2023-09-01から1ヶ月間の記事一覧

第1371回 馴れについて(2)

習慣化によって感性が鈍麻して偽物に騙されやすくなることもあれば、逆に、その環境によっては、習慣化によって物事の神髄がわかるようになるかもしれない。 先祖代々の骨董屋のように、当たり前のように超一級品に囲まれて育つと、自然に、物の良し悪しがわ…

第1370回 馴れについて。

”馴れ”というのは、人間の可能性につながることかもしれないし、逆に、人間を損なう原因になるかもしれない。 今年に入って今回で10回目、6時間ほどのワークショップセミナーを、毎回二日続けていて、第3回目くらいまでは、けっこう疲れて喉も痛くなり、終…

第1369回 古代の二つの海人勢力について

これまで、古代における転換期に大きく関わっていた二つの海人勢力のことを書いてきた。 一つは、安曇氏(海部氏や、その同族の尾張氏、和邇氏を含む)と呼ばれる勢力で、もう一つは、紀氏(越智氏や平群氏も含む)と呼ばれる勢力だった。 古事記において、…

第1368回 世界観や人生観に影響を与える歴史観

ここ数日で、「日置」と「額田部」を軸にした長大な文章を書いた。 なぜ、今、あえてこんなことを書いているのかというと、私たちの足下の歴史の捉え方が大きく歪められてしまっていれば、現在を生きる私たちの世界観や人生観も歪んでしまって当然だと思うか…

第1367回 歴史の転換期における背後に隠れた力。

古代日本は、100年単位で、大きな変革を遂げている。 西暦400年頃、後の東漢氏や秦氏につながる渡来人が大挙してやってきて、この頃から古墳が超巨大になり、副葬品として、武器や馬具などが多く含まれるようになった。 西暦500年は、今来という新しい渡来人…

第1366回 王権秩序の及ぶ範囲と正確な暦の重なり

日本には無数の聖域があり、それらの聖域のあいだを線で結び、なんでもかんでもレイラインだと主張するのは、あまり意味がないことだと私も思っている。 しかし、日本の各地を旅すればよくわかることだが、古代において、冬至や夏至、春分や秋分の太陽の位置…

第1365回 海に囲まれている国の文化

日本は、海に囲まれた島国。大陸から遠すぎることもなく近すぎることもない微妙な距離感が、日本文化の固有性を育んできた。 日本人にとっては、海そのものが境界線だったから、高い城壁を築いて異民族の侵入を防ぐという発想にはならなかった。 日本人にと…

第1364回 時間が無い時代から時間に追われる時代への転換。

現代社会は、「神話なんか生きていくうえで役に立たない」と思っている人が大半だが、白川静さんが、岩波新書の『漢字』の中で、人間と神話の関係において実に深い内容のことを、簡潔に書いている。 「神話の時代には、神話が現実の根拠であり、現実の秩序を…

第1363回 始源のコスモロジー

日本は、海に囲まれた島国であり、大陸から近くもなく遠くもない絶妙な距離感が、日本という国の個性を作り上げてきました。 また、海に囲まれていながら国土の70%が山岳地帯であり、それらの山々を源泉とする河川が、日本を網の目状につないでおり、この…