2012-01-01から1年間の記事一覧

共同出版という名のいかがわしさ  

自分が使っている媒体(風の旅人)が利用されることがあるので、ちょっと書いておきたい。 最近、出版業界が不振であることは多くの人の知るところだが、そのため、写真集を発行する出版社はほとんどない。何年か前、新風舎という会社が、本屋に流通させると…

コドモノクニ

社会には色々な問題があるけれど、究極のところ、大人が子供に何を見せて行くか、何を伝えて行くか、というポイントは絞られると感じている。そのポイントで、風の旅人の次号のテーマ、「コドモノクニ」のことを考えている。 時代ごとに価値基準があるわけだ…

〜写真 これからの予感〜

12月16日(日) 東京都写真美術館で、話をします。写真家の松本路子さんが主宰しているワークショップです。内容は、以下の通りですが、私としては、これからの出版、これからの写真ということを、自分の思うままに話したいと思います。私は評論家ではない…

編集も料理も同じ

*この水越武さんの写真の良さは、風の旅人の誌面の大画面で見て、より明確に感じられる。 シャッターは、一度しかきっていない。 昨日、写真家が集う忘年会があり、風の旅人に関わりの深い人も大勢来ていた。彼らに、風の旅人の復刊第一号を見せたら、里山…

カンタ!ティモール(うたえ!ティモール)

今日、近所に事務所をかまえている田口ランディさんのところに風の旅人の復刊第一号を届けて、豚汁の昼ご飯をごちそうになって、その時、「カンタ! ティモール」というドキュメント映画が素晴らしい、なんとか東京で上映できる映画館をみつけたいと彼女が…

本が売れないとよく言われるけれど・・・

本が売れないとよく言われるけれど、それは、仕組みに問題があるのだと思う。 本を売りにくい仕組みだということではなく、何万部も売れなければ成り立たないという仕組みじたいが問題なのだ。 戦後社会、マスコミュニケーションが急激に発達した時代におい…

今の日本の大企業の状況を象徴する出来事!?

風の旅人 復刊第一号の発行直前、発送の準備の段階で、今の日本の大企業の状況を象徴しているのではないかと思うトラブルがあった。その大企業とは、ずっと長い付き合いで、昨年の休刊まで9年間、風の旅人の印刷をお願いしてきた。風の旅人の写真のクオリテ…

デジタルの恩恵を、どうアナログにいかしていくか。

オンラインを通じた直接販売にしたことで、読者の方のメッセージを直接聞く事ができる。これまで、風の旅人が、どのような形で読者と接点を持っていたのかよくわからなかったけれど、それがリアルに感じられることが、直接販売の魅力であり、そもそもどんな…

文章の書けない奴は、写真が撮れない。

風の旅人 復刊第1号は、写真も当然ながら素晴らしいものがあるが、言葉にこそ注目して欲しいと何日か前に書いた。その言葉とは、この誌面に登場する優れた言語作家達のことだけではない。写真家の言葉にも目を向けて欲しい。 「言葉にならないことを写真に…

今、表現の在り方が問われている。

昨日、古賀絵里子さんのトークショーの最後で、六次元の中村さんから「佐伯さんは、古賀さんの写真のどこを評価しているのか?」という質問があった。昨日のトークは、昨年、出版された「浅草善哉」という写真集イベントみたいなものだが、私は、2007年6…

デジタルコンテンツとアナログコンテンツの間にかける橋

私にとって、とても嬉しく、かつ力になるメッセージをいただいた。この方は、休刊までの風の旅人と出会うことがなかった。現在のように莫大な情報と人間がひしめき、次から次へと通り過ぎていくような状況においては、人と人、人と物の出会いというのは、タ…

風の旅人の[言葉」を見直す。

校了直前に全体をもう一度読み直したのだが、今回、改めて言葉の力というものを、すごく感じた。私なんぞより遥かに読書量の多い若い人二人にも手伝ったもらったのだけど、一人は、「本当に鳥肌もののコンテンツが多くて、息をするのも忘れて読んでました。…

去年までと、今年からの違い・・・

ちょうど去年の今頃は、風の旅人を休刊した後なので、毎日、引き払う事務所の整理をしながら、休刊のお知らせを定期購読者に電話で伝え、返金の振込口座を聞いていた。その電話口で、「今まで有り難う」、「これからに期待しているよ」等と励まされていた。 …

風の旅人 復刊第2号の予告 コドモノクニ(仮)

次号(2013年6月)の告知を、ホームページにアップしました。http://www.kazetabi.jp/%E5%BE%A9%E5%88%8A%E7%AC%AC%EF%BC%92%E5%8F%B7-6%E6%9C%88%EF%BC%91%E6%97%A5%E7%99%BA%E8%A1%8C-%E4%BA%88%E5%91%8A/<復刊第2号 2013年6月発行>コドモノクニ「時代…

「褒めれば育つ」への疑問

昨日の報道ステーションで、「褒めれば伸びる」という特集をやっていたのだが、ちょっと引っかかるところがあった。 褒めれば伸びることが科学的に実証できたと研究者は言う。しかし、実験して結果が出ただけで科学的と言い切るのは大きな間違い。なぜなら、…

自分に合わせた組み合わせ方法の創造

風の旅人、復刊第一号の表紙デザインができあがりました。大きなポイントは裏ですね。返本のある書店流通への委託販売を行いませんので、ISBNコードとか、バーコードがありません。多くの雑誌は、裏に広告を載せますから、バーコードがあろうがなかろうが、…

風の旅人 復刊第一号は、書店販売せず、事前注文で販売致します。

風の旅人を創刊してから9年間、書店に流通していましたが、その間に苦しめられたのは返本でした。近年、出版社の発行点数が異常に多く(一日に新刊が200〜300と聞きます)、書店によっては、届けられた段ボールを空けることもなく返本すると聞きます…

コドモノクニ

新宿のコニカミノルタギャラリーで、斎藤亮一さんの写真展をやっています。31日まで。この写真は、とてもいいです。昨日、写真展会場に来ていた写真家の小池英文さんと、子供の写真というのは世の中に溢れかえっているいるけれど、この斎藤さんの写真にす…

おぞましい世界 でもそれが私たちの世界

この内山英明さんの写真は、風の旅人の復刊第一号で14ページにわたって紹介する日本の地下世界の一つ。 内山さんは、昨年の原発事故の直前まで、全国の様々な原発関連施設の中を撮影していた。原発それじたいもそうだが、大学などの研究機関や、六カ所村の…

田口ランディの新著 サンカーラ〜この世の断片をたぐり寄せて〜

田口ランディの新著、「サンカーラ:。この本は、ほんと素晴らしい。友人だから言うのではなく、この本には、今まさに必要な言葉凝縮していると思う。 昨年の震災後、色々な言葉が社会に泡のように現れては消えていったが、この本の言葉は、そういう類のもの…

風の旅人 復刊第1号 発表!

(この表紙は、未完です)風の旅人 復刊第1号の内容紹介と、オンラインによる注文を受付始めました。発行日は、2012年12月1日です。(書店での販売はございません。)http://www.kazetabi.jp/復刊第1号のテーマは、修羅ー2001 Phenomena 現象=phen…

極点から極点へと旅をして

管啓次郎さんの新作詩集『海に降る雨』。近年、なかなか心にしっくりとくる詩集ってないのだけど、管さんの旅の詩集は、とてもフィットする。私は、管さんのような言葉のアウトプット力はないけれど、その世界観というか、旅の感覚はとても近いものを感じる…

風の旅人 オンライン販売

風の旅人のバックナンバーのオンライン販売を作りました。創刊号から第44号まで合わせて300冊ほどしか残っていませんが、(創刊〜9号、18号、24号、30号は売り切れ)、今のうちのお求めください。 また、同じページで、簡単にメルマガ登録できる…

ホモサピエンスの現実と未来

photographs by Emmet Gowin 私たちは、地上で生きている限り、当人が望もうが望むまいが、地上の出来事のなかに巻き込まれている。地上の出来事のなかに巻き込まれ、流されながら、目の前を移ろう光景(情報)を見続け、認識し、判断する。例えば、電車に乗…

奄美大島とのご縁

どうやら奄美大島の時空に深いご縁ができたようです。 奄美の記憶 ジャーナルhttps://www.icloud.com/journal/ja-jp/#7;CAEQARoQEM7HVS9s4W8KlW96Pbfqfg;ED599BC4-924D-423E-B94D-84C47A0A364A

戦後日本社会を疾走し続ける写真家 川田喜久治

写真家、川田喜久治さんは、1933年1月1日生まれ。(私と同じ誕生日だと初めて知った)。まもなく80歳になろうとしている写真家の巨匠だ。写真表現に深く関係している人達にとって、石元泰博さん、東松照明さん、細江英公さん等と並んで、戦後日本の…

自分だけでなく、まわりのものとも生きる生き方

昨日紹介した縄文杉の写真は、水越武さんが撮ったもの。水越さんは、北海道の屈斜路湖のすぐ傍に住んで、仙人のような暮らしをしながら、仙人のような風貌で、自然と向き合い続けている。 そして、今日のこの屋久島の写真は、山下大明さんが撮ったもので、風…

ペンギンの脱走と、”修羅”について

長野県の須坂市動物園で、フンボルトペンギンのヒナが高い塀を乗り越えて、10日間に3回も脱走する騒ぎが起きた。元気がありすぎるのかと思っていたら、そうではなく、身体の小さいヒナで、ヒナ同士の縄張り争いに負けたとか、食物が得られず空腹に堪え兼…

急がば回れ

中学三年生の息子が、家で地理の勉強をしていて、「縄文杉」とか何とかブツブツ言っているので、勉強の邪魔をして、屋久島の話をする。 縄文杉の樹齢が7千〜8千年ということは教科書に書かれており、息子も知っている。しかし、なぜ、そんなに長く生き続け…

風の旅人 復刊第一号

風の旅人 復刊第一号に向けて、写真が少しずつ固まってきた。テーマは、「修羅 2011-phenomena」。この場合の現象(phenomena)というのは、表層を流れ行くものではなく、潜在的に隠れていたものが事象(事件)として浮かび上がってくること。見えていなかった…