芸術

第1071回 鬼海弘雄 最新写真集 SHANTI persona in india

https://www.chikumashobo.co.jp/special/persona/shanti/ スマホで、色調その他色々と調整ができて、手軽に撮影ができる時代、プロとアマチュアの差がほとんどわからなくなった時代。もはや、「いい写真だね」という言葉は、褒め言葉でもなんでもなくて、た…

第1066回 過去と未来の橋渡しになる映像を

亀岡 御霊神社 ピンホールカメラで撮影した日本の古代の聖域の写真を紹介するホームページを一新しました。 ​​ https://kazesaeki.wixsite.com/sacred-world 日本というのは、たぶん世界の中でも実に特殊な国で、一千年以上も前の歴史を探るために、文献の量…

第1063回 時間の流れ

http://www.bitters.co.jp/satantango/ タルベーラ監督の『サタンタンゴ』について、さらに重要なポイントについて、考えてみたい。 7時間を超えるこの映画を構成している僅か150カットの長回しのシーンの一つひとつ。5分を超える長回しの撮影のあいだ、…

第1062回 それぞれの世紀末 

http://www.bitters.co.jp/satantango/ タルベーラ監督の『サタンタンゴ」。7時間18分という驚くべき長さを誇る映画だが、カット数は、わずか150カット。 ハリウッド映画を見習ったような俳優の動きで物語を作り出していくようなタイプの映画は、2時間たら…

第1046回 広河隆一氏の性的暴行事件について(4)

広河隆一氏が、月刊雑誌に、今回のセクハラ事件に対して「手記」を書いて掲載している。 このタイミングで、手記を書く方も書く方だが、掲載する方の神経も理解できない。 手記を書くのは構わない。しかし、ふつう、手記というのは、事件がなんらかの結論に…

第1042回 能面に伝わる人類のタマシイ

ニューヨークに活動の起点を置く写真家、井津建郎さんが京都に来て、数日間、一緒に過ごすことになった。 井津さんは、7、8年ほどかけて一つのテーマをじっくりと追っているが、現在のテーマは、日本の能面。彼が撮った能面の凄みのある写真を見せてもらい…

第1026回 リアリティと幻想の交錯

4月5日、写真家の森永純さんが亡くなった。80歳だった。森永純さんのことを、知っている人は少ないと思う。森永純さんは、日本の写真界で、写真展という形で最初に展覧会を行った人だ。それまで日本における写真家というのは、雑誌や新聞などに素材を提供す…

第1021回 宇宙の摂理と人間をつなげる力。〜ウィリアム・ターナーの絵画世界〜

京都文化博物館でターナー展が始まったので、さっそく見に行ってきた。 20歳の時、大学を中退して放浪中に、ロンドンのテートギャラリーで見たターナーの絵画。それまでヨーロッパの絵画には大して心動かされなかったが、ターナーの絵は格別で、心が震えた…

第1020回 個々の死を超える自然の大調和の世界

2月10日、石牟礼道子さん亡くなられた。90歳だった。 石牟礼さんのロングインタビューを行ったのは、2014年の春だった。6月1日に発行する「風の旅人」の第48号に間に合わせるための、ギリギリのタイミングだった。 インタビューの予定は、1月…

*第1014回 時代や地域が変わっても変わらないもの

11月2日に、スタンフォード大学京都プログラムで来日している学生達に、編集と日本的な時空間の関係などを講義する機会をいただいた。もちろん、『風の旅人』をベースにしての話だ。 2003年4月から50冊の『風の旅人』を作ってきたが、対談や講演で…

第1006回 ありのままを伝えることの深み〜ジャン-ウジェーヌ・アッジェと鬼海弘雄の街の写真〜

撮影:ジャン-ウジェーヌ・アッジェ 一昨日、神戸まででかけた時、もう10年以上、連絡もしていない同郷の写真家のことを、ふと思い出した。 そして、驚いたことに、昨日、突然、その写真家からメールがきた。 「佐伯さん、お元気ですか。素晴らしい写真集…

第1004回 世界でいちばん美しい村

(撮影:石川梵) 石川梵監督の「世界でいちばん美しい村」というドキュメント映画がある。日本全国で上映され、人々の心を捉えているが、6月17日から、大阪の第七藝術劇場でも公開される。 http://www.nanagei.com/ 6月19日には、13時55分からの…

第1002回 天の恵みを授かる作法ー鈴鹿芳康の作品世界ー

鈴鹿芳康は、アーティストである前に旅人である。旅人というのは、実際にその環境を訪れて、土地と空気と水などの物質や様々な価値観をもった人々と身体感覚を通して交じり合う感覚をリアルなものと記憶しているから、その感覚を抜きに、物事を判断すること…

第1001回 「室礼展」に見る、緩く心地よいつながり。中央集権的な構造から分散処理的な構造へ。

京都ではKyoto Graphieという写真祭りで盛り上がっています。私も、この期間中、「The Terminal Kyoto」というところで、最近、ピンホールカメラで撮り続けている古樹の写真を、和紙に出力して展示させていただいています。 Kyoto Graphieが写真メインの展示…

第1000回 自分のモラルから言葉や表現物を発するということ

小栗康平監督のDVDブックのFOUJITA (小栗康平コレクション 別巻) <駒草出版>が発表された。 https://px.a8.net/svt/ejp?a8mat=25VR46+1RPEIA+249K+BWGDT&a8ejpredirect=https%3A%2F%2Fwww.amazon.co.jp%2Fdp%2F490544778X%2F%3Ftag%3Da8-affi-145793-22 装…

第998回 もののあはれと幽玄

第7回 風天塾開催 もののあはれと幽玄〜近代合理主義を超えて〜「源氏物語と日本文化の秘めた力」 お申し込みはこちら➡︎https://www.kazetabi.jp/%E3%82%A4%E3%83%99%E3%83%B3%E3%83%88/ (和蝋燭の灯りに照らされた空間で) 日時 2017年4月28日(金…

第992回 1000年前よりも遥か以前と現代の紐帯になる源氏物語

私は源氏物語の研究者でもなんでもないが、なぜかその私が、同志社大学で源氏物語関係のイベントを企画しているので、最近、これまでよりも源氏物語を身近に引きつけて考える癖がついている。 1,000年前に書かれた源氏物語は、欧米世界では近代小説の傑作と…

第991回 根源と全体を受容すること②

小栗さんと京都の清水あたりを歩いている時、小栗さんがデビュー映画「泥の河」を作ってまもなく、若狭と東大寺のお水送りとお水取りのリポーターをやった時の話をされた。 この時のことは、1987年に発行された「哀切と痛切」という本の中に書かれている…

第990回  根源と全体を受容すること①

20歳の頃、2年間の諸国放浪の前後、計り知れない影響を受けた人物が二人いた。一人は小説家、もう一人は映画監督。 世界に対する視点、世界への向き合い方、掘り下げ方は、この二人の作品世界に触れたことで、かなり方向付けられた。それまで試行錯誤しな…

第983回 ユーリー・ノルシュテインの世界は、静かな慈悲の泉

2月3日まで京都シネマで上映中の「アニメーションの神様、その美しき世界」。 http://www.imagica-bs.com/norshteyn/ ユーリー・ノルシュテイン監督の作品は、数年ごとに見てはいるものの、何度見ても、胸に突き刺さるものがある。今回は、デジタルリマス…

第982回  物づくりと、永遠に通じる道。

「草木は人間と同じく自然により創り出された生き物である。染料になる草木は自分の生命を人間のために捧げ、色彩となって人間を悪霊より守ってくれるのであるから、愛をもって取扱うのは勿論のこと、感謝と木霊(こだま)への祈りをもって、染の業に専心する…

第963回 若冲に還る。(後半)

(前半から続く)若冲は、次のような言葉を残している。 今の所謂画は、皆画を画く者にして、未だ能く物を画く者を見ず。且つ技を以って售(う)らんことを求め、未だ能く技より進(まさ)る者有らず。是れ吾の人に畸とする所なり。(もと漢文、訓み下し) …

第962回 若冲に還る。(前半)

若冲は、「千載具眼の徒をまつ」という言葉を残した。 やはり若冲はすごい。東京都美術館で行われた「若冲 生誕三百年」の展覧会は、待ち時間5時間という凄まじい人気だったようだが、10月30日に行った京都市立美術館の展覧会は、「動植綵絵」など人気作品…

第961回 無意識の記憶と、人の幸福

久しぶりに高野山を訪れた。高野山では、陶芸家の三星善業さんの窯出しのタイミングと重なり、また三星さんの弟子の和田直樹君が、ちょうど窯焼きの最中で、幸運だった。http://hiraharagama.doorblog.jp/ 和田君は、この前に訪れた時とは違う窯で焼いていた…

第960回 もののあはれを知る二つの東京 (第4回・完)

(第3回から続く) 時は不可逆であり、過ぎたことを悔やんでもどうにもならない。 それが、ものの限界である。しかし、ものの限界を知る時に初めて、ものの価値をリアルに感じられることもある。 ”限りあるもの”との出逢いは偶然であり、二度と同じ形での出…

第959回 もののあはれを知る二つの東京(第3回)

(第2回から続く) 技術革新がどれだけ進もうとも、基本的に、人間と”もの”との関係は昔からそんなに変わっていない。変わっているのは主に観念の部分であり、身体という限りある”もの”とともに在る人間は、これまでも、そしてこれからも、”もの”との関係を…

第958回 ”もののあはれ”を知る二つの東京(第2回)

(第1回から続く) 今年度、「東京」の名がつく二つの大型写真集が刊行された。 一つは、鬼海弘雄さんの「Tokyo View〜東京模様〜」(発行:かぜたび舎)、そしてもう一つが、有元伸也さんの「Tokyo Circulation」(発行:禅フォトギャラリー)だ。 この二…

第957回 「もののあはれ」を知る二つの東京 第1回

この20年ほどの間に、パソコンが大型コンピューターに取って変わり、さらに、どこにでも持ち出し可能なラップトップコンピューター、より携帯性に優れたスマホが人々のあいだに普及した。これから急速に進むのは、IoT(Internet of Things)、「もののインター…

第956回  主義主張の正しさよりも、伝え方の正しさ。

「アルビノの木」という映画が、7月16日から29日まで、テアトル新宿のレイトショーで、緊急に、限定に、公開される。 http://www.albinonoki.com/ 金子雅和監督(38歳)の自主制作作品である。昨今、映画産業の衰退は著しい。テレビ局や広告代理店がしきる…

第920回 小栗康平さんの新作映画と、かたじけなさ

写真/松井康一郎 10月1日発行まであと僅かとなった風の旅人 復刊第6号(第50号)のロングインタビューは、映画監督の小栗康平さん。今回は10ページにわたる大特集。11月14日より、小栗監督の10年ぶりになる新作映画『FOUJITA』が、全国ロード…