これまで海の上の人間の物語を撮ってきた。しかし、海の下のもうひとつの物語があることに気づいた」 石川梵監督の映画「くじらびと」の誕生…

第1186回 たとえフィクションであっても、事実を伝える際のモラルは必要だ。

「Let truth be the prejudice」真実を偏見(こだわり)にしようというユージンスミスの有名な言葉の中のTruth(真実)は、神様の目ではなく、人間の目からの真実である。 ユージン・スミスは言っている。人間というのは、純粋に客観的であることはできない…

第1181回 ハリウッドのMINAMATAと、石川梵が一人で作った「くじらびと」の差異。

映画「MINAMATA」を観た人は、ぜひ、石川梵製作の映画「くじらびと」を観て欲しい。 https://lastwhaler.com/ 私が、映画MINAMATAについて、あまりにも無防備に絶賛する人に対して懸念を覚えるのは、映画MINAMATAの手法が、ポピュリズムの常套手段であるから…

第1176回  水俣とMINAMATAの違い

ジョニー・デップが写真家のユージン・スミスを演じる映画、「MINAMATA」を観てきた。 これは「水俣」の映画とは言えないので、「ユージンスミスと水俣」というタイトルくらいが、ちょうどいい。 ユージンスミスの写真については昨日書いたとおりなのだけれ…

第1175回 「MINAMATA」のユージンスミスと、森永純

ジョニーデップが製作・主演の「 MINAMATA」が、京都でも観られる。 この時代に、改めて水俣のことに注目がいくことは、大事なことかもしれない。 しかし、私は、風の旅人の誌面で、ユージンスミスの写真は、日立関係のもの(高度経済成長下の日本人)を編集…

第1171回 『水俣 天地への祈り』 田口ランディ著 を読み終えて 

『水俣 天地への祈り』 田口ランディ著 河出書房新社発行 https://www.amazon.co.jp/%E6%B0%B4%E4%BF%A3-%E5%A4%A9%E5%9C%B0%E3%81%B8%E3%81%AE%E7%A5%88%E3%82%8A-%E7%94%B0%E5%8F%A3%E3%83%A9%E3%83%B3%E3%83%87%E3%82%A3/dp/4309029922 久しぶりに、深い…

第1161回 有為転変の出来事そのものではなく、この世を司る理。

Sacred world 日本の古層 vo.2の最後の14ページは、ピンホール写真と、上嶋鬼貫の俳句のコラボレーションになっている。 上嶋鬼貫は、芭蕉と同じ時代の俳人で、東の芭蕉、西の鬼貫と高く評価されていたものの、芭蕉ほど知名度が高くない。しかし、リルケなど…

第1149回 村上春樹氏の SNSに対する言葉について

村上春樹氏が、 SNSについて言及した言葉が、話題になっているようだ。 「大体において文章があまり上等じゃないですよね。いい文章を読んでいい音楽を聴くってことは、人生にとってものすごく大事なことなんです。だから、逆の言い方をすれば、まずい音楽、…

第1148回 民族が積み重ねてきた歴史文化風土

【かんでんコラボアート】 2月26日(金)〜3月3日(水) 平日10:00〜19:00 土日10:00〜17:00 最終日は15:00まで 堂島リバーフォーラム 1階ホール 大阪市福島区福島1-1-17 10年以上前だけれど、風の旅人の第39号で、日本のアール・ブリュットを欧米で紹…

第1131回 無念を承知の人生。

池袋で、鬼海弘雄さんの供養のための飲み会が終わった。鬼海さんの本当の供養は、という話となった。鬼海さんが、あちらの世界で、もっとも喜ぶであろうことは? 人は、この世を去ることで、良い意味で悪い意味でも。その存在が、永遠となる。人は亡くなって…

第1130回 魂の交流と、天命

お使い帰りの兄妹 撮影:鬼海弘雄 生前、私を同志と言ってくれた鬼海さんは、2020年10月19日、75歳で逝ってしまった。 そして、若造の私にとって恩師だった日野啓三さんは、2002年10月14日、73歳で他界された。鬼海さんも日野さんも、ほ…

第1129回 撮ることの秘儀  鬼海弘雄さんの写真について

鬼海弘雄さんの写真で素晴らしいものはたくさんある。 その中で、例えば、この一枚の写真には、鬼海さんの人柄や、哲学、そして写真の凄さ、写真表現だからこそ可能なことが、ぎゅっと詰まっている。 これは、鬼海さんが、トルコのアナトリア地方を旅してい…

第1128回 追悼 鬼海弘雄さん(2)

Impact hub Kyoto で行った鼎談「黙示の時代の表現〜見ることと、伝えること〜」(右から、鬼海弘雄さん、小栗康平さん、佐伯剛) 撮影:市川 信也さん 2018年11月11日。とっても楽しかった。この後、小栗さんと鬼海さんで、何日、我が家に泊まって…

第1127回 追悼 鬼海弘雄さん(1)

10月19日、鬼海弘雄さんが、2年あまりのリンパ腫との闘病の末、亡くなった。 春頃までは、電話がかかってくれば、次の本作りのことや、良くなったらあと一回、トルコに取材に行きたいなあとか、そういう前向きな話ばかりだった。きっと、自分を鼓舞して…

第1116回 時を超えた物づくり

亀岡の歴史探求の延長で、亀岡の漆作家、土井宏友さんの工房へ。最近、古代の丹生、すなわち辰砂(硫化水銀)の産地を訪れることが多く、土井さんは、本物の辰砂を使った漆作品を作っている。 また、土井さんは、古代から大切にされてきた錫(銅と化合させて…

第1082回 神の使者、ライチョウと、水越武さんの写真。

写真家の水越武さんの新著、「日本アルプスのライチョウ」が、手元に届いた。 https://www.shinchosha.co.jp/book/315233/ 本当に素晴らしい! ここ最近見た新著の写真集のなかで、もっとも素晴らしい。 写真集としては小さなサイズだけれど、この小ささで、…