嬉しいこと

 今日、とても嬉しいことがあった。

 ある書店から、「風の旅人」の27号、28号と最新号の29号の三冊をそれぞれ75冊ずつ、一人のお客さんから注文を受けたと連絡があった。

 注文してくれた人は、ある会社の社長さんだそうで、「風の旅人」を三冊ずつ75カ所に御歳暮で送ってくれるのだそうだ。なんて素晴らしい社長さんなんだろう。こういう人と御縁があり、その人を通じて「風の旅人」が送り届けられる75カ所の人達へと御縁が広がって行くのは、とても嬉しいことだ。

 まだやっていけるのではないかと、僅かではあるけれど希望の糸がつながる。 

「風の旅人」は、一部の応援してくださる書店を除いて、一般の書店にはあまり好まれない雑誌のようだ。スペースをとる割に、二ヶ月に一度ということもあって他の雑誌に比べて動きが悪いし、単価も単行本ほど高くはない。単価1200円(税込み)ということは、一冊あたり書店には240円ほどしか入らない。重い本を入れたり出したり事務処理も面倒だし、大きなスペースも占領されて240円しかないのだから、割に合わないだろうなと思う。

 そのせいなのかどうか、最近、トーハンなど流通の取り扱いが少しずつ減っている。それでなくとも、書店で「風の旅人」を探したけれど見つからなかったという声をよく聞くのだけど、ますますそうなってしまいそうな不安がある。

 だからといって、流通各社の大株主である大手出版社のように、売れても売れなくてもある程度の数を流通させるようにプレッシャーをかける力もないので、既存の流通システムに頼るだけだと、状況を変えることはできないだろう。

 状況を変えることができなければ、二ヶ月に一度発行し続けることもできなくなる。単行本と違って雑誌は、定期的に出し続けなくてはならないので、いかにして流通網を広げるかということと、それを長期間にわたって維持し続けていくことが大きな問題なのだ。

 同時に、もう30冊も続けてきたので、そろそろいいのではないかという気持ちも自分のなかに生じてくる。延々と続く二ヶ月に一度の繰り返しに、心が折れそうになってしまうのだ。中途半端なものにするくらいなら、やらない方がマシだという気持ちもあるし。

 そういう暗い気持ちになり、悩み、もう限界だなと思うことがあっても、今日のような嬉しい報告がたまにあると、もう少し先に進もうという気持ちになれる。

 あの手この手のいろいろな手を組み合わせながら、総合力で何とかやっていこうと思う。