お金はどこに消えた!?

 休み明けで、ニューヨークの株式市場が、急伸しているようだ。先週だけで1800ドル下げて、休み明けに391ドル上がった。ニュースなどでは各国の金融政策が好意的に受け止められているとか、下がるだけ下がったので値ごろ感が出たとか分析されているが、そんなことは先週だって同じだった筈で、けっきょく、一番最初に大量に売りさばいた連中が、下げるだけ下げたところで買い戻そうと狙っていて、みんなが休んでいる間に着々と準備を進めていただけのことだろう。
 一番最初に動いたものが、常に儲ける。高めのところで売り出し、安くなりきったところで一番最初に買い出す。そのように仕掛けられた変化に泡を食ったように追随する者は、下がったところで売って、上がったところで買うはめになるのだ。
 サブプライムローンで、世界は何百兆円失った、などと連日のように報道されているが、世界がお金を失ったわけではない。お金が右から左に動いただけのことだ。損をした人間がいれば、得をした人間もいる。半年前に比べて不動産の価格が3割下がったらしいが、半年前に高く売って、今、安く買う者もいるだろう。
 休みの間、三越で開催されていたドアノーの写真展を見に行ったのだが、同時に開催されている特別会場のフランス物産展は、ものすごい人だった。
 レストランも人でいっぱいだった。弁当を買おうと思って地下に降りたら、そこも人でいっぱいだった。高級菓子の店には人だかりができていた。新聞には世界恐慌と大きな見出しが出ているのに、そのギャップはいったいなんだろうと思ってしまった。 
 リーマンブラザースが3兆4000億円の負債を抱えて倒産したが、リーマンが3兆円超を失った訳ではない。
 社長がアメリカ議会で自らの年収の高さを指摘され、「とんでもない、ほとんどが株で、現金はたった60億円でしかない」と憮然と答えていたが、リーマンの負債には、社長に支払われた給与も含まれる。
 彼らの収入は、証券を右から左に移して手数料を取るわけだから、サブプライムローンの債券からちゃっかり自分たちの稼ぎ分は頂戴していたということだ。
 彼らの年収の平均が3400万円で、社員が26,000人なのだから、一年間で8840億円の給与なのだから、4年ほどで3兆4000億円に達する。けっきょく消えたお金というのは、給与として消えたと考えればよいのではないだろうか。
 証券マンに支払った給与は、債券を動かした手数料だ。その手数料を元に戻せば、負債のかなりの部分が元に戻るだろう。
 会社が倒産しようが、既に十分な報酬を得ている者には関係ない。そうした連中は、株価が極端に下がった時期を、新たな仕込みのために利用するのだろう。
さらに、今日のニュースでは、 http://dailynews.yahoo.co.jp/fc/economy/stock_companies/

リーマン・ブラザーズのアジア・太平洋部門の買収を決めた野村ホールディングスが、日本法人社員約1300人との正式な雇用契約交渉を開始し、優秀な社員?を引き留めるために、以前の年収(平均4000万円となっているが、なかには億を超える人もいる)を約束したとか・・・。

 また、欧米株式市場の大幅反発を受けて、今日の東証は急速に上昇し、史上最高の上昇率になっている。

 http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20081014-00000537-san-bus_all

 急激に下げて、急激に上げる。その動きを最初に作り出したり、最初に乗ったものに莫大な利益が出るが、そうした動きに後からノコノコとついていって、それらしきことを書き連ねるメディアが、よりいっそう、株価の動きを大きくすることに役立っている。メディアにつられて売ったり買ったりしている人が、けっきょく損をし、その人たちのお金が、仕掛け人に巻き上げられる構造なのだろう。