転換期!?

20歳様

 時代が変わっていく際には、振り子の原理が働くのではないかと私は思います。つまり”反動”です。
 前の世代や時代の悪い部分を見て育った人々が、その反動で、新しい時代の価値観をつくっていく。そういうことはけっこうあるのではないでしょうか。
 例えば、共産主義革命を信じて闘っていた人たちは、その矛盾を理解していませんでしたが、その後の世代の者は、闘わずして、その矛盾を察しています。また、天皇陛下を神と信じさせられて行動していた時代が過去にありましたが、それに続く時代は、神という言葉が禁句のようになってしまいました。
 学歴社会というのも、私が大学中退者として就職先を探していた20年前に比べると、依然として残っている部分があるものの、その傾向が弱まっているのは確かです。
 それ以外にも、一つの時代を築き上げるために生まれた価値観が、社会を覆い尽くすとともに、やがて、人々をむしばむようになり、その反動として、新たなる価値観が生まれる。時代はそういうことを繰り返しているようにも思えます。
 今のブランド信仰なども、やがて、それに熱中していたことが滑稽に思われる時代がやってくるでしょう。
 バブルの頃に銀行に就職した人など、自分の人生の盛りの時に、銀行の構造が大きく変わるなど誰も予想していなかったでしょう。
 そういうことを考えると、周りの価値観に振り回されず、自分の心の声に耳を澄ましながら進路の舵をきっていくことが一番賢明だという気がします。
 そうするためには、自分で感じて考えて行動するという困難さを自分に課す必要があるわけですから、その姿勢を年輪のように積み重ねていくことによって、社会がどういう状況になろうとも、自分で感じて考えて行動して対応できる自分になっていくのではないかという気がします。
 表面的な成功とか失敗は一過性のものであって、それで幸福か否かを問うのはナンセンスだと思います。最終的には、自分で感じて考えて行動してきた人が、人生を味わい尽くすことになるのであって、その味わいの深さが、人生の奥行きになるのではないかという気がします。
 人生の奥行きというのは、人生に対する深い納得感ではないでしょうか。なるべくしてなることを引き受ける自然の境地とでもいうべきもの・・・。
 まあ、そんな境地は年をとってからでいいのですが、転換期というのは、やはり、自分のなかにあるもののような気がします。