2013-01-01から1年間の記事一覧

子供と親のあいだ・・・

(写真/ジョセフ・クーデルカ) 9歳の子供を道連れに焼身自殺をした父の話。現代社会では、毎日、様々なニュースが報道されるが、このような事件が、もっとも辛い。自分の子供と同じような年頃で、少年野球に打ち込んでいる子供。可愛いし、愛しい。愛しさ…

当たり前が、当たり前でなくなる時

一昨日は、日本の製造業の改革につながる仕事をしている若い経営者と会って食事をしたが、その翌日の集まりも、すごかった。製造業の改革の話ならば、ふだん自分が使っている脳のエッジの部分で対応できる。しかし、昨日の集まりは、自分の脳の中に潜んでい…

日本の製造業を根本から変えていく、新しいスタイルのスゴイ仕事

昨日、O2という会社の若い経営者 松本晋一さんと食事をした。 http://www.busipla.net/companyDNA/o2-inc.html 松本さんが、風の旅人の創刊号から第47号までの全巻を持っている読者であることがきっかけであるが、私が、前川製作所など老舗の製造会社とも色…

ミニマムの時代の物作りと販売 3

大量生産の規格品ではなく、本当にそれが欲しいと思う人の為の少数生産の物作りと販売の仕組みが、21世紀にはきっと広がっていくのだろうと思うけれど、その広がりの過程のおいて、多くの問題が生じることは間違いない。 一つは、従来の流通システムが崩れ…

ミニマムの時代の物作りと販売 2

「ミニマムの時代の物作りと販売1」で、自分が携わっている出版分野のことで色々書いたが、家電なども一人で開発・販売する人が出て来ていることを知り、これから色々な分野でそういう人が出てくるだろうと改めて思った。 一ヶ月程前、ヤフーショッピングが…

ミニマムの時代の物作りと販売 1

久しぶりに理髪店で髪を切ってもらいながら、ラジオ番組のインタビューに耳を傾けていた。 ”一人家電”の事業を興した若い人の話だった。これまで分業が当たり前の家電分野で開発から設計まで一人でやり、実際に製造をしてくれる下請け工場を探したものの、大…

その日、その時を、ただ神が知る。

今日、読者の方からいただいたメッセージと写真に、胸を打たれた。その美しさに魂を激しく揺さぶられた。 臨終の間際にある読者の父の姿。死を悟り、全てを達観したように静まりかえり、それでいて自分の全てを出し切っているように見える人間の姿は、あまり…

肝心要の物づくりと、時代の変化

数日前、NHKプロフェッショナルに出ていた佐藤オオキという若いデザイナー。企業製品等のデザイナーとして、国際的に活躍している人なので、今さら私が言うのもなんだけど、すごいなあと思った。 彼は35歳。最近、この世代の人達と交流する機会があるが、…

生きていくうえでの強靭さについて

一昨日、北星学園余市高等学校のイベントに参加して、少し話しをする機会を与えられた。 北星学園余市高校は、10年ほど前、『ヤンキー母校に帰る」というテレビドラマでも話題になった学校で、一般の学校で不登校になったり退学処分を受けたり、様々な理由…

まことの美〜桑原史成さんが見続けてきた水俣〜

(撮影/桑原史成) 誰が言っていたのか忘れたけれど、想像力というのは、頭の中で色々妄想することではなく、感じたことを行動に移す力だと。たとえば、いくら危機を感じていても、行動に結びつけていない場合、その危機感は本物ではいので、想像力が弱いと…

偽装表示の高級キノコよりも、光キノコ。

(撮影/山下大明) 何だかわからないようなこの写真は、地面に散らばった落ち葉が、光キノコの菌糸のネットワークによって光っているところ。 足下の周辺、数メートルの小さな世界だが、その場に写真家の山下大明さんと座り込んでいたあの時間は、本当に至…

軸にそって立ち、生きること

昨日の夕方、田口ランディさんが事務所に来て、色々と話をした。彼女は太極拳をやっている。この写真のお婆さんの写真(風の旅人の復刊第三号で紹介する木村肇君の”またぎの里”の写真)を見て、自分も、太極拳の成果で、このように両足がしっかりと大地をと…

表現行為の必然性について

(撮影・にのみやさをり) 風の旅人の第47号(12月1日発行)のロングインタビューをお願いした染織家の志村ふくみさんは、今年89歳になるが、染織に本格的に取り組み始めたのは30歳を過ぎてからだった。 子供が二人いたにもかかわらず、結婚生活に…

生でもあり死でもあり

風の旅人47号→http://www.kazetabi.jp/ で屋久島の夜の写真を紹介する山下大明さんが、吉祥寺のオフィスに来て、校正を行なった。その時、この写真のように、なぜ、光キノコを写真に撮ると緑色になるのだろうという話になった。屋久島の光キノコは、自らを他…

「死」の力

昨夜、京橋のzeit-foto-salonに、井津由美子さんの写真展を見に行った。 http://www.zeit-foto.com/exhibition/2013/yumiko_izu.html このホームページの写真では、彼女の写真の素晴らしさがまったく伝わらないのが残念だ。様々な動物の頭蓋骨の写真は、8×…

こういう若い写真家がどんどん出てくれば面白い。

この写真は、12月1日に発行の風の旅人 復刊第3号で紹介する木村肇君の写真。http://www.kazetabi.jp/ 木村君は,1982年生まれだから、私が大学を中退して海外に放浪に出かけた時に、この世に現われた。私とちょうど20年の差がある。 日本がバブル…

「風立ちぬ 生きねば」について?

そして、映画『風立ちぬ』を見た翌日にテレビで見たのは、極北の地、グリーンランドの狩人だった。 近年、グリーンランドの氷が少しずつ溶けており、地下資源の開発を行ないやすくなり、この地の人々も、産業化の歯車の中に組み込まれつつある。子供たちも、…

「風立ちぬ 生きねば」について?

宮崎駿は、『生きねば』という明確な主題をたてて、物事のディティールを丁寧に描き出し、具体的な物事そのものの積み重ねを通して、ストレートに主題を伝えようとした。 そして、物そのものから遠ざけてしまう色々な概念的な部分(多くの人が既に共有してい…

「風立ちぬ 生きねば」について ?

10月3日の夜、テレビで見た「グリーンランドー最北の狩人 ポーライヌイットの暮らし」と、その前日に見た宮崎駿監督の映画、「風立ちぬ」が、自分の中で重なる。 ともに、生きていくうえでの覚悟について語りかけてくる。人は誰でも死ぬ。だから死に対す…

右脳と左脳の話

http://japan.digitaldj-network.com/articles/18707.html これは、TEDで行なわれたジル・ボルト・テイラーの講演会。脳卒中で左脳の機能を奪われた脳科学者が、そのことによって自らに起こった変化を語っている。 左脳と右脳の違いはわりとよく知られている…

なぜ今、志村ふくみさんなのか。

昨日、京都の志村ふくみさんの工房で、志村さんと、時間を忘れて、三時間にわたって、熱く熱く話をした。まさに自分にとって奇跡の時間。だって、次号の風の旅人のテーマを、「妣(はは)なる国へ」と決めた時から、インタビューは、石牟礼道子さんか志村さん…

石巻市の津波被害をめぐる裁判のことについて

「石巻の津波で園児5人死亡 幼稚園と園長に賠償命じる判決」。http://www3.nhk.or.jp/news/html/20130917/t10014588291000.html このニュース(とくに園長個人を指定していること)が、なんだか自分に重くのしかかってくる。子供が亡くなったという事実だけ…

千里魚眼による「還ってくるアルトー」を見て

先週末、風の旅人の編集で時々手伝ってもらっている、東京外語大の今福龍太ゼミの阪本佳郎君の誘いで、俳優でも劇作家でもあり演劇組織「夜の樹」を主宰する和田周さん達と、聾唖者の役者が演じる演劇実験室「千里魚眼」の『還ってくるアルトー』を見る機会…

特定秘密保護法が、政府の権限をさらに強化してしまう。

「特定秘密保護法」についてのパブリック・コメントは9/17迄です。(こうした動きに対して、自分の身元を明らかにして政府に異を唱えることじたい、目をつけられそうで、なんとなく恐い雰囲気になってきました。本当は、堂々と身元をあかして内閣官房内閣情…

鬼海弘雄のモダンな百姓的目線

写真家の鬼海弘雄さんが事務所に来て、アメリカで発行される予定の写真集の写真を見せてくれ、その後、焼き鳥屋で飲んだ。 ちょうど、最近、セバスチャン・サルガドの新しい写真集「genesis」を見て、西欧的世界観を備えている表現者の完璧なまでの世界像を…

こういう時代だからこそ、放浪のすすめ

今春の大卒者56万人の就職率は、67.3%。不安定な職(つまり非正規かな)が、11万5564人、就職も進学もしていない人が7万5928人らしい。 http://www.nikkei.com/article/DGXNASDG0702O_X00C13A8000000/ これについては色々な意見があるだろうが、今か…

いのちは海から 〜主要成分だけではなく、微量な成分のバランスが大事

外食はできるだけ避け、無農薬野菜などを買い、肉は、高価な牛肉ではなく国産の豚肉。そして魚介類。そうしたものを食べていると、ファストフードなど加工品は身体が気持ち悪く感じて受け付けなくなる。なにゆえに、あれだけ味付けを濃くする必要があるのか…

国防をめぐる議論の欺瞞

終戦記念日の昨日の夜、NHKで国防をめぐる討論会があった。保守とリベラルが半々といういつものお決まりのパターンで。 その合間に、市民の討論会の映像もはさむ。同じく、軍備増強支持と反対を半々で見せる構成だ。そして最後に、「今までこういう議論がな…

セバスチャン・サルガドの新作「GENESIS」

セバスチャン・サルガドの新しい写真集「GENESIS」は、驚くべき写真集だ。まずはそのボリュームに圧倒される。サイズが巨大 (7.6 x 25.4 x 38.1 cm)で、517ページもあるのだが、よくもまあ、これだけのものを、この価格で販売できるものだ。日本国内向…

TPPに対する最適な対策。

TPP交渉で不吉な動きはあるけれど、けっきょく、一人ひとりが自分の価値観をしっかりと持ち、物事を選択していくしかないのだと思う。 交渉の結果、輸入農産物がどれだけ増えるのかわからないが、自分の生活を見回しても、ほとんど国産品しか食べていない。 …