日米両政府と、アフラックが仕掛けようとしていること!?

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 昨日、渋谷駅で、アフラックの不気味なポスター広告を見た。全国の郵便局でガン保険を売りまくる権利を得ただけでなく、医療保険においても、8月19日から日本で何か仕掛けるようだ。
 アメリカ企業が、アメリカ以外の国で派手にビジネスを始めると、アメリカ政府は、その活動を邪魔する要因に対して、自由貿易違反であるとプレッシャーをかけてくる。
 つまり、日本の公的社会保障制度が、自由な競争を阻む原因であると言ってくるのが目に見える。かんぽ生命が日本生命と業務提携を結んで開発しようとした「がん保険」を中止に追い込み、全国の郵便局でアフラック癌保険を販売させることに成功したが、同じような展開が予想される。
 あのポスターがあまりにも不気味だったので、家に帰ってからネットで調べると、テレビコマーシャルでも、こんな不気味なことをやっていた。
 http://www.aflac-chanto-ever.jp/?banner_id=af2013059

 このアフラックの広告は、どう見ても、自社のイメージアップの為に作っているふうには見えず、黒船のイメージとだぶる。アフラック医療保険を日本でガンガン売る為には、アフラックのイメージをアップさせることより先に、日本の社会保障制度を骨抜きにした方が早い。日本の政治家や官僚は、現在、41兆円しかない税収のうち27兆円も費やしている社会保障(さらに高齢化で毎年、一兆円ずつ増えている)が行き詰まっていると感じているだろうが、自分達が率先して改革をすると非難にさらされるので、外圧でそうせざるを得ないというように持っていこうとしているのではないか。
 この黒い不気味なアフラックの広告は、日本人に、黒船の到来をイメージさせる為に作っているとしか思えない。
 アメリカは、医療保険関係の会社が、政府に強力に圧力をかけたり巨額のお金を使って政治家を丸め込んで、オバマ大統領がやろうとした公的な医療保険制度改革を骨抜きにした。日本も、アメリカのようになっていく予感がする。多くの老人が、薬代と医療費によって破綻する現実が、目の前まで来ている。
 それにしても、このアフラックの動画コマーシャル。とても気になる。わざわざ、黒いアヒルの声を、「声の主ななんとあの人!」などと、もったいつけるほどインパクトがあるのは誰か。そして、「みんなのホンネ、あばいてやるよ」とか、「白黒はっきりさせてやるよ」と挑発的な言葉。
 毒舌と本音で人気の有吉弘行は、ツイッターで250万のフォロワーがいるが、その線が強いのではないか。
 彼の支持者の多くは若者だろう。なかには、非正規社員も多くいると思う。つまり、企業が半分を負担してくれる社会保険ではなく、負担額の大きな国民保険に入るしかないけれど、その保険料を払いたくない人達。若い人達からすれば、自分達が支払う掛け金は、医療費や薬代を多く使う高齢者も含めて使われるので、割が合わないという感覚があるのではないか。 最近、自動車保険などでも、年齢とかを区切って、事故の可能性が少ない人達に掛け金を低く設定するタイプの保険に入る人が増えているが、医療保険も同じ流れになるような気がする。年齢とか、ここ数年の病気の履歴を見て、保険代を設定する。そうすると、若く元気な人は、国民保険よりも安い保険料ですむことになる。
 若者にすれば、平均貯蓄高が一千万円以上もある高齢者を支えるために、自分達のお金が使われるのなんてフェアではないという本音がある筈。
 「みんなのホンネ、あばいてやるよ」って、そういうことではないか。
 そのようにして、多くの人が国民保険を払わないようになると、それでなくても破綻寸前の国民保険は、立ち行かなくなる。
 現在、国保加入者は約3500万人。農家や商店の減少に伴い、全体の約7割を非正規労働者や無職の人が占めている。そして、11兆円余の医療給付費のうち、保険料で賄えているのは3割に満たない。構造的な赤字体質で、国や都道府県の税金、さらに市町村の一般会計から莫大なお金が投入されている。

 企業の正規社員の人は、非正規の人よりも収入は安定して、かつ企業が保険料の半分を負担してくれる。非正規の人は、収入も低くて、保険料も高くなるという矛盾。こういう状況で、若い非正規社員が国民保険に入れる筈がない。
 政府、自治体にとっても、国民保険の運営は、ほとんど絶望的な状況であり、黒船アフラックを口実に、なしくずし的に、国民保険を終わらせようとしているのかもしれない。小泉改革の頃から非正規の社員を増やすような政策がとられてきているが、その時点から、日本とアメリカの両政府や官僚が仕組んだ筋書きは、始まっていたのかもしれない。
 国民保険が崩壊すると、国民皆保険の原則が崩れるので、企業に半分を負担させている社会保険も、なくなっていくことになる。
 そうすると、アメリカのように、個別の企業が、個別の保険会社と契約を結び、社員に福利厚生として保険を提供することになる。それができない企業の社員は、個人として保険会社と契約を結ぶことになるのだろう。

 医療保険会社が、取り扱いを大きく拡大させるわけだが、アメリカの保険会社が、そうした流れを把握しているとすれば、日本の保険会社よりも、常に先手を売ってくることになる。
 しかし、こうした流れであっても、今の高齢者は逃げ切れる可能性は高い。そして若い人達は、もはや公的な保険料や年金を払わなくなる可能性が高い。そうすると問題になってくるのは、40代、50代の私達の世代だろうな。これまで長く保険や年金を払い続けてきたのに、自分が高齢者になって、いざ保障が必要になるという時に、制度が崩壊している可能性が高いのだから。
 
 ただ、保障があろうがなかろうが、医療や薬に依存しながら晩年を過ごすのは、真っ平御免だ。自衛策は、いかにして健やかさを保つか。
 最近、財源がない為に高齢者介護を十分にできない地方の町や村で、高齢者のボランティアを募って、元気な高齢者がそうでない高齢者の食事の世話をする(時給600円くらいで)等、サポートをする仕組みを作っているところがある。
 その仕組みで、元気な老人は、さらに元気を保ち、お小遣いを得ることもできる。そして、元気でない老人は、元気な老人から刺激を受ける。
 平均寿命が最も高い長野県は、ほんとうに元気な高齢者が多いが、70代、80代でも畑を耕して、多彩な野菜を作り出して、それを毎日食べている。身体を使い、作ることの喜びがあり、充実感に満ちあふれ、健康的な食事を続けているのだから、元気なのは当然だ。
 過疎化の進んでいる地方は、日本の20年後を先取りしているわけであり、現在そこで行なわれている様々な取り組みから、いろいろなヒントが得られるような気がする。