インフラとコンテンツ

 それにしても、ライブドアが多大なるリスクを負ってニッポン放送の買収を行おうとした理由が、ニッポン放送の持つフジテレビに対する議決権だったとすると、ソフトバンクはノンリスクで、5年間それを手に入れたことになる。
 楽天は、弱小のプロ野球球団を苦労して手に入れて、球場をリニュアルするために多大なお金を投じた。しかし、ソフトバンクは大した苦労もせず、常勝の人気球団であるダイエーを手に入れた。
 かつて読売巨人軍は、テレビと新聞の力で人気を全国規模に拡大し、同時に放映権で潤い、その人気にあやかってさらに新聞のシェアを大きくするというプラスのスパイラル効果を作り出した。
 ソフトバンクは、インターネットとテレビメディアとダイエーで同じ事を実現しようとしているのだろうか。
 情報インフラは、ラジオ、テレビ、インターネットと多様化しつつも、国民的娯楽であるプロ野球は、コンテンツの主流と考えているのだろうか。確かに、サッカーはいくら人気があがろうとも、野球のように毎日試合をするわけにはいかず、試合数も少ないのだから、サッカーで黒字にできるのなら野球でできない筈がないと考えるのが普通だろう。
 次なるコンテンツとして、ポニーキャニオンの行方はどうなるのか。
 ニッポン放送ポニーキャニオンの株式を56%保有。ポニーは04年3月期の売上高が約600億円で、ニッポン放送本体の2倍。ポニーキャニオンの売り上げの大半はフジテレビのコンテンツが占めている。
 しかし現在、ポニーキャニオンは非上場企業である。その支配権は、コンテンツの部分でフジが握り、経営面でニッポン放送が握る。
そして、そこにソフトバンクインベストメントが入ってきた。
 フジテレビとニッポン放送と三社で、ブロードバンドに関わる領域で投資ファンドを作る目的は、その投資ファンドを通じてポニーキャニオンを上場させて、キャピタルゲインを獲得することではないか。
 ソフトバンクは、ほとんどリスクなしに、こちらからもうまみを獲得していくのではないか。