新風舎が倒産したのですね。驚きました。
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20080107-00000008-omn-bus_all
一昨年の末、新風舎のビジネスの在り方についての議論がありました。賞で人を誘って共同出版という名の自費出版を勧める方法は、いかがわしいこと甚だしかったのですが、朝日新聞が、この社長を時代の寵児のように取り上げていました。
http://d.hatena.ne.jp/kazetabi/20061128
それはともかく負債の総額が25億円にもなるのだとか。
新聞の報道などでは、一昨年末の訴訟などに関するマスコミなどの報道でイメージが悪化して契約が取りにくくなったからということですが、本当にそれだけなのでしょうか。
というのは、自費出版は、最初にお金をもらって本を作り、印刷会社などへの支払いは後になるので、私がやっている「風の旅人」などに比べると、運営が遙かに楽なはずなんです。
「風の旅人」のようなケースは、本を作る段階で執筆者や写真家などに掲載料を払い、制作費を使い、印刷会社へ印刷代を払って6ヶ月後に、売れた分だけ流通会社からお金がもらえるのです。だから、資金繰りは厳しくなる。
本を作りたい人から前受金でお金をもらっていながら、資金繰りが悪化して倒産するということは、前金で受け取っているお金も全て使い込んでいるということ。
現在、契約しているのに本を出せていない人が1100人もいるらしい。本を作っていないのだから、印刷代とかはかかっていない。 一人150万円としても、16億5千万円、手つかずのお金が残るはずなのだ。
負債の総額が25億円ということは、その負債の相手は、契約して本を出せていない人たちということなのだろうか。
契約者からお金を受け取って、それを会社の運転資金にして会社をまわしていたけれど、それすらも尽きてしまった。だから、契約者から受け取ったお金がそのまま負債になったということ。
でも、会社が発表している業績数字は、07年8月期の売上高は46億1750万円と前期比13%減。減収の影響で経常損益では4200万円の赤字、当期損益では4880万円の赤字。
売り上げで50億に満たない会社が、25億円もの負債を抱えるというのは、どうも不自然。しかも、書籍は、工場や研究施設が必要なわけでもなく、莫大な設備投資はいらない。風評の影響で毎年5千万円の赤字であったとしても、25億になるためには、50年もかかるのだ。25億円のうち持株会社である新風ホールディングだけで5億円の負債なのだという。
売り上げの規模のわりに負債が大きすぎるというのは、株式投資など他の何かで莫大なお金を使っていたからではないか。
いくらマスコミの報道の影響で契約が減少したからといって、たった1年やそこらで25億円もの負債になるはずがなく、それ以前から、何か他の理由で経営状態が悪かったのは間違いない。自転車操業状態にあったから、契約者からの前受金が喉から手が出るほど欲しく、きわどいセールスを活発にやっていたのではないか。
新風舎は破綻にいたった経営内容をきちんと発表していないけれど、松崎社長が記者会見で発表しているように、「訴訟の影響などで、経営を継続できないところまで自費出版の著者を減らしてしまった。経営者としての判断ミスが数々あった。」という簡潔な理由説明は、そのまま信用しない方がいい。
一部情報によれば、財政支援する会社は決定していて、契約者は本を出せるそうだが、何か裏がありそうな気がしてならない。
契約者から集めたお金をいったい何に使っていたのだろう。