風土

第1363回 始源のコスモロジー

日本は、海に囲まれた島国であり、大陸から近くもなく遠くもない絶妙な距離感が、日本という国の個性を作り上げてきました。 また、海に囲まれていながら国土の70%が山岳地帯であり、それらの山々を源泉とする河川が、日本を網の目状につないでおり、この…

第1357 回 神武天皇とは何か(4)

神話上、ニニギは、天孫降臨つまり外部からやってきた存在だが、神武天皇は、そうではない。 神武天皇の母親は、豊玉彦の娘の玉依姫であり、祖母は、豊玉彦の娘の豊玉姫、曾祖母は、コノハナサクヤヒメと、女系を通じて海人が三代に渡って続いているし、神武…

第1356回 神武天皇とは何か(3)

神武天皇の神話を、第26代継体天皇と重ねて考えるためには、(1)と(2)で述べたことの続きになるが、神武天皇の東征に登場する神々について、それが継体天皇とどう関わっていくのか、さらに検証する必要がある。 (2)では、亀の甲羅に乗って海路の案内…

第1344回 神武天皇とは何か(2)

神武天皇とは何か(2) 神武天皇の神話を、第26代継体天皇と重ねて考えるためには、(1)で述べたこと以外に、神武天皇の東征に登場する神々が、継体天皇の時代において何に該当するのかを検討する必要がある。 まず第一に、神武天皇の東征において、最初…

第1343回 神武天皇とは何か(1)

神武天皇が、いつの時代のことなのかについて、これまで色々と複雑な読み解きがなされてきた。 しかし、そもそも日本に文字が流通するようになったのは西暦500年頃からで、それまでは口承で物事が伝えられていたわけであり、弥生時代の始まりとされる紀元前5…

第1341回 飛騨の地が発する太古の地球の息吹。

約1500万年前、ユーラシア大陸の端っこの部分が南北に引き裂かれ、大陸とのあいだに内海ができて日本列島の原初の形となった。 引き裂かれた南の大地の端っこが岐阜県で、この東側に、太平洋から押しつけられた新たな大地が次々と火山活動を活発化させ、八ヶ…

第1338回 人間の意図を超えた力と、磐座。

山梨県北杜市小淵沢町に大滝神社があり、この場所は八ヶ岳南麓高原湧水群の一つ。「日本名水百選」に選ばれているが、日量22000立方メートルと豊富な水量を誇り、一年を通して水温は12度。 東京の武蔵野台地でもそうだが、井の頭公園や石神井公園、等々力渓…

第1337回  見えないものをみるために

「見えないものを見るためにカミオカンデを作った。」 これは、自らが設計を指導・監督したカミオカンデによって史上初めて太陽系外で発生したニュートリノの観測に成功し、ノーベル物理学賞を受賞した小柴 昌俊さんの言葉。 スーパーカミオカンデは、カミオ…

第1336回 ヤマタノオロチとは何か?(2)

出雲大社の隣に鎮座する命主社(いのちのぬしのやしろ)。出雲大社が築かれる前の聖域だったと考えられる。古代の磐座だと思われる巨岩の前に建てられているが、この巨岩を石材として切り出した時、下から銅戈(どうか)と硬玉製勾玉が発見された。ともに古…

第1335回 ヤマタノオロチとは何か?(1)

八岐大蛇について(1) 古事記や日本書紀に描かれている「スサノオの八岐大蛇退治」の物語は、誰でも知っているが、いったい何を意味するのか、江戸時代の国学者も含めて様々な解釈を試みているが、これが正解だと明確に言いきれる解答は見当たらない。 こ…

第1332回 出雲の国譲りとは何か? (4)

八雲山のスサノオの磐座。八雲山の西麓に鎮座する須賀神社の奥宮。 島根の出雲地方は、大きく分けて三つの領域に分かれる。 一つは、出雲の西側、斐伊川の流域で、もう一つの地域が、鳥取との県境の大山の周辺、日野川の流域。 これらの地域のことは、(1)…

第1331回 過酷極まりないサハラに生きる自由。

写真家の野町和嘉さんが激賞していた、ハッサン水谷さんの写真集「サハラ蒼氓」を拝見した。 サハラの写真と言えば、野町さんの写真を思い浮かべるが、その野町さんが高く評価するサハラ世界の写真はどんなものだろうと期待していたが、野町さんが言っていた…

第1329回 出雲の国譲りとは何なのか? (2)

荒神谷遺跡 「出雲」は、3つのエリアに分かれる。中海の東の米子市から大山周辺と、中海と穴道湖のあいだの松江周辺、そして穴道湖の西で、出雲大社が鎮座する地域。 出雲大社は、近畿で律令体制を築きつつある人たちによって、何かしらのシンボル的な意味…

第1328回 出雲の国譲りとは何なのか?

出雲大社の隣に、摂社の命主社(いのちのぬしのやしろ)がある。巨岩の前に建てられており、古代の磐座が聖域だったと考えられる。社の前には、推定樹齢1000年といわれるムク(椋)の巨木がある。1665年、命主社の裏の大石を石材として切り出したところ、下…

第1326回 京都の桂川流域に秘められた歴史の真相。

京都は日本の歴史文化の宝庫とされていますが、観光地の大半は豊臣秀吉以降の時代に作られたものが多く、多くの人が古都の街並みだと勘違いしている祇園は明治維新以降のものです。 京都のなかで平安京遷都の1200年前より古い聖域は、京都の西側の桂川沿いに…

第1325回 鬼伝承の地と、鉱物資源と、交通の要衝。

岐阜県瑞浪市の鬼岩。ここは木曽川支流の可児川の源流に近く、巨岩群の中を、清冽な水が勢いよく流れている。 この地は日本有数のラジウム温泉の場所で、すぐ近くに、日本最大のウラン鉱脈がある。 鬼岩から5kmのところには、高レベル放射性廃棄物の処分の…

第1324回 石垣づくりの奥義と、未来の可能性。

岐阜県中津川の苗木城あたりは、日本三大ペグマタイトの地、つまり宝石の産地。 ペグマタイトは、主に花崗岩地帯に生じるが、中津川は、花崗岩の奇岩がゴロゴロしている。 巨石とか大樹は、古くから信仰の対象だが、神籬(ひもろぎ)など神を迎えるための依…

第1314回 酒=避けの神は、現代と未来の境の神でもある。

オオヤマツミ神社(愛媛県今治市) 古代、文字のなかった時代、「トポス」がとても重要だった。 トポスというのは、古代ギリシャ語で「場所」を意味するのだが、足場であり拠点であり、思考を進めるうえでの手掛かり、論点、定石といったものを含む。 つまり…

第1313回 ”酒”の神は、”避け”の神。

(京都 梅宮大社) 前回のエントリーで、酒というのは、厄災や悪霊を防ぐ「避け」であると書いた。 神事において清めに酒が用いられるのも同じ理由であり、日本三大酒神神社のうち、酒神といえるのは、京都の梅宮大社の酒解神(大山津見神)だけであるとも書…

第1307回 古代、東国は、本当に後進地帯だったのか!?

明日の3月4日に行う「現代の古代のコスモロジー」のワークショップセミナー。本日、風邪を引かれた方のキャンセルが出ましたので一名の空きがでました。 今回は、武蔵国(東京とその周辺)を掘り下げます。 一般的な歴史認識だと、日本の歴史は近畿を中心に…

第1300回 古代のコスモロジーと、国譲りの神話との関係

(伊豆下田の伊古奈比咩命神社) 1月31日に東京から京都に移動する時、前から気になっていた岐阜の大垣あたりを探求し、東海と福井と近江から京都や神戸にかけて、古代、深いつながりがあり、そこに前方後方墳が関係しているらしい、ということを、前回と前…

第1296回 日本古代のコスモロジーと、日本の地質。

日本という国の中を移動する時、列車や高速道路を使ってしまうと気づかないが、古くからの街道、とりわけ河川沿いの道を通ると、この国の地質的な特徴がよくわかるし、そうした地質的な特徴が、文献資料や考古学的成果から見えてこない歴史の真相に近づく鍵…

第1293回  The Creation Vol.2 天と地の曼荼羅

年が明けてから集中的に取り組んできた「 The Creation Vol.2 天と地の曼荼羅 大山行男写真集」の全体構成とレイアウトとデザインが、ほぼできあがった。あとは、少し熟成させて、若干、写真を差し替えたり、整えたりの作業だけが残る。 この本は、富士山の…

第1287回 古墳の形と、国譲り神話と、鬼退治の関係。

第1285回のブログで、前方後方墳と前方後円墳の違いを、弥生時代の「方形周溝墓」と「円形周溝墓」の違いの延長と捉えて説明した。一人の王が軍事や祭祀など全権を担う統治システムと、複数人物による分権統治システムの違いではないかという仮説を立てて。 …

第1282回 縄文の記憶が重ねられた諏訪の祭祀

諏訪大社 前宮 御室社。ここに半地下式の土室(つちむろ)が造られ、金刺氏で現人神とされる大祝と、洩矢氏の神長官以下の神官が参篭し、蛇形の御体と称する大小のミシャグジ神とともに「穴巣始」といって、冬ごもりをした。旧暦12月22日に「御室入り」をし…

第1281回 伊勢神宮という聖なる舞台装置

伊勢神宮 宇治橋 伊勢神宮 五十鈴川 先ほどのタイムラインの続きだが、伊勢神宮を訪れると、”つくられた聖域”という気がしてならない。 伊勢神宮は、おそらく、律令制の始まりに、聖なる舞台装置として作られたのではないかと思うのだ。 もちろん、そうだと…

第1280回 10,000年前から引き継がれている精神的イメージ

日本最古の土偶が出土した粥見井尻遺跡。背後に見えるのは烏山。 ここは、中央構造線上にある。 日本の歴史を、改めて考察し、捉え直すことが必要だと思う。 そして、その際には、最新の考古学的成果の上に、もっと地理や地勢のことを踏まえる必要があると思…

第1276回 量子コンピューターの時代の思考特性とは?

花背の三本杉。(京都府京都市左京区) 3日前のイベントの後の懇親会で、「花背(京都市左京区)の三本杉のところに白鷹竜王の碑がありますが、あれは何ですか?」という質問を受けた。この偶発的で、ローカルで、普通の人にとってはどうでもよい問いから、…

第1273回 レイラインと、太陰太陽暦の関係。

生島足島神社(長野県上田市) 現在の長野県の県庁所在地は長野市だが、明治の廃藩置県までは松本市が長野の中心だった。 そして、奈良時代以前は、上田市に国府が置かれていた。 信濃川流域に位置する上田市は、四方に秀麗な形の山が見られるところで、戦国…

第1270回 日本の神話と火山の関係

浅間山の「鬼押出し」 。1783(天明3)年の噴火の際に、浅間山の山頂から流れ出た溶岩流。 全国に約1,300社の浅間信仰の神社があるとされるが、浅間神社は、現在、富士山への信仰の神社とされる。さらに、浅間神というのは、ニニギと結ばれて山幸彦と海幸彦を産…