12月1日、「風の旅人』第23号、”OWN LIFE”〜永遠の現在〜が、発売されます。
既にもう店頭に出ているところが、けっこうあるみたいです。
この号の簡単な趣旨は以下のものです。
「私たち日本人の感受性は、日本に固有の風土によって育まれました。そして同じ日本でも、山里、海岸、都市などによって身体的感覚は異なり、生活環境も異なります。
しかし、今日の社会は、誰にでも当てはまるように平均化した幸福のイメージを、地方特性に関係なく浸透させようとする力が働きます。
世界を覆い尽くすグローバリゼーションもその流れのなかにあるのでしょう。
その結果、私たちは、私たちの幸福感や身体的感覚すらも、自分自身の生身のものとして感じるのではなく、一種のバーチャルな現象として、共有を強いられています。そのプロセスのなかで、自分に固有の生の手応えを喪失していきます。
自分自身の生が希薄化し、果てしなく広がるバーチャルな価値観に追い立てられる強迫観念や妄想によって、常に得体のしれない焦燥感覚や、満たされない思いが生じます。
現代社会の様々な経済現象や生活は、そのような虚構性と、それがゆえの妄想の上に成り立っています。
現代の虚構性は根深く、生活の隅々まで浸透しているために、無視して生きることはできませんが、それらの現象だけが、私たちの生の全てでもありません。
どんな時代でも、生きていく上でモノゴトが成立する時、そこに無数の関係性が生じており、その関係性は、どれ一つ同じものがない筈です。その関係性の総体こそが、私たち一人一人に固有の生命なのではないかと思います。
バーチャルに与えられた価値観ではなく、自分と、自分を取り囲む物の関係に目を向け、その手応えのなかで、自分の生のリアリティを確認する。自分に深く影響を与えている関係性のなかには、家族や友人や恩師だけでなく、この国の歴史文化や風土までも含まれるでしょう。
「風の旅人」第23号の特集、OWN LIFEで、自分の生の営みを構成する様々な関係性へと思いをめぐらし、その関係性のなかに自らの生の固有性と手応えを感じていただければ幸いです。