第1402回 コスモロジーを置き換える時

寒さのピークはこれからかもしれませんが、冬至という折り返し点を越え、今日から少しずつ日が長くなっていきます。
 2024年の始まりにあたって、1月13日(土)、14日(日)、第14回、ワークショップセミナー「始原のコスモロジー」を、1月13日(土)、14日(日)に、京都で開催致します。
 ホームページから、お申し込みを承っています。

www.kazetabi.jp


 コスモロジーというのは、私たちが生きている世界の捉え方(世界観)と、その認識に基づく生き方(人生観)が結合したものです。
 高い壁の向こうを恐怖の世界だと思えば、その壁を自分を守るものとみなし、壁の中の現実に適応して生きようとするでしょうし、壁の向こうを自由で興味深い世界だと思えば、その壁を自分を閉じ込めるものだとみなし、脱出しようと試みながら、生きていくことになるでしょう。
 現代社会の状況が30年後も同じだと信じていれば、疑問を抱かずに与えられたカリキュラムを続けるでしょうし、まったく違った世界になると信じれば、自分にどのような力が必要なのか、真剣に考えざるを得ません。
 人生観は、世界観によって決まります。そして、世界観というのは、時代によって置き換えられるものです。昨日までの常識が、明日もまた同じとは限りません。
世界観は、環境によっても異なってきます。環境とは、自然風土や人工的環境、文化、そして出会いであり、出会いの中には、人だけでなく、書物や芸術表現など、自分に変化を与える可能性があるもの全てが含まれます。
 人は、自分が生きている世界のことを自分で解ろうとしなければ、人が決めたルールや常識に従って生きるのみです。
 人は、それが正しいか間違っているかに関係なく、自分なりに世界を理解した時、その世界観に基づいて、自分で自分の生き方を決めていきます。 そのことは、現代も古代も変わりありません。
 古代においても、人は、それまでの世界観を新しいものに置き換えざるを得ない事態に直面しました。
 日本の歴史には、幾つかの重要な転換期がありますが、そのひとつが今から1500年前であり、その時に整えられたことが、その後の日本人のコスモロジーに大きな影響を与えています。
なぜ、そうした変化が必要だったのか。その時、人はどういう心構えで対処し、どういう物事を創造したのか。それまでの時代の蓄積は、その変化の過程において、どのように新しい時代に組み込まれたのか。
 歴史を解ることは、過去の記号的事例を数多く記憶することではありません。
 人間の世界観が、時代環境によって変化してきたことを理解したうえで、そのことが、どう人生観に影響を与えるのかを創造された文化などから洞察し、現代における変化への心の備えにすることです。
 つまり、固定的な世界観から、流動的な世界観への置き換えが可能な状態に、自分を創り直すことです。
  今回で14回目となるワークショップ セミナーは、単なる過去の探究ではなく、敢えて「コスモロジー」という言葉を用いているように、人の世界観や人生観を、根元から再確認する場にしたいと考えています。
 今年の始めに、月に一度ずつ東京と京都で交互にワークショップセミナーを行おうと決め、13回行いました。
 最初は、もしかしたら情報を右から左に流すだけだったかもしれませんが、資料を作るたびに、自分の中にコスモロジーが形成されていき、情報ではなく、そのコスモロジーを伝えることが、強く意識されるようになりました。
 そのひとつの区切りとして、年の終わりに、「始原のコスモロジー〜日本の古層vol.4〜」を完成させました。

www.kazetabi.jp


 ワークショップセミナーを続けていなければ、こういう形での本の整え方にはならなかったでしょう。
 自分にとっては、いい感じでの”新たな歴史の始まり”になったような気がします。