風の旅人 復刊第一号でも紹介している岡原功祐君は、私が、もっとも期待する若手写真家の一人であり、きっと10年、20年後には、写真界で重要な位置を占めていると思う。その岡原君と、2月12日(火)、荻窪の六次元でトークショーを行います。
テーマは、世界の中の日本〜写真表現の行方〜
2/12(火)7時半〜
場所:6次元(東京都杉並区上荻1-10-3 2F )http://www.6jigen.com/map.html
料金:1500円(ドリンク付)
予約:メールの件名を『風の旅人 』とし、名前、人数、電話番号を明記の上、rokujigen_ogikubo@yahoo.co.jp まで。
現在、写真家は、なかなか世に出ることができないので、デビューの為に、権威ある写真家にすりよったり、賞を授賞するために色々動いたりする人もいる。
素直なのはけっこうなのだが、上に媚びるようなところは、みっともない。表現者というのは、他者(被写体)に対する愛の深さとともに、自分に対してどこまで誠実でいられるか、というポイントが極めて大事だと思うのだが、世に認められることとか、売り出すということに意識がいきすぎている人が、けっこう目につく。
そういう人達の表現していることは、どうにも薄っぺらくて、仮に運良くチヤホヤされることがあっても、すぐに飽きられて忘れられてしまうような気がする。
そういう目の前の人参を追うようなスタンスではなく、周りの反応に一喜一憂することなく、依存しすぎることもなく、地道ながら自分がやりべきことをきっちりとやり遂げようとする人が、最終的に、残ることになるのだろうと思う。
岡原功祐という若き写真家に、私は、そういうものを感じる。
実際、彼は、日本よりも、海外で大きな賞の候補になったり、授賞したりしている。日本の写真賞の基準とは全然関係ないところで活躍している。
彼と最初に会ったのは、10年くらい前、彼がまだ早稲田の学生だった頃、風の旅人は創刊したばかりの時。彼の友人が、編集部に写真を売り込みにきて、それについてきたらしい。私は記憶ない。その後、彼は、南アフリカで学び、南アメリカやバルカン半島など、非常にきわどい状況のなかで、単なる報道ではなく、正真正銘のドキュメントを手がけてきた。つまり、インパクトのある事件を紹介するのではなく、現代の諸問題が軋みをたてる中、そこに暮らす人々の中に入り込んで、丁寧に取材を続け、丁寧に向き合い続けてきた。
そんな彼は、昨年の原発事故の後、福島に通い続けている。そして、大型カメラを用いて、それらしき雰囲気作りでごまかすことは決して行わず、真正面に立ち、真摯に、ディティールを大切にして、撮影を続けている。
カメラ性能の向上によって、今は誰でもそれなりに写真を上手に撮れる時代。だから、写真において、上手か下手を競い合っても、意味がなくなっている。そういう状況のなかで、その人ならではの写真と言えるものは、その人の生き方、思想、洞察力、展望力,行動力などを統合した感性によるものになってくる。
未来を切り開いて行く力は、きっとその全的な感性なのだろうと思う。
日頃何を考えているかは、必ず、写真に反映されてくる。とりわけ、現在の若い写真家が何を考えて撮影続けているのか、未来を占ううえで、とても興味深い。