昨日と一昨日に行ったワークショップに、ドンピシャで、新発売の「かんながらの道」が納品されました。
すでにお申し込みいただいている方には、今日、発送をすませました。明後日あたりからお手元に届くと思います。ありがとうございました。
今回の本は、自分で言うのもなんですが、世の中にあまりない写真本です。
ピンホール写真によって、古代世界のリアリティを引き寄せようとするものであり、私は、同種のものを他に観たことはありません。
私は、ピンホール写真の魅力を伝えたいという理由で、こうした試みをつづけているのではなく、古代世界や人間の無意識という現代社会の現象として確認しずらいもののリアリティを引き寄せるための道具として、通常カメラの写真よりもピンホール写真の方が相応しいと感じているからこそ、写真の起源とも言えるピンホール写真を撮り続けています。
これまで作ってきた4冊の本はモノクロでしたが、今回、カラー印刷としたことで、写真本の雰囲気がより濃くなっていると思います。
モノクロの場合、モノクロであるというだけで非現実感が漂いますが、ピンホールカメラのカラー写真は、カラーという現代社会に氾濫している映像表現で、超現実的な空間を生じさせる力があると思います。
不思議なことに、通常の写真はレンズを介しているので人為の企みが強く反映されているのに対して、ピンホールカメラはレンズがなくて0.2mmの針穴に入り込んでくる光だけで像を結んでおり、天然の裸眼に近いはずなのに、超現実感覚がある。
すなわち、自然に近いアプローチなのに我々が生きている世界と異なる領域へと誘われる感覚があるのは、我々の生きている世界が、本来の自然から何かしらのものを抜き取った記号的世界になっているからでしょう。
記号化以前の本来の自然に秘められたもの、無に等しいモノのように現代社会では扱われているもの、そのリアリティを取り戻す道、それが「かんながらの道」であると思います、
8年にわたって、ひたすら古代の聖域の撮影を続けてきましたが、今回は、その集大成です。そして、集大成というのは、次に向かう起点でもあり、最近、取り続けている東京と京都の写真を、今回の本の最後の方に20ページほど組み込んでいます。
山河をかけめぐって自然のなかに潜入するだけでなく、私たちが生きている今の現実世界をピンホールカメラで撮影することで、現象世界の背後に流れている普遍性に意識を向けるためのイメージが獲得できるのではないかという予感があるからです。
その普遍性というのは、古代と現代の表層的な違いを超えたものであり、同じ万象世界を貫いているものです。
こうした言葉をいくら重ねても伝わりにくいものを、新刊の「かんながらの道」で感じ取っていただければ幸いです。
書店での販売は行わず、オンラインだけでの販売となります。
詳細およびお申し込みは、こちらのホームページから、ご確認ください。よろしく、お願い申し上げます。
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新刊の内容に合わせて、京都と東京でワークショップを行います。
<京都>日時:2024年11月16日(土)、11月17日(日) 午後12時半〜午後6時
場所:かぜたび舎(京都) 京都市西京区嵐山森ノ前町(最寄駅:阪急 松尾大社駅)
<東京>日時:2024年12月14日(土)、12月15日(日) 午後12時半〜午後6時
場所:かぜたび舎(東京) 東京都日野市高幡不動(最寄駅:京王線 高幡不動駅)