写真

第905回 大石芳野さんの写真展「福島 土と生きる。」

川崎の「東海道かわさき宿交流館」http://kawasakishuku.jp/ というところで、大石芳野さんの写真展が開かれています。(6月14日まで) 5月30日の3時から、対談も行われます。 テーマは、「福島 土と生きる」。東京電力福島第一原発の事故で故郷を奪…

第895回 自然に還るのではなく、自然から学び、人間力を磨く。

風の旅人の復刊第5号、鬼海弘雄さんのページの印刷がうまくいかず、刷り直しになってしまったけれど、カラーページを含め、他のページはきれいに仕上がっている。 グラビア雑誌というのは、写真の印刷が命だから最後の印刷が山場だ。ここでうまくいかないと…

第887回 袖すり合う縁をも生かす

撮影/大山行男 風の旅人 復刊第5号 いのちの文(あや)より 昨日、建仁寺の塔頭である両足院において寅市という手作り市が開催されていた。着物の切れ端を上手にデザインした布製のバックや、ガラスエッチングを施したグラスや花瓶、玉石のブレスレットや…

第882回 取り替えのきかない”いのち”

(撮影/有元伸也) 有元伸也さんが撮ったチベットの写真は、報道写真や観光写真のように、「チベット」の有様を客観的に情報伝達するものではありません。 彼は、チベットの人々とその環境の中に、取り替えのきかないものを感じとり、それを写真という媒介…

第881回 間(あはひ)の妙を伝える写真

(撮影 鬼海弘雄) これから出る風の旅人の最新号「いのちの文(あや)」の中で、鬼海弘雄さんの写真「東京模様」を紹介します。現在、鬼海さんのこのシリーズの写真集を制作中ですが、風の旅人の誌面ではその一部を見せます。 鬼海弘雄さんの写真を見ると、…

第880回 視る力と、視られる写真

(撮影・大石芳野) 写真家の大石芳野さんは、3.11の震災後、とくに福島の地を丁寧に取材し続けている。丁寧に、というのは、1人ひとりの心の内側を写真に焼き付けるために、1人ひとりとの距離の取り方が、とても丁寧なのだ。 大石さんは小柄で繊細そう…

「表現の自由」をしつこく考え続ける自由。

「表現の自由を守らなければならない」という言葉が飛び交う。しかし、その表現は、一体誰に向けて行なわれているものか。 顔の見えない広く一般的な人びとか(発行部数などのように数字で表される)、それとも、特定の、どうしてもそのメッセージを送り届け…

日本人の魂の故郷 室生寺と土門拳

(撮影/土門拳) 女人高野と呼ばれる室生寺に行ってきた。土門拳が何度も通い続けた室生寺は一度は行ってみたかった。 到着したのが夕暮れ時の閉館前で、紅葉の季節なのに観光客の姿がなく、静けさに包まれていて心穏やかな気持ちになった。 空海は、身体は…

20世紀から21世紀、「ドブ河」の時代から、「波」の時代へ?

(撮影/森永純) 「私を深く感動させる写真、私の人生を変えてしまう写真は数少ない。森永純の写真はその二つを併せ持っていた。」 ユージン・スミス??の続き そのユージンスミスが、21世紀になってようやく完成した森永純さんの第2作目である「波」の写…

20世紀から21世紀、「ドブ河」の時代から、「波」の時代へ?

(撮影/森永純)「私を深く感動させる写真、私の人生を変えてしまう写真は数少ない。森永純の写真はその二つを併せ持っていた。」 ユージン・スミス ユージンスミスは、森永純さんが撮ったドブ側の写真を見た瞬間、そこに原爆を象徴する何かを見て、号泣し…

20世紀から21世紀、「ドブ河」の時代から、「波」の時代へ?

(撮影/森永純)「私を深く感動させる写真、私の人生を変えてしまう写真は数少ない。森永純の写真はその二つを併せ持っていた。」 ユージン・スミス 先日、東京に出た際、森永純さんが、生死の境を彷徨う大病後、週に三回通って透析を受けている病院に行っ…

森永純さんの写真の命

写真集「WAVE〜All things change」より 森永純さんの写真集「WAVE〜All things change」が出来上がり、ようやく納品することができた。 3年か4年前の初夏だったと思うけれど、森永さんの「ドブ河」の写真に衝撃を受けていた田口ランディさんが、森永さん…

「すべては発動し、すべては循環する。」森永純さんの新作写真集

(森永純 WAVE〜All things change) 今後、年に一冊ずつ写真集を制作していきたい。 世の中には、簡易な作りの写真集が数多く発行されているが、一生の間、手元に置き、じっくりと何度も見る価値のある写真集を作る必要があると私は考えている。 20世紀は、…

表現は、認識に働きかける栄養分

「価値観が違う」という言い方がよくされるけれど、価値観ではなく、「認識が違う」という言い方をした方がわかりやすい。 価値観という言い方をすると、同質のもののあいだの比較というふうに聞こえてしまう。認識の違いならば、そこに質(幅とか深さ)が関…

世界を見る眼を変え、意識を変える写真の力

私が日本で最も尊敬している写真家の一人である鬼海弘雄さんと話していると、「写真が撮れない」という言葉がよく出てくる。 「写真なんてシャッターを押せば写るのだから、写真が撮れないという意味がよくわからない」という人もいるだろう。 写真が撮れな…

祈りの大地

(撮影:石川梵 2011年3月12日 白煙をあげる福島第一原発) 写真家、石川梵さんの文章だけの本『祈りの大地』が発行された。2、3日前に、大阪写真月間で行なわれた鬼海弘雄さんのトークを聞き、写真というものは写真家の生き様が反映されるものであ…

写真の新しさ!?

一昨日、大阪ビジュアルアーツに来て鬼海弘雄さんの話を聞いた人の多くは、きっといい話を聞いたなあと、しみじみとした手応えを感じて帰っていったのではないかと思う。写真の技術的な話を期待してきた人は、ちょっとあてが外れたかもしれないけれど・・・。…

消費社会と写真

(撮影:木村肇 風の旅人 復刊第4号 「死の力」より) ポートフォリオレビューで自分の写真を見せに来て、わざわざ、「他人の影響を受けたくないので、人の写真はあまり見ないようにしています」と言う人がいる。文章表現を志している人で、こういう発言を…

自己と自己を超えるもののあいだ

(写真は、桑原史成さん撮影。風の旅人 復刊第4号 「死の力」より) 風の旅人の復刊第3号で、志村ふくみさんをインタビューした時、”のさり”という言葉が出て来た。3.11の震災後すぐの頃は、多難な状況のなかで、日本人の心が一つになりかけていた。しかし…

死の力

<写真> 風の旅人 復刊第4号(テーマ:死の力〜来し方、行く末)より 撮影/池谷友秀 風の旅人 復刊第4号の編集のピークと、京都への引っ越しが重なって、落ち着かない日が続いたが、あっという間に,次号の発行日が目の前に迫っている。 次号のテーマ、…

内山英明さんが亡くなった。内山さんの地下世界の仕事は、地上で永遠に生き続ける。

(この写真は、風の旅人 第25号で紹介した内山ワールドのごく一部) 昨日、写真家の内山英明さんが、脳出血で亡くなった。ショックだ。内山さんの不在という事実を突きつけられ、大きな喪失感を感じる。昨年末に、荻窪でトークショーをした時は元気だった…

あの震災の記録を継続して行く為の、クラウドファンディング

https://readyfor.jp/projects/enami_photobook01 正直に言うと、このクラウドファンディングに参加すると、3.11の東北大震災の写真集制作の支援の見返りに写真集のカバーに自分の名前が記されるとか、オリジナルの帯がつくといったことに、最初は違和感を感…

様式としてのアナログではなく、存在感のあるアナログ

本橋成一さんの写真展が、品川のキャノンギャラリーで開催されている。http://cweb.canon.jp/gallery/archive/motohashi-ueno/index.html 昨日、そのオープニングパーティに行ってきた。本橋さんは、いまだデジタルカメラを使わず、銀塩写真にこだわり続けて…

国東半島で思い至った、写真の罪と贖い

2月1日、国東半島で行なわれた修正鬼会の祭りを見て来た。国東の地には、神と仏が複雑に絡み合う独特の宗教文化が今も色濃く残っている。岩盤に掘られた磨崖仏や、今から1300年程前の美しい仏像も数多く残っており、京都や奈良と同じように日本の仏教…

子供と親のあいだ・・・

(写真/ジョセフ・クーデルカ) 9歳の子供を道連れに焼身自殺をした父の話。現代社会では、毎日、様々なニュースが報道されるが、このような事件が、もっとも辛い。自分の子供と同じような年頃で、少年野球に打ち込んでいる子供。可愛いし、愛しい。愛しさ…

まことの美〜桑原史成さんが見続けてきた水俣〜

(撮影/桑原史成) 誰が言っていたのか忘れたけれど、想像力というのは、頭の中で色々妄想することではなく、感じたことを行動に移す力だと。たとえば、いくら危機を感じていても、行動に結びつけていない場合、その危機感は本物ではいので、想像力が弱いと…

偽装表示の高級キノコよりも、光キノコ。

(撮影/山下大明) 何だかわからないようなこの写真は、地面に散らばった落ち葉が、光キノコの菌糸のネットワークによって光っているところ。 足下の周辺、数メートルの小さな世界だが、その場に写真家の山下大明さんと座り込んでいたあの時間は、本当に至…

軸にそって立ち、生きること

昨日の夕方、田口ランディさんが事務所に来て、色々と話をした。彼女は太極拳をやっている。この写真のお婆さんの写真(風の旅人の復刊第三号で紹介する木村肇君の”またぎの里”の写真)を見て、自分も、太極拳の成果で、このように両足がしっかりと大地をと…

表現行為の必然性について

(撮影・にのみやさをり) 風の旅人の第47号(12月1日発行)のロングインタビューをお願いした染織家の志村ふくみさんは、今年89歳になるが、染織に本格的に取り組み始めたのは30歳を過ぎてからだった。 子供が二人いたにもかかわらず、結婚生活に…

「死」の力

昨夜、京橋のzeit-foto-salonに、井津由美子さんの写真展を見に行った。 http://www.zeit-foto.com/exhibition/2013/yumiko_izu.html このホームページの写真では、彼女の写真の素晴らしさがまったく伝わらないのが残念だ。様々な動物の頭蓋骨の写真は、8×…