1月21(土)、1月22(日)、13:00- 東京都日野市の私のオフィス(京王線高幡不動駅から徒歩12分)で、「古代のコスモロジー」と題したワークショップセミナーを行います。
この6年間、私は日本国内の古くから人間が大切にしてきた場所を訪れて、ピンホールカメラで撮影を行い、写真と文章でSacred worldという本の形にし続けています。
歴史研究のためというよりは、古代のコスモロジーを自分ごとに引き寄せて、世界と向き合う視点に幅や奥行きをもたらしたいと考えています。
コスモロジーは、天体のことに限らず、世界の秩序構造の捉え方で、宗教や哲学も含まれ、人生観や死生観も含まれます。
人間にかぎらず犬や鳥やコウモリにもコスモロジーがあり、自分が認知する範疇で世界のことを思い描いて行動していますが、人間が他の生物と大きく違うところは、時代によって世界認識の仕方に変遷があることです。 一人の人生においても、経験によって物の見方が変わり、物の見方が変われば行動も変わります。
数百年、数千年の歳月を超えて伝わっているものには、現代的な価値観の範疇を超えた何かがあるはずで、現代のバイアスに囚われずに世界と向き合う時、そこから未来への回路が見えてくるかもしれません。
詳細およびお申し込みは、下記のホームページをごらんください。
都心から少し離れていますが、京王線で新宿から特急で35分ほどです。新撰組の土方歳三の菩提寺でもあり、行基菩薩が開基し空海が不動明王を置いたとも伝えられる高幡不動尊金剛寺の近くです。
年末、京都から東京に移動する時に、愛知県の岩上神社という場所を訪れました。
すると境内に、「テレビで紹介されたパワースポット岩神様で今年の運気を高めましょう」という掲示がありました。
テレビで紹介されたことが一体どれほどの価値があるのかと思いますが、こうした宣伝文句が掲げられるということは、テレビや新聞や雑誌など何かしらの媒体で取り上げられたら、それだけで価値があることのように思っている人が多いということなのでしょう。
これもまた、現代のコスモロジー。
現代のコスモロジーは、情報過多社会のなかで歪められ、人類史の中では一過性のものにすぎないのに、普遍的なもののように錯覚し、現在のこの価値観に縛られたまま寿命が尽きるまで過ごさなければいけないと信じている人も多くいます。
だから、この価値観の中で成功しようと立ち回り、うまくいかないと落胆し、絶望する。
成功している人を羨ましく思ったり、自分と比べてうまくいっていない人を蔑んだりするのは、現代のコスモロジー=イリュージョンに囚われているからでしょう。
私は、風の旅人を制作していた時から今の「Sacred world」のプロジェクトに至るまで、現代のコスモロジーやイリュージョンに対する疑念をもとに、世界を再発見して生き直す回路につながりたいという思いで、制作を続けてきました。
現在、私は、ピンホールカメラを担いで、日本の古代に潜入し続けていますが、歴史研究のつもりはなく、古代のコスモロジーを自分に引き寄せて、世界の根本について考え直し、その視点に幅や奥行きをもたらしたいと考えています。
ピンホールカメラを用いているのは、最新のカメラ技術の描写が、現代の価値観を反映しすぎている気がしているからです。
古くから人間が大切にしてきた場所などにおいては、「テレビで紹介されたパワースポットですよ!」という宣伝文句で誘うのではなく、そうした現代的な視点を超えた何かを発見することが大事であり、その何かは、現代人においても潜在的に保ち続けている敬虔さや畏怖感などにも通じます。
人間に限らず、生物は、”畏れ”の感覚を持っています。
それは、その感覚が、生物の生存のために必要なものだからでしょう。
________________________
ピンホール写真とともに旅する日本の古代。
Sacred world 日本の古層Vol.1からVol.3、ホームページで販売中。